川越style「川越高校応援部」伝統のバトンを受け取った第50代、51代応援部員 | 「小江戸川越STYLE」

「小江戸川越STYLE」

「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

2014年9月7日川越高校くすのき祭、

体育館で行われた応援部による第50回演技発表会には、

600人ほどの観客が集まり、三年生最後の華麗なる応援演技の勇姿を見届けました。

最前列で演技していた三年生、

その後ろで支えていたのが一、二年生たちでした。

あの日で第49代である三年生が引退となり、

第50代の二年生、第51代の一年生へと代が変わった。

後方演技から最前列へと移ることになった下級生。伝統のバトンが受け渡された節目の日でした。

そして、応援部としての新たな活動が始まっていった。

 

応援部の活動は校内行事で演技することはもちろん、

 

川越の街の中のイベントに呼ばれることも相変わらず多く、

代が変わって一ヶ月ほど過ぎた頃、

アトレマルヒロが手がけた川越の一大ファッションイベント「カワコレ」こと、
『KAWAGOE COLLECTION 2014AUTUMN&WINTER』が開催され、

イベントの盛会を祈るようオープニングアクトに登場していました。
2014年10月11日、
川越駅東口を出てアトレマルヒロの入口前には、

赤い絨毯が敷かれた特設スペースが準備され、

演技が始まるのを今か今かと待つ人だかりができていました。


 

 


集まっていた人の雰囲気で印象的だったのは、

通りすがりというより、応援部を目当てにして来ている方も多かったこと。

保護者の方も多くいましたが、それ以外にもカメラを手に場所取りしている方もいて、

話しを伺うと応援部の活動のことに詳しく、よくよく訊いてみると応援部の演技が好きだと言い、

「くすのき祭の演技発表会にも見に行きました」という方がいた。

昨年の夏の県大会の試合のことも知っていました。

ここまでくるとファンともいえ、応援部のきっちりした姿勢、佇まい、型の綺麗さ、などが好きなんだそう。

確かにそこに一番の魅力がある。

 

こうして代が変わっても、応援部を追いかけようと思ったのは、

 

そこに長い時間を経た伝統に裏打ちされた確かさがあるから。

それはまるで、川越におけるお囃子の世界のような確かさもあって、

応援部とお囃子をいつも対比して見てしまうのは、

脈々と受け継がれてきた音、伝統は両者とも同じものだから。

そしてどちらも川越にしっくりくるもので、川越らしいものだと思います。

 

古典文学が今でも残り読まれているのは、長い時間に耐えられる普遍性があるからで、

 

同じようにお囃子の音色にも応援部の演技にも、

今に残っているだけの普遍性があるからとだと考えます。

お囃子との比較で大きく違うのは、

お囃子が幅広い年代が参加した大家族のような雰囲気なのに対して、

応援部には高校生しかいない。そこが驚くべきことなんです。

代によって多少の違いはあっても、基本の型は部の伝統として守り、受け継がれていて、

それを先生の指導よりも「上級生から下級生へ部員間で」継承されている点が応援部の特徴的な部分。

上級生が下の世代に型を教え込み、追い込む、

今の時代の高校生が行っていることに驚きます。

さらに言うと、この50年、

その時の現役の高校生たちが守ろうとしてきたことが他の伝統とは大きく異なります。

 

アトレマルヒロでは、通りすがりの方も人の輪に吸い込まれ、

 

気付いたら幾重にも取り巻いている状態になっていた。

時間になるまで、真っ直ぐ立って前を見据える部員たち。

一年生は部に入って半年ほどですが、だんだんと型を自分のものにしてきたようだった。

立つ姿勢も型の一つで、立つだけで既に応援は始まっている。

その立ち姿から周りを鼓舞することになり、

応援部がそこに立つだけで場の空気の方向が決まってくる。

そう方向付ける立ち姿を目指しているように思う。

素人目ながら、応援は、ダイナミックな演技にも目を奪われますが、

立ち姿こそ応援部の本質のように見えます。

人の立つ姿、というものほど人に訴えるものはないし、

長時間同じ姿勢を保つ難しさが分かるから、

「応援部はあれだけ頑張っている」「自分たちも諦めちゃだめだ」と奮い立つ。

立つ様は生き様。立つ様から何かを伝えようとするのが応援部である。

加えて、礼の型、拍手の型、応援演技の型、など動作一つ一つに50年の型が存在する。

 

