川越style「アークジュエリースタジオ川越店」川越のジュエリー工房 Warm Place | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

「Warm Place」。

その名称は、これまでのストーリーが続いていることを示し、いよいよまた川越に帰ってきたことを知らせる。さらに発展させる場であり、尚且つ、この温かい空間そのものをこれほど言い表す名称はなかった。

Warm Placeに集まって詰まった川越ストーリー。

 

「人生の節目というものを目に見える『形』にしたものが、ジュエリー」

鹿山さんはそう言ってまた、依頼されて修理に取り組んでいるジュエリーを見つめた。

人の人生と切っても切れないものがジュエリー、なのだ、と。

ジュエリーを通して、たくさんの人の人生を見てきたこれまで。

相手の人生に丁寧に寄り添い、精魂込めてジュエリーを制作することが、たくさんのドラマを生み出すことを体験してきた。

人生の節目に立ち会うことができ、それに自分が関わって「形」を残すことができる。

人を幸せにする仕事。なんて楽しい仕事なんだろう。

ジュエリーが起こす人の奇跡を間近にして、ジュエリーの持つ力、可能性は確信を深めるばかりだった。

鹿山さんが考えるジュエリーは、自分の作品ではない、相手への精一杯の贈り物なのだ。

だからこそ思う、ジュエリーをもっと身近に。

川越に新しくできたジュエリー工房、「アークジュエリースタジオ」さんが入る建物が、2017年10月にクレアモールにオープンした商業施設、シェア店舗の「Warm Place(ウォーム プレイス)」さん。

建物があるのが、本川越駅から歩いて3分ほど。

クレアモールを北に進み、小江戸蔵里を過ぎ、最初の十字路を越えて右手に見える建物、武蔵野銀行の向かいにある4階建てビルの二階から上がWarm Place。1階には手芸のお店「マリア」さん。

 

 

 

 

建物左側部分に二階へ上がる階段が。入口にはお店からのお知らせがあり、この階段の上に、どんな世界が待っているのだろう。

二階の空間に足を踏み入れると、一気に別世界にいざなわれるような感覚に陥る。。。外から建物を見上げた時のイメージと実際の店内の雰囲気がいい意味でギャップがあって一気に惹き込まれる。

体感した人が思う、「この建物にこんな空間が広がっていたなんて。。。」という驚きと、それに続いてすぐに期待感が高まっていくのを感じます。

なんでしょう、ここに流れている温もりの空気感は。その空気に身を浸しながら、ゆっくりと見回っていく楽しみ。

Warm Placeの二階フロアは別々に3店がお店を構えていて、それぞれが区分けされ独立して営業しています。

■「なごみたうん」

■「アークジュエリースタジオ」
■「Gallery ROOM」

3店はWarm Placeオープンと同時で、2017年10月1日に一斉にオープンしました。フロアを仕切り、小さいお店が3店入居しているスタイルは、ありていに言えばシェア店舗という言い方になるでしょう。

しかし、その表現では、その枠ではこの場が言い当てはまらないことは、現場を見てもらうとすぐに解ります。

一般的な「シェア店舗」・「シェアオフィス」・「シェアアトリエ」と聞くと、1フロアの中で、あなたはここ、あなたはこちら、ときっちりと間仕切りされ、ボックスで区分けされるものが多いと思います。ビジネス的観点で運営するならそれが当たり前かもしれない。

しかし、Warm Placeは少し違った。

他のシェア店舗と違うことは第一印象で伝わるはずで、いや、シェア店舗と比較するのも違うのかもしれない、全く新しいコンセプトの商業施設を開発したと言った方がいい。そしてこのスタイルは、深く知れば知るほど、他ではなかなか真似ができないものであることにも気づく。。。

もちろんお店ごとの区切りはありますが、それは緩やかであり、どちらかというと境界線は溶け合って繋がり合っている、と言うのが正解。

一つのお店に入って見ていると、気づくと隣のお店が気になって入っていて、この隣はなんだろうと入り、そしてまた向かいのお店へ戻って来る、というエンドレスな循環、自由な回遊が自然と生まれてしまう場所だった。

