川越style「瀧澤博人選手」王者としての第一戦のリングへ | 「小江戸川越STYLE」

「小江戸川越STYLE」

「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

2014年10月26日、後楽園ホールで行われたタイトルマッチを見事に制し、

新日本キックボクシング日本バンタム級王者に上り詰めた瀧澤博人選手。

 

「ここはゴールではなく通過点」

 

そう語っていたように、

瀧澤選手の新たな歩みが始まった。


チャンピオンになってから3ヶ月近く、

日本チャンピオンらしい余裕と落ち着きを身にまとい、

正月返上で毎日打ち込んできた練習の成果を発揮する時がきた。

2015年1月11日東京・後楽園ホールで開催された
2015年新春第一弾興行『WINNERS 2015』。

10試合以上ある中で、メインイベントに登場する瀧澤選手の対戦相手は、韓国の偉大な王者だった。

キム・ホンス選手は元々はバンタム級より2回級上を主戦場としており、
元韓国3団体を制した王者で、現韓国バンタム級1位の選手。
テコンドーをベースにしたトリッキーな動きが特徴の選手です。

瀧澤選手の王者として迎えた第一戦の相手としては実績申し分ないもので、

まさに日韓頂上決戦にふさわしいものになりそうだった。

 

試合に先立って前日計量・会見が、2015年1月10日都内にて行われ、
今回の試合では普段より2キロ重い、55kg契約となった。
瀧澤選手は、今までのような減量に苦しめられることもなく、順調に練習を重ねられたと話していた。

 

会見では、
「明日はチャンピオンになっての初戦なのでインパクトのある勝ち方をしようと思います。
バンタム級は凄い選手が揃っているので、
明日の試合をクリアーしたらその後は誰が相手でも構いません。
このタイトルを防衛していって世界タイトルを目標にしていきたい」
と意気込みを語った瀧澤選手。
その言葉を聞いた瀧澤選手の応援団も、彼の戦いを応援で後押ししようと改めて誓い合ったのだった。

 

興行には、瀧澤選手と同じくビクトリージムから、
永澤聖光、
石原しょうご、
櫓木淳平の4選手が出場し、熱い試合が展開されると予想された。
特に永澤選手は、
この試合に勝てばライト級タイトルマッチへの切符を手にすることになり、注目の一戦になる。
後楽園ホールは前売りからチケットがsold outとなり、
超満員の中で試合が繰り広げられることになった。

 

 

日が明けて、翌1月11日。

 



夕方から始まった興行には、
メインイベントである瀧澤選手の試合はまだまだ先にもかかわらず、
第一試合から席を陣取る赤いTシャツの一団の姿があった。
胸元に書かれているのは、「南大塚応援団」。
川越の南大塚在住の瀧澤選手を応援しようと、南大塚を中心にして結成された応援団で、
瀧澤選手のプロ一戦目の時に発足し、毎試合後楽園ホールなどに駆けつけて応援しています。


 

また、後楽園ホールの客席を見渡すと、

 

応援団はキックボクシングの試合のみならず、
先月狭山市のLIVE STATIONで行われた瀧澤選手のLIVEにも足を運んでいた方々も多くいた。

 

 

(2014年12月瀧澤さんのLIVEより)

 

「歌うキックボクサー」と形容される瀧澤選手を両面から応援している応援団。
この日も団長、副団長はリング近くの席に座り、試合を待ち構えていました。
この試合から、二人は特注の黒のTシャツとなり、一目で分かるようになっていた。

団長は、市立川越高校の野球部のヘッドコーチを務めている。
近年の野球部の躍進の秘密と瀧澤選手の知られざるエピソードを教えてくれた。
「スポーツトレーニングの専門家に学校に来てもらって、
トレーニングを重ねているところから、うちの野球部は強くなった。
トレーナーが来る時は博人も学校に来て、高校球児たちと一緒にトレーニングしているんですよ」
とのこと。
野球部員と瀧澤選手は今ではTwitterでやり取りするほど仲良くなっているとのことだった。

 


瀧澤選手の試合を待つ応援団の方々に話しを伺った。


今回の韓国の元3団体王者について、
「相手にとって不足なし。世界を獲るためにはいい相手だと思います。
これが世界へのプロローグですね」
と表情を引き締めていました。
最近の瀧澤選手の様子を、
「立ち居振る舞いが一皮向けて、責任感が出てきたのを感じる」と見ている。
なにより、応援団を大切にする人間性に魅かれると話していました。

応援団の誰に訊いても、瀧澤選手の人柄を第一に挙げる人が多い。

 

他の選手の試合も、それぞれに応援する人がいて「頑張れー!!」と声援を送っているが、

 

南大塚から駆けつけた応援団の数は一際多かった。

単に強いだけの選手なら、毎試合のように川越などから後楽園ホールまでここまで集まらないと思うし、
そこに足を運ばせるのは礼儀と感謝を忘れない瀧澤選手の人柄。

さらに言うと、瀧澤さんのお兄さんもお母さんも、同じように周りへの感謝を忘れない。

一家がみんな魅力的というのは、どの応援団員も口にしていました。

 

