川越style「小江戸川越打ち水風情」打ち水風情市民の会 川越百万灯夏まつり 打ち水のまち川越 | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真


「打ち水」は、冷房も扇風機もない時代の江戸の庶民の生活の知恵です。
風呂の残り湯や雨水、飲料用でない井戸水を使います。

打ち水で水が気化し路面温度を下げ気化した水蒸気が微風を生む。路面温度が下がると地面を通る風が冷やされて涼しく感じます。エアコンのような冷房は出来ませんが、微風や視覚で涼しく感じます。
打ち水した玄関はすがすがしいもの。打ち水すると埃が立たなくなります。すぐ乾いてしまいますが、涼やかさは気持ちに残る。

 

打ち水は江戸の文化。江戸の情緒が残る小江戸川越でみんなで体験する。
打ち水を小江戸川越から庶民の生活文化に取り戻す。

市民が作る、川越の打ち水風情の文化。
2019年7月27日(土)、28日(日)に開催された「川越百万灯夏まつり」。

初日、27日に一番街で行われたのが、「小江戸川越打ち水風情」です。

「小江戸川越打ち水風情」

場所:一番街 埼玉りそな銀行前

当日スケジュール:

14時~車両通行止め

14時5分~主催者挨拶、来賓・川合川越市長挨拶

14時15分~「時の鐘」の鐘の音を合図に参加者による打ち水開始

14時25分頃 水が無くなり次第、打ち水終了

『「小江戸川越打ち水風情」の目的は、地球温暖化防止に関心を持ってもらうこと、そして小江戸川越の生活文化にすることです。年一回のこのイベントをきっかけに、普段も打ち水する街になったら、小江戸川越が益々文化薫る素敵な街になると思います。』
「川越百万灯夏まつり」

https://www.kawagoe.or.jp/natsumatsuri/

 

小江戸川越打ち水風情は、当日受付で誰でも参加できるものです。浴衣姿であればなお良いです。
川越最大の夏祭りとして定着している、川越百万灯夏まつり。

様々な催しが行われる川越百万灯夏まつりで、恒例となっているのが「小江戸川越打ち水風情」。

川越は着物が似合う街。

蔵の街並みには着物・浴衣姿の人が行き交い、毎月8日・18日・28日の川越きものの日が定着し、川越氷川神社の縁結び風鈴などもあって、着物でこそ行きたい街になっている川越。

小江戸川越打ち水風情は、蔵の街並みで、街並みに沿うように伝統的な方法で涼をとる提案をしていますが、同時に、浴衣を着るきかっけにもなっている行事で、この日も多数の浴衣姿の人が見られました。

 

川越の夏の風物詩ともなっている小江戸川越打ち水風情。

13回程開催されてきたこれまでは、川越のロータリークラブ4団体が主催して行っていましたが、今年から市民有志の会が引き継いで運営しています。
今回主催となったのが、「打ち水風情 市民の会」。

 

打ち水風情を川越で継続させようと集まった市民20人ほどがスタッフとして名を連ねています。

会の代表に就いているのが、和裁士であり、「川越の街にきもの姿を増やす会」の代表を務め、そして川越観光親善大使でもある小杉亘さん。

川越の街にきもの姿を増やす会の活動としては、3月に「きもの姿で仙波の桜めぐり」を開催していた。

(川越style「きもの姿で仙波の桜めぐり」川越の街にきもの姿を増やす会 2019年3月31日

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12452547929.html

 

小江戸川越打ち水風情の機運を高めようと、代表の小杉さんは、7月16日に湯遊ランドで開催された「川越みがき 暑気払いのつどい」に参加し、小江戸川越打ち水風情の案内もしていました。

(川越style「川越みがき 暑気払いのつどい」NPO法人武蔵観研 湯遊ランド2019年7月16日

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12495581818.html

 