きっと人にとって、こうした自由な回遊こそ、楽しいものなのだ。

そういう楽しみ方こそ、人の本来なんだと歩いて気付かされる。

ボックスで仕切られて、ここにはこれがあります、と分かってしまうよりも、何があるんだろうとわくわくしながら回る楽しみ。

一つ一つのお店の個性も際立っていて、独立し、集合しているのが、Warm Place。

それぞれのお店の面積は小さくとも、繋がりを感じさせる空間は、3店の広がりの中の1店という印象を与え、一つのお店の小ささを感じさせない。1店、1店、1店と小さな点ではなく、3点という大きなまとまりで発信している強みを感じさせるよう。

多分、「シェア」するというのは本当はこういうことなんでしょう。壁を作って「分断」のではなく「共有する」。一つの場を共有して繋がり合うネットワークをシェアと言うなら、本当の意味でのシェア店舗でした。

そういう意味で、Warm Placeは本質的なシェア店舗と言えました。

ただ、、、「空間の使い方、お店の見せ方」の工夫だけでこの空気感までは作れないだろうということもすぐに解ります。

こういう施設がもっと増えたらいいのにと思っても、3店が独立しながら溶け合うように繋がり合うというこの形は、簡単には実現できない。。。

単に入居したい人を募集するだけだとお互いのニュアンスが違うことで3店のバランスがとれず、それで溶け合わせようとしてもよりちぐはぐさが際立ってしまうだけ。

バランスには「どういうお店が入るのか」、がとても重要。

どういうお店が入るかでこのコンセプトの商業施設の成否が分かれると言ってもよく、間違いなく最も重要な要素。

そういう意味で、Warm Placeに入るお店が持っている空気感はどこか似ていて、もっと言えば店主の人柄、雰囲気が似ていることからくるのだ。

こういうコンセプトの施設を運営するには、大きな視点を持ったプロデュースする人の存在が不可欠。

Warm Placeを企画・運営しているのが、二階の奥に事務所を構える「Warmth Production」さん。

この名称でピンとくる川越の人もいるかもしれません。そうです、かつてあった川越のあのお店です。あのお店から発展してWarmth Productionへ。

つまり、Warm Placeは川越で新規に立ち上がった施設であるけれど、壮大な川越ストーリーの続きに誕生した施設と言うのが、真実。

Warmth Productionのことは紐解くと壮大な川越ストーリーになるのですが、そのお話しはまた別の記事で。

Warm Placeに入るお店は、どんな経緯でこの建物に出会い、集まったのか、どんな引き寄せでここに引き寄せられたのか、それを振り返ることがひいては全体であるWarm Placeという施設を伝えることにもなるはずで、一つ一つのお店、一人一人の話しに耳を傾けてみたい。

これから時を置いて、Warm Placeの3店を一つずつ紹介していきます。

今日は、Warm Placeに入る1店、ジュエリー工房「アークジュエリースタジオ」さん。

 

 

 

 

「Arc Jewelry Studio アークジュエリースタジオ」

・川越店
埼玉県川越市新富町1丁目9-3リジエールエフビル2F4号
営業時間
平日11:00~17:00 祝祭日11:00~17:00 水曜・木曜定休

TEL:080-1132-8507 (オーナー鹿山)

・川島本店

埼玉県比企郡川島町飯島450-1

営業時間
平日10:00~19:00 祝祭日10:00~18:00 水曜・木曜定休
TEL:049-297-6921
e-mail navi@arcjs.net
Homepage:http://arcjs.net/
Twitter :@Arc_Jewelry
Instagram :arc_jewelry_studio
アークジュエリースタジオさんは本店が川島町にあり、川越店は二号店になります。

本店の雰囲気に近いイメージの空間になるよう意識した川越店。

制作するスタッフが直接相手の話しを聞き、店内の工房で制作をしている。
世界で一つのオンリーワンを創るための当たり前な環境で日々を積み重ねて20年以上となりました。 
年間300組ものカップルのリングを創る工房にはジュエリーの制作を30年以上のキャリアを持つオーナーを始め多様な経験をした専人スタッフが二人だけの特別な想いの手伝いをしています。 
本店では、店内奥の工房を見ることができる。
そこでは毎日プラチナを溶かすバーナーの音やリングを鍛造している金属音、ダイヤを留めているタガネの音など来る人が五感で感じる事がきっと出来るはずです。
アークジュエリースタジオのオーダーの特徴。
オーダーは金額が高いイメージがありますが、本店内の奥にある工房で制作したリングを直接お客さんに渡すことができるため、リーズナブルな金額で創る事が可能。 
予算に応じて対応してくれます。
出会ったきっかけや、思い出の場所などをデザインしたり和をテーマにと色々と出来ます。
 