型を磨いていく先は、誰と勝負するものでもない、どこと試合するわけでもない、

 

向かい合うのは常に自分。

高校生らしい、理想を純粋に、時に頑ななまでに追及する追い込み方で練習している日々。

型の美しさ、揃った動きの綺麗さ、川越高校応援部の応援演技は川越の財産である。

 

時間になり、第50代応援団長が前に進み出て、

 

いよいよ応援演技が始まりました。

 

 











演技が終わると大拍手。「いやあ、凄いね~!」という声があちこちから聞こえてきました。

多くの方の目に触れ、また新たに川越にインパクトを残した日となりました。

観客の凄いね、という言葉には単に珍しいものを見たという以上に、

実感のこもった重さが感じられた。

目先の面白さではなく、長い時間に裏打ちされた確かなものがある、

演技が始まるとみんなそのことを感じ取って、どんどん引き込まれていく。

一目見ただけで、「川越にこういう『伝統』があるんだ」と思わせる力がある。

 

そして、他のいわゆる伝統芸と違うのは、

 

伝統芸は見て楽しむものですが、応援演技は楽しむだけでなくこちらの心に迫ってくるものがある。

見ているうちに気持ちが熱くなって、高ぶってくる。

熱のダイレクトな伝染が応援演技にはある。

 

去年街の中で見た応援演技でも、

 

始まる前と終わった後の、観客の表情の充実さが違っていたのを何度も見てきました。

 

この昨年秋のアトレの演技は、代が変わってまだ間もない時期で、

 

二年生、一年生は自分たちが最前列に立つことにまだ慣れていない面も感じられた。

ふと横を見ると、やはり気になっていたんでしょう、

先代の第49代団長である三年生が様子を見に来て、アドバイスを送っていた。

OBが後輩をいつまでも指導、面倒見るのも応援部の伝統です。

 

特にOBが気にしているのは、現在二年生が一人しかいないこと。

 

つまり、唯一の二年生が団長であり、以下一年生12人の指導を一人で行っている。

自分も技を磨かなくてはならない中で、大勢の後輩の指導も欠かせないというのは、

体力的・心理的な負担は相当なものだと想像できます。

アトレの演技の裏側には団長の苦労があっただろうし、

気にかけているOBが、積極的に練習にやって来て指導した成果でもあったと思う。

 

この日から第50代、51代の活動を見守る日々が始まりました。

 

そして、あの日からしばらくして一通のメールが届いた。

51代である一年生の保護者の方からだった。

毎月のように保護者の方は集まって交流を深めていて、

その席にぜひ来ませんか?というお誘いだった。


2014年年末、川越市内のお店で行われた応援部保護者会に招待して頂き、
和気あいあいとした雰囲気で食事しながら、保護者目線からの応援部のことを聞くことができました。
保護者の方との縁ができたのは、昨年応援部の活動に密着して追いかけている中で、
様子を伝える記事を楽しみにしていると連絡頂き、対面することができました。
保護者の方は応援部員たちの放課後の練習風景を見ることはできないし、

そのことを伝えた昨年の記事をコピーして親戚中に見せた、と教えてくれた方もいました。

 

宴席に集まっていたのは二年生、一年生の保護者の方。

 

話しを聞いていて感じたのは、保護者の方も一緒になって闘っているんだということでした。

皆さんそれまでは応援部のことは全く知らず、子どもたちが部活に応援部を選んだことに、

どんな部か想像できなかったり、戸惑ったり、心配になったり、さまざまな感想を持った。

それでも応援部員として進んでいくなら応援したい、と一緒に歩むと決め、

街中で演技を披露する時にはできる限り駆けつけている。

「あの演技が好き」「今年の演技発表会で凱歌が見られたら嬉しい」

と、皆さん応援部のことがとても詳しく、応援部のことをずっと語り合っていました。


年が明けて2015年1月10日。

川越駅東口デッキ上には、再び人だかりができていました。

以前のアトレマルヒロのイベントの時よりも明らかに人が多い。

時間に余裕を持って行ったつもりが、既にたくさんの人が待ち構えていてびっくりしました。


 