市民有志の会が主催とはいえ、これまで打ち水風情を主催していた川越ロータリークラブの甲斐さんが協力に関わり、資材提供で協力した三上工務店さん、全体のコーディネートをしている一瀬さん。それぞれ連絡を取り合い、ロータリークラブから引き継ぎ準備を進めてきました。
「打ち水風情 市民の会」と、小杉さんが名称を付けたのは、「打ち水」=「浴衣」と捉えると、「浴衣を着る」というハ-ドルがあり、「風情」を楽しむ手前で終了してしまう感じが否めないとのことから。

 

打ち水風情 市民の会が考える、小江戸川越打ち水風情の川越ストーリー。

参加者が浴衣姿で集まれば、そこには「打ち水の風景」が、「日本の夏の風情」にたどり着く事になるはず。
ユネスコ世界無形文化遺産に登録された「川越氷川祭の山車行事(川越まつり)」には、各町内に「会所」が祭り当日出来ます。神様が居座り、町の人が集う場所です。

「小江戸川越打ち水風情」が、川越に夏に浴衣でやって来る着物好きの人、レンタル着物を着た外国人観光客の、どこか清涼剤のような、集う場所にならないかと考えている。

打ち水と言えば、欠かせないのがもちろん、水。

 

「一番街で開催する打ち水の水には、どんな水がいいのか?」

 

ここに、主催する市民の会は川越物語を存分に込めました。

(簡単に水道水で行っているんだろうと想像するのは早計。こういうところに膨大な時間と手間をかけるのが川越人らしい)
会のメンバーは各所に掛け合い、水を確保。

今回の小江戸川越打ち水風情で使う水は、川越の自然水です。

川越の福田と大仙波の農業用地下水、そして幸町の「幸すし」さんの井戸水を使用します。、
福田は川越の北部、福田水利組合とクラウドファンディングで資金調達した NPO 法人かわごえ里山イニシアチブが掘った井戸の水。
大仙波は川越の南部、野菜作りをする方の農業用地下水です。

川越の自然水を持ち込んで、蔵造りの町並みで柄杓で水を撒きます。

 

川越市は、周辺地域の農村エリアと中心市街地の商業エリアから成り立っている。

川越まつりでは、旧十か町の旦那衆が、農村の囃子方を山車に乗ってもらい祝っている伝統がある。

今でも、仲町の羅陵王の山車には王蔵流の中台囃子方、六軒町の三番叟の山車には今福囃子連、志多町の弁慶の山車には堤崎流の府川囃子連など昔ながらの、町と農村の付き合いが継承されている地区もあります。
「打ち水」の水源を、緑豊かな農村から取り寄せる事は、川越まつりの昔ながらのやり方に近い形になっていきます。

これは、環境の話しをするにあたり、都市と農村が結び付く具現的な形にならないなという問題提起でもある。

水の川越物語を大事にしようと、打ち水風情市民の会の有志は、市内各地に赴き、協力を打診し、打ち水に使う水を確保していきました。

小江戸川越打ち水風情は、「水の都 川越」のテーマもあったのです。

川越らしさとは?を突き詰め、行動する有志が数多くいる、協力する人がいるのが、川越という街。これが川越です。

一番街での打ち水に、渾身の川越物語がこもった水を集めることができました。


(川越の福田にある「かわごえ里山イニチアチブの井戸水」)


(川越の仙波の農家提供の地下水)

 

(川越style「川越の仙波 仙波の水辺と歴史ある寺社を訪ねて」仙波の魅力を改めて知る

https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12405298044.html

 

(「幸すし」さんの地下水)

今回は川越市内3ヵ所の自然水を使用しましたが、今後、川越のあらゆる場所の自然水を打ち水風情で使用していけば、川越市全体で環境問題へ意識が向かうきっかけになるかもしれない。

 

そして、小江戸川越打ち水風情の川越的風情をさらに深める演出として、打ち水開始の合図に特別に時の鐘が鳴らされます。

これがどれほど特別なことか。。。

ご存知、時の鐘は川越の街のシンボルであり川越人の心の拠り所であり続けてきました。

現在は、毎日6時・12時・15時・18時に打ち鳴らされ、今でも変わらず川越に時を告げています。

時の鐘が、小江戸川越打ち水風情の日にだけ特別に、打ち水開始の14時15分に鳴らされることになりました。

普段の時間外に時の鐘が鳴らされるのは、本当にレアケース。

川越らしさとしての打ち水を広めていこうとする意気込みが伝わるよう。

 