川越店は、外から建物二階のWarm Placeに上がった時の別世界に驚くのが第一章だとしたら、さらに続いているのが、アークジュエリー川越店の店内に足を踏み入れた時。

Warm Placeの中からさらに別世界に入ったような感覚になるほどの世界観がそこに出来上がっていた。

クレアモールからWarm Placeの建物を見上げた時に、窓際に木のオブジェが見えます。これがアークジュエリーさんに象徴的に展示されている手作りのオブジェで、Warm Placeの印象まで高めているようなオブジェ。


アークジュエリースタジオでは、ジュエリーのオーダー、修理やリフォームなどジュエリーに関する相談に何でも気軽にのってくれる。

川島の本店がジュエリーのよろず相談所として地域に根付いていて、ジュエリーにまつわるあらゆる相談事が日々持ち込まれる。

同じように、ジュエリーが生活に与える豊かさの提案を、川越でも。

川島の本店と川越店の連動もあり、例えば本店で加工したジュエリーを川越店で渡すなどに対応できるのが2店体制の強み。

 

ジュエリーと聞くと、自分とは縁のないものだと思う人もいるでしょうが、ジュエリーは人の生活に切っても切れない縁で、婚約指輪、結婚指輪、家族が増えた記念のベビーリング、結婚記念日や人生の節目の記念にジュエリーを作る人は多い。

アークジュエリースタジオのジュエリー職人、鹿山さんが考えるジュエリーは、

「人の誕生から人生の節目を祝い、最終的に継承されていくことまで寄り添いこと」。

そこまで見据えているのがアークジュエリースタジオの職人、鹿山さんらしいと言える。

また、ジュエリーは女性のものと受け取られることが多いですが、確かに、アークジュエリースタジオの本店にはカップルで来る場合は女性が積極的なのが見られる、しかし、親身に話しをする鹿山さんにいつの間にか惹き込まれ、男性がどんどん積極的になっていくのがよく見られるのだという。

 

 

・step1初来店
世界でたった一つの二人だけの婚約指輪・結婚指輪が作りたいけど、 
オーダーメイドというと高くて手がとどかないかな…というイメージがあると思います。まずは下見程度の来店から。
・step2デザインの相談
何もイメージが無くても、沢山のサンプルや型を見ながら二人のイメージを膨らませる手伝いをスタッフがしてくれる。
専任のスタッフがアドバイスをしたりラフ画を描いたり納得いくまで一緒にデザインを考えます。 イメージ画や切り抜きなどを持参してもOKです。
・step3デザインが決まったら正式に相談
注文伝票を作成(制作スタート)→制作の途中の確認→最終打ち合わせ。
制作の途中段階で確認をお願いしてる。 
修正箇所があればその都度手直ししていきます。 

約20日から一ヶ月後

・step4サンプルリングを試着         
結婚指輪を注文し、渡すまでに時間を取れる二人には、注文した素材(Pt900やK18など)での制作に入る前に、シルバーにてレプリカリングを創っています。 
普段の生活スタイルの中で身に着けてもらい、本当に二人の望むカタチかどうかを確認することができます。 
レプリカリングを使用中は満足するまで修正が可能です。 

約3週間後から一ヶ月後

・step5納品
完成したリングを渡す際は、必ずお店の保証証を付け、お渡し後のサイズ直しは何年経っても初回は無料で行います。 
2回目以降もサイズを大きくする際の材料代だけですみ、新品仕上げなどは無料となっています。 
表面の曇りやキズなどが気になったら、気軽に持参ください。 その場でリペアーしてくれます。

 

 

 

アークジュエリースタジオの鹿山さんはまさに相手の人生に寄り添い続けてきた職人。

ジュエリーは人生に潤いと豊かさを与えてくれるもの。

しかもそれは「形」として残り続けるもので、思い出はいつまでも色あせない。

例えば節目を花を贈って祝うことは定着していますが、形として残るというのがジュエリーの最大の魅力でしょう。

 

ここまでジュエリーを大事に深く考える職人はそうそういるものではない。

日本におけるジュエリー文化は、文化と言っていいのか憚れるものですが、売れ筋の一つのモデルを大量生産し大量販売して大きな利益を得る、それがジュエリー文化とされて浸透してきたこれまで。(文化というより、市場と言った方が正確かもしれない)

