『m3.comメンバーズメディア』向けに書き下ろしました4回にわたる医師限定公開コラム、

 

前作、ホテルやブランド店で引き算されない医師に続き、2つ目がアップされました。

 

 

ちなみに前作におきましては、

掲載当時の週間ランキングで3位を記録アップ

ありがとうございますキラキラ

 

 

 

当ブログで地味〜に検索上位をキープしているこちらの記事、

 

高級ホテルステイにおける大人の女性としての心構え・マナー

 

 

 

 

を4つに分け、

医師向けに(若干ちょっとグサッとくるようにニヒヒ)書いてます。

 

 

で、この度、アップされた2つ目のこちらも、

ブログにて惜しげもなく全文公開いたします。

 

ぜひご覧下さいませキラキラ

 

 

===========(以下本文)

 

こんにちは! 旅するフリーランス女医、えりおです。

 

週の半分ほど医師として従事する傍ら、総合旅行業務取扱管理者の資格を生かし、品格ある優雅な旅へ――体験した旅の情報は、現在メンバーズメディアのほか、ブログなどを通じ発信させていただいております。

 

前回から、4回にわたり、

 

日々の生活や旅先で良い待遇・サービスを受けられる客になるためのヒントは日々の診療にあり!

 

といったテーマで書かせていただいております。

 

 

「ついサービスしてしまいたくなる客」であるために、私が心がけていること、

コンセプトは「患者さんにされて嫌なことは、外ではしない」

 

 

私は日々の臨床からヒントを得て、旅先で以下のことを心がけています。

 

  1. お金を支払った「その先」を意識し、素晴らしいサービスに対しお金を払うことを渋らない
  2. サービスしていただく相手に敬意をきちんと払う
  3. 相手にプロ意識がない、ということが判明したら、毅然と、理路整然とクレームを入れる

 

前回お金の払い方について触れましたので、第2回の今回は「サービスしていただく相手に敬意をきちんと払う」とはどういうことなのか、日々の診療をヒントに自分の考えをお話したいと思います。

 

 

 

医師が“処方マシン”でないのと一緒――「やってもらって当然」はサービスの低下を生む

医師のモチベーションが一番下がるのが、患者さんの「医師は治療して当然だと思っている」といった態度ではないでしょうか。

 

医師は“薬処方マシン”ではないのと同じように、

高級レストランやホテルのスタッフというのは決して「召使い」ではありません。

 

「やってもらって当然」といった顧客側の態度は、その人に対するサービスの低下を生みます。

 

医師以外で言えば、ミュージシャンや画家といった芸術関係の仕事をされている方にありがちなお悩みが、知り合いからの「ちょっと歌ってよ」「ちょっと描いてよ」(無報酬あるいは超格安で)という“ソレ”のようですよ。

医師と言うと健康相談をされて困るなんてお話もありますが近いものを感じます。

 

ちょっと考えれば、その道のプロにこのようなことを言うのは「これ、なんか違う」と気づきそうなものですが、つい忘れてふるまってしまう。その原因は、なんなのでしょうか。日々の診療をヒントに自分なりに考えてみました。

 

 

 

 

「ちょっとここに書いてください」30秒でピカソに描いてもらった絵はタダなのか?

先に芸術家の例を出したついでですが、世界的に有名な画家、ピカソさんについてこのような逸話があるのをご存知でしょうか。

 

ピカソがマーケットを歩いていると、手に一枚の紙を持った見知らぬ女性がこう話しかけてきたそうです。

 

「ピカソさん、私、あなたの大ファンなんです。この紙に一つ絵を描いてくれませんか?」

 

ピカソは彼女に微笑み、たった30秒ほどで小さいながらも美しい絵を描きました。そして、彼女へと手渡し、こう続けます。

 

「この絵の価格は、100万ドルです」

 

女性は驚きました。

 

「ピカソさん、だってこの絵を描くのにたったの『30秒』しかかかっていないのですよ?」

 

ピカソは笑います。「30年と30秒ですよ」

 

これ、非常に深いエピソードではないでしょうか?