2年ほど前から応援団に入って毎試合のように応援している方は、

「圧倒的な強さで王者らしい戦い方を見せて欲しい。でもどんな形でも勝ってくれれば嬉しいですよ」

 

と期待を込めて話していました。

 

この試合から応援団に入ったのが、南大塚駅北口にある『やしの樹接骨院』の角田さん。
「地域で頑張っている選手を応援したい」とこの日も会場に駆けつけていました。

 

そしてこの日も、お兄さんの幸人さんがずっと駆け回り、

応援団の方々との調整を担当していた。

「最近の博人は、練習量も増えて、練習の質も上がっているように思います。

本人的にもいい練習ができていると思うので、それをどれだけ試合に出せるかですね」

と話していました。話したのもつかの間、

メガホン、ペットボトルなどの自作の応援グッズを応援団に配って回るために、また動き回っていました。

 

リング上で続く試合を見つめながら、
瀧澤選手も始めはメインイベント前に出場していて、
そこから一戦一戦勝ち進むごとにランキングを上げ、興行の注目の一戦となり、
ベルトを掴み取るまでになったことを思った。

 

ただ、プロ一戦目から見つめている応援団の方に言わせると、
「博人はプロ一戦目から他の選手とは雰囲気が違った。持ってるものが違うと思ったよ」
そう思わせる何かを感じさせる選手だったという。

今、王者になった瀧澤選手はさらに謙虚になり、常に前向きに上を目指し、
そして天性のオーラで人を惹き付け続けている。

 

場内に轟くような歓声が沸き起こった。

 

ビクトリー所属の永澤選手が3-0の判定で見事に試合に勝ち、これでタイトルマッチに臨むことになった。

快進撃が続くビクトリー勢。

瀧澤選手の応援だけでなく、ビクトリージムの選手が出場する試合は、

南大塚応援団も一緒になって応援していました。

 

そして、瀧澤選手の試合が迫ると慌しくなってくる応援団。

 

席を離れ、続々と奥の通路に集結していました。

のぼりを手にした面々は、瀧澤選手が入場する時に花道を作ろうとしていた。

これも毎試合の恒例となっていて、花道を歩いていく瀧澤選手に最後の声をかけ、

自分達も博人と一緒に戦うから安心して上がれ、とリングに送り出す。大事な儀式なのだ。

 

この日の興行では10試合以上の試合が組まれていましたが、

 

こうしてのぼりを立てた長い花道を作っていたのは瀧澤選手の応援団だけだけだった。

場内の照明が落とされ、入場コールが響き渡った。


 

 


 

「赤コーナー、ビクトリージム日本バンタム級チャンピオン、瀧澤博人!!

 

青コーナー、韓国バンタム級一位、キム・ホンス!!」


 


リング中央に歩み寄る二人。「博人頑張れー!!」「博人、落ち着いていけ!!」
客席から応援団の声援がリングまで届いてくる。

 

後楽園ホールは、この日一番の熱気に包まれていた。


ゴングが打ち鳴らされ、瀧澤選手の王者第一戦の試合が始まった。
1R。

相手のキム・ホンス選手は韓国の元3団体チャンピオン、まずは相手の出方を探る瀧澤選手。

タフな試合になるかもしれないと警戒しつつも、

受けた技の威力は『そうでもないな』と内心思っていたことを後で振り返っていた。

『これだったら、いくらもらっても倒れることはないな』と実力を見極めていた。

 

いつもなら当日計量で体内の水分がカラカラで、足が滑りやすくなっていた。

 

しかし、この日は前日計量で水分が残っているので、足元から汗が出て、

リングマットを踏みしめるストッパーになって動きやすかったと言います。




リング下の木暮代表から、「くるよ!ガード上げて!」指示が飛ぶ。

瀧澤選手のパンチやキックが当たると、場内から「オオイ!」と掛け声が飛ぶ。

子どもたちが、「ひろ ひと!ひろ ひと!」と声を合わせて応援しているのが聞こえてきた。

瀧澤の重いパンチが当たると、応援団総立ちになっていた。

「ラスト30!」

瀧澤選手が考えていたプランは、1R、2Rで相手の持っているものを全部出させてから仕留める。

順調な出だしの1Rだった。

 

「相手は韓国の偉大なチャンピオン、1Rから倒しにいくよりも

 

時間をかけてしっかり見極めて戦った方が、瀧澤博人を周りに知らしめることができる」

なんとも冷静に、客観的にゲームプランを練っていた瀧澤選手だった。


インターバルで、八木沼会長のアドバイスに耳を傾ける瀧澤選手。

表情はいたって冷静だった。

 

2Rに入っても冷静に戦う瀧澤選手。深追いせず、距離を保った戦いとなった。

 