ジュエリーショップは百貨店や繁華街の一等地の路面店などで目にするものという固定イメージがありますが、いや、アークジュエリースタジオのように個人で工房を構える職人もいて、真摯に相手に向き合い、オーダーメイドで制作、細かい修理にも対応してくれる存在があることは(さらに言えば良心的な価格で)、もっと知られていいはず。

もっとも、鹿山さんのようなジュエリー作家は日本広しと言えど、あちこちにいるものではないですが、、、ジュエリーは敷居の高いものではなく、もっと生活に身近なものに感じられるようになるはず。

鹿山さんのような人がいることで、ジュエリーの印象が変わっていく。

 

人生の隣に寄り添い、いつも人生を華やかに彩ってくれるのがジュエリーであり、ヨーロッパでは当たり前のように定着している文化を、日本でも。

鹿山さんはジュエリーの持つ本当の意味・価値を信じているからこそ、日本でも珍しい形態のお店をこうして構えているのだ。

個人のジュエリー作家が、個人を相手に、オーダーメイド制作からリフォーム・修理まで全てやるという形態は、珍しい、少ないというか、ほとんど存在しないのが現状です。

ジュエリーの制作というのは、大手の場合、一つ一つの工程で作業が細分化された分業で多くの人が関わっていますが、鹿山さんのように一人で全ての行程を出来てしまう職人はなかなかいない。

(細分化されているのは大量生産システムのためで、こういうところから日本のジュエリー文化の薄さが見えてしまう。仕事が細分化されることでトータルで見ることができる職人が育まれない。というか、そういう作家を必要としてないのが大量生産システム)

それとは真逆の姿勢で立ち続ける鹿山さんは、デザイン、原型、鋳造、研磨、ロウ付け、彫金全てを一人でやってしまう。

さらに言えば、個人店ならではで、行程の間にお客さんと話して確認する細やかな接客も含まれているのが特徴。

このあり得なさは、家を建てる例を挙げれば理解してもらえるかも。

設計、建て方、電気ガス水道、瓦屋根、クロスまで一人でやると聞いたらどれだけ驚くでしょう。

 

しかし、鹿山さんに言わせれば、

「ジュエリー職人は本来はそうあるべきなのだ」。

 

個人に対応する個人のジュエリー作家のショップが日本でなぜ増えないのかは、結局、「やっていけないから」という結論に達してしまうわけですが、では、なぜアークジュエリースタジオはここまで繁昌しているのか。

それは・・・他の大手などがそれは仕事ではない(利幅がない)、と切っている仕事を、「いや、それこそが本当のジュエリー職員の仕事なんだ」と、要望に応えて細かい修理などの仕事を積極的に引き受けていrから。だから、個人の信頼をがっちりと得ているから仕事が途切れることがない。

顔を合わせた関係を大事にしている鹿山さんは、つい先日は、秋田県からわざわざアークジュエリースタジオ川越店までやって来てオーダーメイドの依頼をした人がいて、これから制作に入っていく。


こちらのオーダーは、彼女に内緒でサプライズエンゲージリングを贈りたいとの相談。彼女の誕生石であるトルマリンをアクセントに使用して、エンゲージリングのオーダーを。
通常、女性に贈るジュエリーでトルマリンと言うと、ピンクトルマリンが定番ですが、希少価値が高く、全ての宝石の中で唯一蛍光色を放つ、パライバトルマリンで制作のオーダーを受けた。
後日、「無事プロポーズ成功しました!」と、彼女を連れて2人でお店を訪れたという。



2人のお気に入りの風景をマリッジリングへ。
お客さんが持ち込んだ資料をもとに、可能な限り実際の山脈に近くなるよう凹凸を表現。山の日に入籍した山が好きなお2人ならではの壮大なデザインに仕上がりました。

 

猫好きの人のオーダーで、猫をモチーフにした指輪。

 

象のモチーフでマリッジリングを制作の事例。

共通の趣味、好きな風景、思い出の場所を象徴する建造物など、デザインのアイデアは無限大です。
 

メンズリングとレディースリングの素材が同じ、デザインも全く同じペアリングが一般的には多く販売されていますが、2本のリングが「同じデザインじゃないとペアとは呼べない」・・・という訳ではありません。
(メーカーがペアとして販売する事で売り易く、生産効率も上がるのでセットで販売している事が実は多い。。。)
2人がそれぞれ好きなデザインにアレンジし、どこかにセット感を出す模様を入れる等、オーダーメイドなら可能です。

 

 


 

そして、アークジュエリースタジオでもう一つ、大事にしている仕事がある。鹿山さんの信念と言っていいかもしれない。

それが、ジュエリーの修理。

 