 

 

 


1月10日は「110番の日」。

それにあわせて県内各地でさまざまな関連イベントが開催されていました。
昨年埼玉県警が受けた110番通報65万2千件のうち約3割が間違いやいたずら、問い合わせだったそう。

県警本部では、通信指令課と浦和署が、

さいたま市出身のタレント村田綾さんに一日通信指令課長を委嘱。
東武東上線志木駅では9日、新座署の「一日警察署長」を委嘱された、

鶴見学園女子大で昨年のキャンパスクイーンコンテストで準優勝の伊藤さんが

110番通報の適切な利用を呼びかけました。
東入間署では、女子野球日本代表の六角彩子選手に一日署長を委嘱。
三郷市の「ららぽーと新三郷」では10日午後2時半から、

県警と吉川署管内の3市町のゆるキャラ4体が協力してアイドルを犯罪から守る、

という設定のコメディが披露された。

 

そしてここ川越では、川越高校応援部に声がかかり、

 

川越駅という最も人が行き交う場で、演技を通して110番の適切な利用を訴えました。

応援部が110番の日に演技するのは一昨年から数えて今年で3回目。

この日を知っていて来られている方も多かったと思います。

ちなみに、応援部が110番の日のイベントに登場したことから、

街の人に広く知られるようになり、

一番街のイベント宵の市などに呼ばれて、さらに広がっていった。

街に出て行くきっかけになった原点といえる行事です。

 

応援部の演技は昨年の10月に見た以来でしたが、

 

東口に出てすぐに彼らの顔つきに目がいった。

この短期間で別人のように随分違っていたのが印象的だった。

表情が締まって、立つ姿に落ち着きを感じる。

応援部員としての深みが出てきたように思いました。

司会の部員の話しぶりも重みが出てきて、ぐいぐい世界に引き込まれる。

保護者の方も多数駆け付け、

司会の話しに「名門!!」と合いの手を入れるのも大声で行っていた。

思えば、この「名門!!」という合いの手は、

今まではOBが大声で入れることが多いのに比べ、

保護者の方は声が小さかったように思いますが、

今は以前より慣れてきたのか、周りに観客が大勢いても大きな声で応えるようになっていました。

 

風の強い日でしたが、このデッキ上でなんと団旗を揚げ観客を魅了。

 

団旗を揚げるのは、くすのき祭の演技発表会以来だそう。

 

続いて第一、二、四応援歌を披露し、野球応援メドレー、

 

部員が考えた余興の防犯コント、校歌という内容でした。


 

 

 

 

 

 

 

 











 

30分間の演技でしたが、濃密な時間で観客を虜にしました。

 

自分達の演技をしながら、「渡る時 必ず左右を確かめよう!」「いち早く 急がず慌てず冷静に!」など

 

啓発フレーズを入れるのもこの日らしい演技でした。

終わると、110番の啓発記念品を観客に配るのも恒例です。

警察の方も、「今年も凄い良かったですね」と応援部顧問の先生に話していて、

川越の110番の日の恒例行事になっていくことを願っています。

 

ここでも、第48代OBが見に来ていたので、現団長にアドバイスを送っていたのが

 

応援部らしいと思いました。こうして伝統が繋がっていく。


川越高校応援部の次の大事な行事といえば、「日輪の下に」。
埼玉県の元旧制中学である六校、

松山高校・浦和高校・川越高校・春日部高校・熊谷高校・不動岡高校の応援部で

六校応援団連盟を結成しており、
夏の全国高校野球選手権大会埼玉開会式を始め、インターハイ結団式など、
様々な活動をしています。
六校応援団連盟合同の演技発表会が日輪の下にで、今年は2015年2月15日に浦和高校で行われます。

各校の応援の違いを見る事ができる絶好の機会。

ぜひ足を運んでみてください。

 

川越高校応援部は、一年生の人数が多いこともあり迫力があります。

 

団長が一年生を引っ張り、一年生が団長の演技を盛り立てる。

高校生が頑なに守る伝統を、温かい目で応援してもらえれば幸いです。



読者登録してね