 

私たち医師は、まず医学部入学を志すことから始まり、医学部卒業、医師国家試験を経て、医師になってからも研修医、専門医と10年近くかけてこそ、今、医療の現場に存在することを許されています。

 

高級ホテルやレストランで勤務するスタッフも長い年月をかけて実績を蓄積してきて、今、先生がたの目の前にいるわけです。

 

その“時間”を見ずに「お金を払ってるんだからやれよ」と言わんばかりの態度をとった日にはどうでしょう。

一流のサービスを心得ている人であればあるほど、「そんな態度をとる人間に限って大した事はない」と見限り、出しているお金だってたかが知れていることを瞬時に見抜いてしまうでありましょう。

 

次の瞬間、彼らの心の中で何が起こるか……。

「このような人には、この程度の◯◯をあてがっておけばいいだろう」

決して口に出さずとも、彼らが心の底で考えるのはそういう趣旨のことではないでしょうか。

 

 

 

 

 

「お客様は神様です」は客ではなく、サービスする側が言うことである

これまで「サービスしろしろ」とゴリ押ししても良いサービスは引き出せないと述べてきたわけですが、

 

「俺は客なんだぞ」

 

これまた、サービスする側を萎えさせる文言ではないでしょうか。

 

私の専門は形成外科であるわけなのですが、そもそも喋り方が接客口調ではないゆえ、はなから美容医療には関わらず、「いや、そう言ったって、7割は国から、我々の税金から出るんですからね」という「口上」(実際には口には出さないですけどね)を武器にできる保険診療というものに活路を見出しております。

 

患者さんが10割負担する自由診療ともなりますと「このノリじゃまずダメだろう」とかねがね思っておるのですが、かといって実際、自由診療を主にされている先生、いかがなものでしょうかね。

 

いくらなんだって、「私がお金を払ってるんだから、なんだって私のやりたいようにしなさいよ」みたいなお客様、もとい、患者様相手にモチベーションは上がるものなのでしょうか。(自分は上がる気がしないので、自由診療に関わるのは最小限にしようかと思っているのですけれども…)

 

映画『マスカレード・ホテル』で「ホテルにルールなぞ、存在しません。お客様がルールです」といった趣旨の表現が出てくるのですが、これはあくまでホテル側が言うからこそであって、客がそれを言ってはいかんのではと思うのです。

 

これ、こうも書いておりますと、高級ホテルでの話以前に人として当たり前のことではないかとも思うのですが、でも実際は忘れてしまっている人が多いような気がいたします。

 

なので、試しにそこを少しでも考えてスタッフに接してみるのです。すると、彼らの態度、顔つき、変わってくる気がするのですよね。

 

もちろん、金銭のやり取りが発生しています。ゆえに、同じ人間同士とはいえ、ビジネスの延長上の関係として、相手の立場を考えたうえで、こちらがどう出れば、相手が自分に「より良くしてさしあげたい」と思ってくださるものか、そのように考えていくことになるわけです。

 

 

 

 

然るべき対価を払い、敬意を示すこと――サービスを受けるうえでの「真のマナー」

前回と重複するんですけれども、やはりこれが大事なもので、今回から読んでいただいている方のためにも、今一度復習する意味でも、繰り返させてください。

 

高級ホテルやレストランのマナー、調べるとたくさん出てくるのですが、サービスを受ける側の心構えとして、「相手に敬意を払う」「(サービスを受けて)当然だとは思わない」「感謝する」、これが一番大切な部分であり、一番語られない部分、かつ、これこそが全てではないでしょうか。

 

そして、この心構えは、なにも高級ホテルだけでなく、我々が携わる医療などあらゆる場面において共通してまいります。

 

自分以上に他の方のためを考えた行為、それは巡り巡ってちゃんと自分に還ってくるものです。

 

患者さんにされて嫌なことは、他の人にはしない。自分はそう言い聞かせて毎回旅に臨んでいます。

 

次回は、サービスを受けた相手にプロ意識がないということが判明したときの、医師としてスマートなクレームの入れ方について、自分なりに掘り下げてみようかと思います。

 

 

 

 

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〜参考サイト〜