川越style「福原地区元旦マラソン」 | 「小江戸川越STYLE」

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川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

 

2015年元旦8時過ぎ。県道川越所沢線から福原公民館向かいの道を入っていき、

 

ふくはら幼稚園隣にあるスポーツパーク福原には、

子どもから大人まで続々と人が集まってきて新年の朝日に照らされていました。

 

野球場よりも広いグラウンドには、

 

「明けましておめでとうございます」と言葉を交わす光景があちこちにあり、

8時15分から始まった受付で、ゼッケンやハチマキを受け取り、
300人以上がスタートに備えていました。


 

 

 


川越の元旦マラソンといえば、毎年恒例となっている福原地区元旦マラソン。
今年でなんと39回目を迎えました。
主催は福原地区体育協力員連絡協議会。

 

 

スポーツパーク福原近くからスタートし、ゴールは福原小学校。
川越所沢線の両側に広がる、どこか懐かしさを感じさせる川越の原風景、

 

これぞ福原地区というような畑や雑木林が広がるコース、全長約5,5㎞です。
川越でマラソンというと、

昨年11月30日に行われた小江戸川越マラソンを思い浮かべる方も多いと思いますが、
2014年で5回目の開催だった小江戸川越マラソンと比べると、

知名度では劣りますが歴史は遥かに圧倒しているのが福原地区元旦マラソンです。
参加は、予約不要で当日直接会場へ。

小学生以上なら誰でも参加することができ、保険代を含めた200円の参加費で走ることができます。

 

元旦から気持ち良く走りたい、という方は多く、

 

このマラソンが今では川越で唯一の元旦マラソンなので、市内外各地から参加者があります。

 

「このマラソンには毎年参加しています。年明けの恒例行事です。

 

福原の風景が気持ちいいです」と話す参加者。

 

「友人に誘われて初めて参加します。5,5㎞はちょうど良い距離ですね」
朝日に照らされた表情は、ワクワクしているのが伝わります。

 

すぐ近くに福原小・中学校があるので、子どもたちの姿も多く、

中には鶴ヶ島市からここまで走ってきて、そのままマラソンに参加する強者もいました。

 

そして、毎年参加している人にとって一番楽しみにしているものとして口を揃えて話していたのが、

 

ゴールの福原小学校で振る舞われるトン汁。
福原地区体育協力員連絡協議会(以下略、福原地区体協)の人たちが手作りで用意するトン汁は、

福原地区の農家さんが提供する里芋、ニンジン、ネギ、ゴボウ、大根などの野菜を使っているもの。
福原地区といえば、その土質の良さから土の中で育てる野菜の味は絶品です。


ふと、知っている顔がいるなと思ったら、福原地区下松原の農家さんの戸田さんでした。元旦にここで再開してお互いびっくりしました。
戸田さんが作るさつま芋畑のことは昨年伝えてきました。

2014年川越のさつま芋作り

 


戸田さんは、昨年4月から福原地区体協の理事として活動しています。
福原地区体協には、福原地区の22の自治会から数人ずつ選ばれた人たちが参加していて、

 

 

元旦マラソンをはじめとした地区の年間行事を支えています。




福原地区体協には、現在85人います。
この元旦マラソンは交通規制をせずに行っているので、

道を渡る箇所や交差点などには運営スタッフが数人ずつ立ち、ランナーを安全に誘導しています。

 

ちなみに、福原小学校の裏手には有機野菜を作っている永野さんの畑が広がっていて、

 

川越の中で農家さんが一際多い地区でもあります。


9時になると、グラウンドを埋め尽くすほどの参加者が集まり、熱気溢れる雰囲気に。
開会式の後に準備運動を行い、いよいよスタート地点へと移動していきました。




スタートはまず一般男女が走り始め、続いて10分後に小学生男女が飛び出していきます。
福原地区元旦マラソンは、

競技性よりも新年を気持ち良く迎える地域の行事としての特色があるマラソン。
もともと元旦マラソンが始まった経緯が、

 

