「辻の吉野屋」豚肉の鮮度のために30年の手仕事 | 「小江戸川越STYLE」

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「時が人を結ぶまち川越」
川越のヒト・コト・モノ、川越物語りメディア、小江戸川越STYLE。
川越の現場で様々なまちづくり活動にも従事しています。
「小江戸川越STYLE」代表:石川真

ひんやりと寒かった。。。


3度に保たれた冷蔵庫の中を

見させてもらうと、

そこにあったのは何頭もの豚が。


ずっしりと重そうな豚が下がっていました。


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豚肉は鮮度が命。

肉から骨を抜いた直後から鮮度は落ち劣化していく。

本当に美味しい、安心な豚肉を食べたいなら、

「骨抜き直後」の鮮度抜群のものを手に入れないとなんです。


しかし、そういう肉が

年々手に入りにくくなっているのも時代の流れ。


例えばスーパーでは、

骨を抜いて綺麗に処理をした「塊」がお店に輸送され、

お店ではカットするだけで、売り場に並んでいる。

それが今の「肉」の風景になっていて。


そんな中、時代の趨勢に抗うように、

頑固に信念を守り続けているお店があるんです。


「美味しい豚肉をお客さんに届けたい。

利益追求よりも、お客さんに喜んでもらいたい」


肉から骨を外して、輸送、カットの間に、

どんどん鮮度は落ちていく。

肉の事を考えたら、一番良いのはやはり、

一頭を骨付きで仕入れ、

店頭に出す直前に肉から骨を抜くこと。



ここでは、店の奥の作業場で、

毎日毎日豚肉の骨抜き作業を行っています。


骨を抜いたばかりの

鮮度の良い肉を店頭に並べる事、

それを自分の信念と見定め、

手作業で骨抜きを30年続けている頑固職人がいます。


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全身の体重をかけて、肩甲骨を抜く工程。

メリメリという音がします。

骨抜きで一番重労働な箇所。


なぜこんな大変な事を、手作業で行うのか。

それはこれが、

肉を傷めず一番鮮度の良い状態で提供できるから。


大きな骨も小さなあばら骨も、全て手で取り除いています。


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店頭に並んだ黒豚の切り落とし肉。¥140


個人の肉屋もスーパーの肉売り場も、

並んでいる肉の「風景」は同じかもしれない。


でも決定的に違うのは、

店の奥で、

毎日手仕事を行っている職人がいるかいないか。


骨抜き作業を見れば見るほど、

それは作業というより、

物作りのように見えてきました。


バラ肉でもロース肉でも切り落とし肉でも、

店頭に並んだ肉は、

その手で作った作品のよう。

いや、まさに作品ですね。


個人だからこそのこだわり、

実はお店のすぐ奥で

こんな作業をしていたんだ、

その想いと舞台裏に密着したいと思います。!



「肉屋の役割とは何か、いつも考えています」



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*



7月6日川越の一番街では

「宵の市」が開催されていました。♪
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第一土曜のイベント「宵の市」も、

今回で5回目。

一番街が熱いエネルギーに包まれ、


川越の新たなイベントとして、定着してきましたね。


通りを歩くと、幸町駐車場で、

屋台村、雑貨マーケット、DJブース。

埼玉りそな銀行ポケットパークでは、

尚美学園大学企画のライブ演奏。


さらに通りを歩いて行くと、

一番街の北の端、札の辻の交差点に辿り着きます。

散策の休憩にも使える

ゆったりとした広場があって。


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ここにあるお店が、

今回密着取材した頑固肉屋の・・・


「辻の吉野屋」


です。!


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このお店の歴史は、

川越の肉屋の歴史とまさにダブります。


辻の吉野屋は、お店を開いたのが

今から70年前。

当時、川越で3番目に始めた肉屋だったそう。


肉屋の歴史というか、

去年市制90年だった、川越市の歴史とも共に歩んできています。


手で行う骨抜き作業は昔のまま。

代々受け継がれてきた手仕事の技です。

それが、

鮮度の良い肉を提供するお店として、

地元に愛されてきた今の姿に繋がります。


並んでいる肉は、牛、豚、鶏、

肉屋として一通り手に入るお店。♪


初代から売ってる惣菜も人気で、

コロッケ、メンチカツ、ミートボール、ハンバーグ、などなど揃っています。

スーパーがない時代は、

惣菜の手作りコロッケに、数十メートルの行列ができていたそう。!



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辻の吉野家、特に豚肉には力を入れていて、

「小江戸黒豚」

「彩の国黒豚」

という、埼玉のブランド肉は充実の品揃えです。♪


小江戸黒豚バラスライス¥220

小江戸モモスライス¥170

黒豚ロースしょうが焼き用¥330


そもそも、川越で肉といったら、

イコール豚肉という歴史があり、

地域で昔から食べられている肉が豚。


中でも黒豚は、店主の吉崎さんも


「旨味が濃くて自分でも一番好き。

売れるのも黒豚が多いです」


とのこと。!