ドスっという重い音とともに相手を捕らえるパンチ。

応援団は「博人、いけ!!」

「前出ろ!前出ろ!」「オオイ!」とずっと声援を送っていた。



 

3R。最終ラウンドとなり、ゴングが鳴ると場内が一際大きな声援に包まれる。

 

応援団以外にも熱は伝染し、日韓戦独特な雰囲気が客席を覆っていった。

瀧澤選手の角度のいいパンチが当たると相手がぐらついた。

「オオイ!」

「ひろ ひと!ひろ ひと!」応援団が一体となってコールを送る。みんな声の限りに叫んでいた。




試合終了のゴングが鳴ると、瀧澤選手は勝利を確信したように応援団に向けて腕を突き上げた。

 

場内にアナウンスが流れる。

 

「判定に入ります」しばらくの沈黙が後楽園ホールを包み、

「勝者、赤コーナー瀧澤!!」

その瞬間、割れんばかりの拍手と絶叫が場内に溢れました。

判定の末3-0にて瀧澤選手の快勝。

1ポイントも落とさず、王者第一戦として磐石の試合運びで勝ちを収めました。

日本人やタイ人にはない、テコンドーベースの独特なステップに惑わされなかったのも勝因だった。

今回の試合を通して、

世界に向けてこれから何が必要なのか、改めて分かった1戦だったのではないでしょうか。

 

瀧澤選手は、「今日は王者一戦目ということで、負けられないと思っていました。

 

チャンピオンとして勝ちに徹した試合はできたかなと思います」と振り返っていました。



終わってみれば、ビクトリージム所属の4選手とも勝利し、

新年幸先の良いスタートとなりました。


試合が終わると、また川越に向けて戻っていく応援団だった。
試合に勝てたことを喜び合い、余韻に浸りながら帰路につく。
川越の南大塚では、駅北口にある「安兵衛」さんにて祝勝会の席がすでに用意されていました。
ここは、タイトルマッチの試合後にも集まったお店で、瀧澤選手の試合の祝勝会に欠かせないお店。
お店の大将は瀧澤選手を応援し、また、瀧澤さん一家もよくお店を利用しているそう。
応援団で先に祝勝会を始めて、和気あいあいと話しは盛り上がっていました。

団長も、「博人を世界に行かせるつもり」と気合が入ります。

みんなの雰囲気はどこか大家族的なものを感じる温かみがあって、
一人の若者を応援するために地域が一つになる様子は、
今の南大塚に地域コミュニティがあるとするなら、

瀧澤選手の応援団がその役目も果たしているのではないかと思う。

 

途中、試合が終わった後駆けつけた瀧澤選手も合流し、
改めて乾杯となりました。

 

 

「今日も応援ありがとうございました。韓国のチャンピオンを倒すことができたので、

 

これでまた世界に近づいたと思います。今日はどうもありがとうございました!!」

 

 

今回の試合では上手い試合運びもあって、無傷でリングを下り、

試合直後にも関わらず瀧澤選手は元気そうでした。
そして今日の戦いでも、「応援団の声が本当に力になりました」と

みなさんに感謝の言葉を述べていました。


安兵衛さんを後にしてもまだまだ余韻冷めやらぬ応援団。
次は南大塚駅近くに新しくできた素敵なお店、

「CLEVER」さんに向かい、美味しいワインで勝利の美酒に酔いました。
このCLEVERさんも瀧澤選手の応援団に入っていて、後楽園ホールにも応援に来ていました。

思えば南大塚には、洋食のお店自体が少ない中、市街地にあってもおかしくないお店が

「ナンツカを盛り上げたい」とこの地に生まれた。改めて掘り下げたいお店です。

ここでも話すことは、今日の試合のこと、キックボクシングのこと、話しが止まりません。

そしてふと、瀧澤選手が興味深い話しをしていました。

「リングに上がる時にいつも思うのは、リングに一歩でも入ったらもう、

命を捨てる気持ちで臨んでるんです。命を一度捨てたと思えばそれ以上に怖いものはない」
それは、自分と向き合い、厳しいトレーニングを積んでリングに上がる者こそが感じることだった。

「侍は一度刀を抜いたら、相手を殺すか自分が殺されるまで鞘にしまえない。

その心境と同じだと思います。

リングに上がるとやっぱり日本人は、どこまでいっても日本人なんだなって思いますよ。

自分の中に侍の血が流れているのを強く感じるんです。日本人ならみんな根本的に持っていると思う。

これを日本人は誇らなくては。世界に誇れるものだと思います」

 

この後ももう一軒行こうと、〆に庄やさん向かいました。

 

解散する頃はもう朝近くの時間になっていた。熱すぎる南大塚応援団です!

瀧澤選手と歩む道のり、
応援団一丸となって、これからも応援していきます。

次戦は相手が決まれば春先に防衛戦、その先にできれば年内に世界戦を目指しているそう。

世界戦となれば、川越中だけでなく日本中で話題になりそうです。

今後の活躍に注目です。。。!

 

読者登録してね