「元旦に走りながら、地域の氏神様にお詣りしてもらおうという意図で始まったんです」

 

 

と話す福原地区体協の菊池さん。
コースの中には、下赤坂八幡神社と中福稲荷神社に立ち寄るよう組み込まれています。

39年前は、地域の人が中心に参加する地域の行事でしたが、
誰でも参加できるとのことから口コミで広がっていき、年々参加者を増やしてきました。
特に小江戸川越マラソンが始まる数年前、NHK FMラジオで放送された時に反響があり、

 

折からのマラソンブームの後押しもあって、目に見える形で参加が増えていったと言います。
さらには小江戸川越マラソンの時に

福原地区元旦マラソンのハチマキをして走ってくれる人もいて、口コミも大きな力になった。

毎年コツコツと開催してきて39回目。
マラソンブームが起きる遥か昔から続いていて、これだけの歴史があるマラソンは、
実は他には青梅マラソンなど数えるほどしかない。というものが川越の福原地区にあります。

 

「毎年このマラソンを走るのを楽しみにしています、と言ってくれる方が多くて嬉しいです」
と話す菊池さん。
このマラソンの、走る最中に神社2箇所にお詣りし、

 

ゴールにはトン汁が振る舞われるというユニークさは、全国探しても珍しい。


「ランナーの方に、このマラソンは雰囲気が温かい、と言われるんです」


それはなにより福原の風景の温かみだろうし、人の温かさ、風土の温かさだと思います。





視界一面畑が広がる風景。道の真ん中に参加者が固まります。

9時半、スタートの号砲が空に響きました。

 

 

 

 



福原地区元旦マラソン、コースは

川越所沢線を真ん中にしたらその東西の地域をぐるっと一周する行程。

その風景にも注目してください。

スポーツパーク福原近くからまずは南に向かい、雑木林の中を抜けて辻を右に曲がって進みます。

 

コース最初の大事なポイントは、下赤坂八幡神社。

 

畑の間の細道を駆けていって、木が生い茂る中にある神社に入っていきます。

 

 

 

 



境内では運営スタッフが待ち構えて、ランナーにお賽銭を渡しています。
五円玉を受け取ったランナーは、お賽銭箱に入れ手を合わせてお詣りを済ませる。

 

下赤坂八幡神社を出たランナーは、

 

川越所沢線の方向へ走り、これを越えて逆側の地域に進んでいきます。

途中富士山が遠くにちらりと見えました。

みなさん思い思いのペースで走っていて楽しそう、しかも沿道の家々の方の応援が温かいです。

元旦の朝早くから家から出て、「頑張って!」とランナーを応援する姿があちこちにありました。

 

 





福原地区は人口20000人。面積はかなり広く、南古谷地区に次ぐ広さです。

歴史も古く、もともと原野・林野だったところを、

1639年に川越藩主になった松平信綱が新田開発に力を注ぎました。

開発地域は9ヶ村に分けられ、開墾が始まった。

江戸初期に開かれて以来、代々続いている家が多く、

福原は団結力がある地域だと菊池さんは話します。


マラソンでお詣りする二つの神社以外にも、

平野神社や八雲神社、菅原神社に、枝垂桜が有名な明見院といった寺院もあります。

(明見院の枝垂桜)

それに、あちこちの道端には

馬頭観音、地蔵菩薩、庚申塔、弁財天など石仏がたくさんある地域でもあります。

 

この地域には中台囃子連と今福囃子連という、

 

川越まつりのお囃子に大きな影響を及ぼした二つの囃子連があり、

川越のお囃子の源流の一つをここに見ることができます。

まつりではそれぞれ、仲町の羅陵王の山車、六軒町の三番叟の山車に乗って演奏しています。

 

ランナーたちは、次のポイントである中福稲荷神社へたどり着くと、

 