個人店ならではの強みとしては、

部位の特長や使い方を丁寧に教えてくれるのも

他にはない強みでしょうか。(-^□^-)


例えば、バラ肉だったら角煮、サムギョプサルなどなど、

ロースは、しょうが焼き、トンカツ、すき焼き、

切り落としは、野菜炒めや肉うどんなどに。


専門店として、それぞれの食べ方を教えてくれます。♪


ただ吉崎さんは、こうも言います・・・


「本当にいい豚だったら、

どこの部位でも味は変わらず美味しいんです。

柔らかさの違いだけですね」


そう、今まで肉と言ったら、

部位ごとに使い方が決まっていて、

スーパーのラベルに書いてある通りの肉の使い方をしていた。。。


吉崎さんの言葉には、カルチャーショックというか、

本当の肉の話しに触れられました。


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「だから、分かってる人は切り落としを買っていくんです。

味も美味しいし安い、いろんなものに使える。

うちで一番売れるのは切り落としです」


だそうです。(*^o^*)


そして先ほどの言葉に戻ります。


「肉屋の役割とは何か、いつも考えています」


吉崎さんが考える肉屋の役割は、

いい肉を最高の鮮度で提供すること。


お客さんから見る売り場としては・・・


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個人店に並んだ肉も、

スーパーなどに並んだ肉も、

風景としては変わらないかもしれない。


でも、この奥では、

「いろんな部位の肉を作る」という、

物作りにも似た骨抜き作業を行っているんです。ヽ(゚◇゚ )ノ


「こだわりを持たなくてはならない個人店でも、

出来上がった肉を仕入れているところもある。

確かに、この作業がなかったら凄く楽だと思う」


その仕事を見てもらう事が、

なによりこのお店の価値・違いが分かってもらえると思います。


冷蔵庫の様子と

実際に骨抜き作業を見せてもらいました。


売り場から奥に入っていきます。。。



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*



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一頭の豚の半分です。右から頭で、左が足。

肩、ロース、モモ。


週に4、5頭生産者から直接仕入れて、


まずは3日間冷蔵庫で熟成させる。


それから骨抜き作業です。


骨を抜いた肉はすぐに店に並べる。



30年間、毎日行ってる骨抜きは、

その名の通り、肉を手で抑えて骨を引き剥がす作業。

一頭30分くらいですが、まさに力仕事の連続です。


一番大変なのは、冒頭にもあった

肩甲骨を引き剥がす工程。

人間と同じで、大きな肩甲骨を取るのは大変な作業なんです。


ただの力任せでは肉を傷めるし、

そこは熟練の技。!


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肉から肩甲骨を引き剥がしました。

体重をかけて、一気に離していく。

見ているだけでも、手に力が入る工程です。



続いて、あばら骨を一本一本

タコ糸を使って引っ張って取る手仕事です。

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全部で20本以上あるあばら骨を、

一つずつ手で取っていきます。



そして最後にゲンコツを引き剥がし・・・
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ゲンコツ、ラーメンのスープで使われるあれですね。(*^o^*)

という、骨抜き作業でした。



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*



見せてもらった骨抜き作業、

それは凄い力仕事だったし、

吉崎さんの手による物作りでもあったと感じました。


この骨抜きをできる技術者も年々減っているそう。

なかなか受け継がれない現実があります。。。


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作業場から売り場に戻ってきました。♪

売り場の奥に、

ああいう仕事があった事に驚きというか、感動でしたね。!


こういう価値・違いって、

なかなかお客さんに伝わりきれてない気もするので、

これからもしっかり伝えていきたいと思います。(*^o^*)



辻の吉野屋というと、

惣菜も人気だけど、弁当が凄く人気あるんですよ~(-^□^-)
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がんこ肉屋が手がける

黒豚生生姜焼き弁当¥600

すぐ売り切れる人気弁当なので、お早めに!



最後に、なぜここまでこだわるのか、

吉崎さんに聞いてみました。


「地域に必要とされるお店だという事に意義がある。

お店がなくなって、寂しいと思う方がいないなら、

それは自分たちにとって凄く寂しいこと。

肉屋の本当の役割を考えて、お客さんに喜んでもらえるお店にしたいです」


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「辻の吉野屋」

川越市元町2-4-2

9:00~19:00水休



小江戸黒豚、

彩の国黒豚、

質の良い豚肉の事を伝えようとして

話しを聞き、聞いているうちに、

吉崎さんの手仕事の話しに引き込まれていきました。

そここそが、伝えなくてはならないものだ、と。


毎日の重労働、大変だと思いますが、

鮮度の良い美味しいお肉を

これからも提供してくださいませ(-^□^-)


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