新品を制作するのと同じくらい、大事にしているのがリフォーム・修理。他店で購入したジュエリーの修理も行っています。

傷がついて使わなくなり、修理に出そうとしても街にあるジュエリーショップではこうして細かい修理になかなか応じてくれない。直すなら新品の買い換えを進められたりして、それが分かっているから使わなくなったジュエリーはタンスの中に仕舞われ、日の目を見ずに何年、何十年と経っていく・・・

おそらく、日本中にタンスに眠ったままのジュエリーは山のようにあるでしょう。

ジュエリーに留まっている宝石の交換や留め直しの修理例。

 

 

鹿山が相手にしてきたのは、それこそ親子二代、三代というケースもざらにある。

「私が作ったジュエリーがその人から別の人に受け継がれていくことまでが私の仕事だと考えています」。

本人が婚約、結婚記念日に指輪を作り、結婚10年、20年ごとに記念の指輪を作り、やがて亡くなられると子どもが形見の指輪を作り直して受け継いでいく。そのオーダーもとても多いのだ。

やがて下の世代へ受け継がれ、思い出はジュエリーと共に輝き続ける。

こんなドラマのような思いの継承が、鹿山さんの前には毎日のように広がっている。

継承というのは例えば、母から自分が受け継いだリングを溶かして、孫たちへ贈るファーストジュエリーを制作して欲しいといったオーダーで、こういった要望は枚挙にいとまがありません。

 

さらに言えば、単にリフォーム・修理を受けるのみではなく、圧倒的技術でどこも直せなかったジュエリーを格安で受けている。

だから、ジュエリーのよろず相談所、最後の駆け込み寺のような場所になっている工房。リフォーム・修理の依頼は全国各地からやって来ます。

修理は、なんと1080円から。高くても3万円ほど。

修理の依頼に来た人に、これなら修理するより新品を買った方がいいですよなどとは一切言わない。新品より高くては修理と言えない、安く提供してこそ修理なのだ。

鹿山さんには、大事にしている矜持があった。

 

「自分の技術で直せるものは、全て直す」。

どこも直せなかったものを、どこよりも安く直す。

 

 

アークジュエリースタジオにあるのは、まさに人の人生の物語でした。

この時持ち込まれていた案件は、10年前に作ったピアスだった。

夫婦二人でお揃いでピアスを作りたいと鹿山さんに依頼し、制作。あれから10年が経ち、ピアスの一方がなくなってしまった、と。

鹿山さんは10年前に作ったピアスのデータも写真も残してあり、何より職人として作ったピアスは鮮明に憶えている。同じものを作るのはお手のものだった。

これが他のお店だったらどうだろう。

片方がなくなったら同じものを作って欲しいと言ったところで、もうそのモデルは販売していませんと返ってくるのがオチ。

思い出のピアスも、タンスの奥に封印されることになっていたかも。

それが、10年経っても同じものを作ってくれるという奇跡のような展開。

 

「でもこういうことをやるのが、本来のジュエリー職人の仕事なんです。こういうことなんです」。

と真っ直ぐに言った。

 

あるいは別のジュエリーの依頼は、年配の女性が大事にしていた指輪だった。今度息子さんが結婚することになった、そのお嫁さんに贈るプレゼントとして、自分がプロポーズされた時の婚約指輪を作り直して贈るように、と。

あるいは、母から譲り受けた婚約指輪を、自分達のブライダルリングへするためのリフォーム。こうしてジュエリーは次の代へと受け継がれ、思い出は永遠となる。
姿形は変わっても、大切な人から譲り受けたジュエリーを使用して唯一無二のオリジナルリングを作ることができます。

 

 

 

 


・・・などなど、人の物語は人の数だけあり、数えきれないほどの物語を形にしてきたこれまで。


店内にはその他、フランスやイギリス、アメリカなど、自分たちで買い付けたものを含め、アンティーク雑貨、小物レース、カップ&ソーサーなども展示販売しています。

 

 

 

 

アークジュエリースタジオの鹿山さんのこれまで、と、どういうきっかけでWarm Placeに引き寄せられたのか。いよいよ、深みに入っていきます。

アークジュエリースタジオの鹿山さんは、上福岡市(当時)出身。

鹿山さんの仕事歴は相当に長い。小さい頃から早く働きたい気持ちを強く持っていた鹿山さんは、仕事の始まりは、団地の前に並んで出店していた屋台の手伝いをしていた8歳の時だった。(!)