ここでもスタッフから手渡されたお賽銭を握り締めて、お詣りしていく。

中福稲荷神社は広い境内に立派な神楽殿もあって、地域の大事な場所であることが分かります。


(中福稲荷神社へお詣り)

 

「この地域は地元愛が強い人が本当に多い。地域で何かあると、みんな自分のこととして関わってくれる」
と話す菊池さん。

 

 

福原地区の近年の大きな話題といえば、

 

2年前福原中学校の体育館で開かれた出張美術館がまっ先に挙げられるでしょう。

神奈川県にある真鶴アートミュージアムと人間国宝美術館が、

「日本を元気にしたい」と共同で行っているもので、出張美術館を全国各地で開いています。

福原中が全国5ヶ所目に見事に選ばれて、

岡本太郎、ピカソ、シャガールなど、

国内・国外合わせて100点以上の作品が体育館に展示されていました。

川越style

 

川越style

 

 

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福原地区毎年恒例のイベントで、

地区最大のイベントといえば、10月の第一日曜日にスポーツパーク福原で開催される体育祭。
地区の全22自治会が参加し、いろんな種目で競い合う地域の大運動会です。
地域を挙げての体育祭は、霞ヶ関地区や大東地区にもありますが、
テントが30以上並び、参加が3000人以上に上る福原地区は、

川越で開催される体育祭として最大の規模です。

体育祭は戦前から続き、途中戦争で途切れた時もありましたが、

去年が67回目の開催でした。

今、菊池さんが福原地区体協とは別に設立準備しているのが、
福原地区総合型地域スポーツクラブです。
これは文部科学省が政策として進めているもので、
全国で地域に密着した、多種目・多世代・多志向のスポーツクラブを増やしていこうというものです。
川越でも、山田、芳野、水上公園の3地域でクラブが立ち上がり、
菊池さんたちは平成28年に設立する準備をしています。

昨年の活動としては、

狭山市にあるホンダ陸上部の方に福原に来てもらい、走り方教室を開催しました。
ホンダといえば毎年元旦恒例のニューイヤー駅伝の強豪で、2015年の大会では第4位でした。
ちなみに今年のホンダのニューイヤー駅伝には、

かつて箱根駅伝を走った東洋大学の設楽選手をはじめ、東洋大学出身者が4人走っていました。

走り方教室は2014年9月に福原小学校の体育館で開催し、
ホンダ陸上部から堀口貴史さんなどOBが5人が来てくれたそう。
(堀口さんは、2014年の小江戸川越マラソン一般の部トップでゴール)

 

「子どもたちはもちろんだけど、お父さんお母さんたちも大喜びでしたよ」
と菊池さんは笑顔で振り返ります。
今年も5月に開催するそうなので、また多くの方で賑わいそうです。

 

 

 

 

元旦マラソンは、二つの神社にお詣りしたら、ゴールである福原小学校へ走りこむのみ。

 

ここまで来ると、足が止まる人もいて、子どもたちは休み休み進んでいました。

 

5,5km、速い人だともうゴールしている頃でしょうか。

 

ただタイムより、初詣と走りはじめを楽しむものとして、

マイペースに楽しんでいる方が多いのが印象的です。

家族みんなで参加できるマラソンとして貴重なものでもあります。



 

 



 

 

 

 


次々とゴールする参加者のみなさん。

ゴールすると完走賞を受け取り、トン汁をもらうと美味しそうに食べていました。

「これが目当てで走ってるんです(笑)」

と話す方がいるほど、福原の野菜を使ったトン汁は好評です。

トン汁を振る舞う福原地区体協のみなさんも、次々に熱々のトン汁をよそって応えます。




福原地区元旦マラソン、元旦は毎年晴れることが多く、

39回目の開催も天候に恵まれ、来年は節目の40回目の開催となります。

福原の風景の中を走るマラソン、

ぜひ、2016年元旦の朝に参加してみてください。




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