7月27日(土)川越百万灯夏まつりの小江戸川越打ち水風情は、午後2時15分開始ですが、当日の準備は午前中から始まっていた。

市民が作り上げていく姿がありました。

打ち水に使う道具類・福田の自然水を詰め込んだタンクを三上工務店さんの軽トラックに載せ、埼玉りそな銀行に運び込んだのが10時頃。

すぐに幸すしさんに寄り、給水。
同時に会のメンバー20人ほどで受付となるテントやよしず・看板の設営などに取り掛かっていった。

仙波からの水も到着し、11時過ぎからは運営メンバーでアナウンスの打ち合わせを始めました。



司会の中村さんと一瀬さんで原稿の最終確認。
浅草の町おこしなどに携わっている太田さんも参考意見を出していた。浅草でも商店街やイベントの司会もしている。活弁士の界初の文部大臣賞を受賞した「麻生八咫(あそうやた)」さんのお弟子さんでもある。
司会進行中、予期せぬ不測の事態に備えて、入念な確認作業をする。

13時過ぎにいよいよ木桶やタンクに川越各地から運んだ自然水を注入。

スタッフが総動員してバケツリレー方式で準備していった。


13時半頃に一番街で打ち水への参加者募集の呼びかけを始め、多くの人が川越で打ち水に参加することに興味を持ち、受付を済ませていきました。『2時から埼玉りそな銀行の前で小江戸川越打ち水風情を行います。
打ち水は桶の水を柄杓で道に撒まきます。
どなたも出来ます。やってみませんか?
やりたい方は2時迄に埼玉りそな銀行の前にお出で下さい。』

参加者には引き換え券を渡し、打ち水終了後にペットボトルが渡されます。
「川越着物レンタル美々庵」さん、「きものや沙羅」さん、「呉服かんだ」さんから水のペットボトルの提供です。

14時に川越百万灯夏まつり開催に伴い交通規制がかかると、通りをゆったりと歩く人たち。

打ち水風情の説明などをマイクでアナウンスし、受付募集も続けます。

 

14時5分、打ち水開始を前に埼玉りそな銀行前では「小江戸川越打ち水風情」の式典を開催。

来賓は、川越市の川合善明市長。
川越工業高校関係者。生徒たちが着ている浴衣は、自分で浴衣をデザインし染めから仕立までやりました。
イーグルバス株式会社の谷島賢社長とモデルさん達、
小川町にも打ち水をと、小川町から、接客コーディネーターで元全日空スチュワーデスの熊澤貴子さん。
打ち水風情市民の会の小杉亘代表です。

打ち水風情市民の会の小杉代表と川合市長が挨拶。

路面温度を計測するのも恒例で、打ち水前と後の温度を比べて、打ち水の効果を発表しています。

打ち水前の路面温度は、

測定者「50.6℃です!」

これが打ち水でどこまで下がるか。

そして14時15分、時の鐘がこの日だけこの時間に特別に鳴らされる時間。
「まもなく時の鐘が鳴ります。皆さん、耳を澄まして下さい
聞こえましたか? 6 回鳴ります。
では、「せーのっ!」に合わせて打ち水をして下さい」


「せーのっ!」 

「せーのっ!」

 

川越の自然水が参加者によって打ち水され、通りに涼やかな空気が流れる。

体感で周囲の温度が下がっているのを感じますが、打ち水後もしっかりと温度を計測。

測定者「43.3℃です!」

打ち水前が50.6℃、後が43.3℃で、温度差はなんと7.3℃との結果になりました。

 

「打ち水すると路面温度が下がります。涼しく感じます。見た目も涼やかになります。
普段もみんなで打ち水しませんか?
“打ち水のまち、川越“にしましょう」

 

ゆるりと自然な形で打ち水を川越の街に浸透させていく。

打ち水が川越の生活文化になっていくために。

 

小江戸川越打ち水風情は、川越百万灯夏まつりの日に開催される予定です。