小学4年から中学3年までは朝刊の新聞配達の仕事。

高校は川越工業高校、20歳で結婚してジュエリーの仕事に就いてこの世界のスタートをきる。

最初は大手ジュエリー会社の大量生産の工場の一員。

20代前半で子どもが3人いて、同年代の人達との生活にギャップを感じながらも、独立する夢を描いて邁進し、仕事自体を楽しんでいた。

20代で会社の営業企画の室長まで昇進し、そして27歳の時に独立して創業したのが、「アークジュエリースタジオ」。

その発祥の地というのが川越に縁のある・・・なんと川越の霞ヶ関。

東武東上線霞ヶ関駅前のロータリー近くにある飲食店「あびーろーど」の二階に1990年に構えたのが、アークジュエリースタジオでした。

初めは、今のようにお客さんと対面してじっくり話しを聞くというスタイルではなく、大手とのBtoBの仕事を請け負っていて、ジュエリーの大量生産に追われていた日々だった。5年居た霞ヶ関時代は、心の内に葛藤を抱えながらの日々でもあった。

生活のために仕事として制作に没頭しながらも、職人として納得できないものも作らなければならないジレンマ。

本当にいいものを作ろうと独立したのに、

 

「このままでいいのか。もっと一人一人に向き合って、相手の話しに耳を傾けてジュエリーを作りたい」。

 

やりたいこととやらなくてはならないこと。

二つの気持ちの折り合いは日に日に噛み合わなくなり、やがて自分の本心が勝った。

その後、BtoBの大量生産の仕事は一切断ち切り、アークジュエリースタジオを若葉駅前に移して、個人客との対面を重視したスタイルに変えていった。

 

「本当に自分がやりたいことをここでやる。お客さんのための世界に一つだけのジュエリーを作りたい」。

 

若葉では修理の依頼も多く、自分の持てる技術を注ぎ込んで直しに直し続けていた。すると・・・評判が評判を呼び、ジュエリーの持ち込まれる件数が日に日に増えていき、忙しくも充実した日々を送っていたのだった。

若葉では16年半営業し、川島町で2年という道のりを歩んできた鹿山さん。

ジュエリー作家として脂が乗り切った今、思うことがあった。

「もっとジュエリーで困っている人の近くにいきたい」。

川島町の本店は既に多くの顧客がいるが、本店の場合は立地として目指して来る人が圧倒的に多い。

待ちの姿勢ではなく、人が行き交う場所に自分の方から出ていって、ジュエリーを発信したい。

川島町との距離の近さから川越に二号店を構えようと動き出した鹿山さんは、この今の物件を見つけたその日に内覧し、ここしかないと確信し、川越店を構えることを決めた。。2017年9月のことでした。

9月後半には契約して、なんと二日間でこの空間を作り上げたのだという。。。本店から移した調度品も使っているとはいえ、まるでもう2、3年はここで営業しているかのような落ち着きは、信じられないこと。

それだけ、これまで作ってきたアークジュエリースタジオの世界観がはっきりとしていて、0からのスタートではなかったのが大きい。

一朝一夕では築き得ない確固とした世界観が伝わるのでしょう、川越店に足を踏み入れる人は、しばらく居て、鹿山さんと話しをするとほぼ全ての人が、ここに頼みたい、と口にするという。

 

こういうお店が、人が、川越にあるというのも不思議な縁です。

このお店があることで、ジュエリーを身近に感じられるようになり、川越に必要、なくてはならないお店、とも思う。

ジュエリーに関して川越の人は実は恵まれた環境であるのだ、とも思えてしまう。

こういうお店のことはやはりこうして大きく街に知らせたくなります。

 

ジュエリーを身近に。

 

人生をジュエリーで彩る。

 

「Arc Jewelry Studio アークジュエリースタジオ」

・川越店
埼玉県川越市新富町1丁目9-3リジエールエフビル2F4号
営業時間
平日11:00~17:00 祝祭日11:00~17:00 水曜・木曜定休

TEL:080-1132-8507 (オーナー鹿山)

・川島本店

埼玉県比企郡川島町飯島450-1

営業時間
平日10:00~19:00 祝祭日10:00~18:00 水曜・木曜定休
TEL:049-297-6921
e-mail navi@arcjs.net
Homepage:http://arcjs.net/
Twitter :@Arc_Jewelry
Instagram :arc_jewelry_studio