福島の神主さんの今 | 越木岩神社ブログ

越木岩神社ブログ

兵庫県西宮市にある「越木岩神社」の日々をブログでお伝えします。

昨日は福島県神道青年会の創立65周年の記念大会があり、福島県郡山市にお邪魔しました


兵庫県とは兄弟のように交流を続けさせて頂いているため、6名で出席させて頂きました。


東日本大震災以降、福島県の会員の方々は自らのお宮や神社界のためだけでなく、地域のために全力で復興支援に取り組まれておられます。
立ち入り禁止区域内に神社や家を残して、避難生活を続けておられる会員の方もおられるために、65周年という慶事を行うかは大変迷われたそうですが、歴史を継ぐむために、そして復興支援をはじめ多くの支援を頂戴したことに対して感謝の意を伝えるためにも開催を決意されたそうです。


60周年からの5年間の活動報告のほとんどは、復興のための活動でありました。


活動報告をされた副会長さんが、最後に私事ですが、と断りを入れながらもお話されたことが印象に残っています。


「私が奉職する神社は立入禁止区域内にあり、私自身避難生活を続けております。・・・一日でも早い復興と神社の再建を願い、各地で避難生活を続けておられる氏子さんを訪ねては対話を続けておりたすが、なかなか神社の話を出すことは出来ません。自分たちの復興と自分の家に戻ることも出来ていないのに神社の再建など出来ないと言われることもあるからです。・・・
・・・私には三人の子供がいますが、下の二人は自分たちの家を知りません。上の子供もほとんど記憶にないでしょう。そして、私が勤めていた神社も知りません。ふるさとを知りません。
私自身は生まれ育ち、父や神社のご奉仕される方々の姿を見て育ってきました。私は子供たちに父としての背中を見せることも出来ません。そんな子供たちが次の世代を継いでくれるのか大変不安です。・・・ふるさと、心の拠り所としての神社を知らない者が、元の場所に戻り生活を続けていける、帰ろうと思えるのか、不安でたまりません。・・・」


抜粋をしましたが、これが福島、とくに立入り禁止区域内の神社の現実です。


世間では復興を支援する輪は少しずつ小さくなっていますが、神社には長い歴史があることの裏返しのように、長い支援を必要であると実感しました。


皆さんが神社にお参りされる際、何故神社がそこにあるのかを疑問に思ったことがある方は、意外と少ないのではないでしょうか?そこに神社があるのが当たり前だし、日本中どこに行ってもこんもりとした森があれば神社だったりして見つけることが出来るのではないでしょうか。


宗教云々ではなく、日本にある当たり前の風景の一つが神社であるはずです。


しかし、福島をはじめ被災地には、当たり前がない。ふるさとがない。帰れるところがないのは想像が出来ないのではないでしょうか。


支援活動はある意味、支援する側のわがままでもあると思います。出来る時に出来る範囲で行えばいいと思いますが、心はそこに寄せておくべきだと思います。私も今回お伺いをして更に新たな友情を結ぶことが出来ましたので、微力ながらも私なりの協力をさせて頂きたいと思っています。


最近、とくに思うのが、人の笑顔って素敵だな~と


何が正解かは分かりませんが、福島に更に多くの笑顔が溢れることを祈ります
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