【287話】中野海から見た「彼女、お借りします」 | 恋心、お借りします

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【287話】中野海から見た「彼女、お借りします」

 

はいどーも。甲楽わんです。先日のローソンコラボで、クリアファイルをコンプしたら、明治チョコが24個手に入りました。しばらくチョコ生活になりそうです笑。

 

 

 

 

 

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◆突然の海くんの訪問 287話

 

287話、”波乱”の海くん登場ということで、本編に動きがあったので、今週はブログを更新しようと思います。

 

 

和也とは対照的に、超絶イケメンで、華があり、SNSなどでも人気者。そんな圧倒的なモテ男に迫られたら、もしかしたら水原は…。なんて和也が心配してしまうのも無理ありませんね。和也の恋のライバルキャラとして、物語をかき乱してきた海くん。彼の登場に、和也と同様の不安を感じた読者も多かったのではないでしょうか。

 

ということで、今回は、中野海という人物の視点から物語を振り返り、千鶴との関係性(千鶴への思い)を整理してみたいと思います。千鶴を諦められず海くんが再びアプローチ、なんて多くの読者は想像しているかもしれませんが、そんな想像なんかよりも、もっとドキドキの展開が待っているのかもしれません!

 

 

 

 

  「中野海」の人物像

 

287話、突然海くんが一ノ瀬家に登場したことで、八重森さんと和也、千鶴の住む一ノ瀬家には”波乱”が巻き起こりました。海くん本人は小百合さんの仏壇にあいさつに来たんだと話すのですが、読者の中には別の意図(たとえば改めて千鶴にアプローチを仕掛けに来たのではないかとか)を想像してしまったり、胡散臭さを感じた方も多かったかもしれません。

 

では、実際にはどんな人物だと考えられるのでしょうか。物語を振り返ってみます。

 

結論から言えば、中野海は、とても良心的で千鶴も含め周りからの信頼を得ている人物ですね。決して悪事を働いたり、平気で他人を傷つけたり、人気物であることを鼻にかけるタイプの人物ではないでしょう。当然、女の子に強引に関係を迫ったりするような悪事を働く人物ではありません。

 

というのも、物語の中で海くんは、少し強引なときはありましたが、悪事を働いたり身勝手な行動をしたりしたことは一度もないからです。クリスマス直前に千鶴と会っていたときには、和也が不安に思っていたこと(千鶴を騙している)なんてなく、ただ千鶴に頼まれて”彼氏”(お客さん)へのプレゼントを選んでいただけでした。

 

 

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◆馬鹿だな 僕も 127話

 

また、千鶴へのアプローチが失敗してしまった後も、千鶴に拒絶されてしまったからと言って逆恨みすることはなく、恋敵の和也に対して嫌がらせすることもなく、約束通り二人の映画製作に協力し(クラファンの宣伝のためにリツイートをした)、実質的に二人の関係を後押ししています。映画製作後パーティーに誘ったときにも、特に何かするでもなく、千鶴と和也の様子を伺っていただけでした。

 

まぁ、実際今回宮島さんは明らかに海くんを胡散臭く見えるように描いています。あからさまに読者の不安を掻き立てるような作りになっていますから。海君を突然登場させその理由を十分に説明させないし、表情を分かりやすく描かないし(何を考えているかを隠している)、千鶴を見て何か考えているコマを入れているし。八重森さんと和也が、千鶴と海君の関係はいったいどうなっているんだとか、本当に小百合さんの仏壇に挨拶するためだけに一ノ瀬家に現れたのかとか、不安がっている様子に引っ張られて、読者はみな海くんを怪しい人物だと思ってしまうでしょう。宮島さんが意図的に海くんに関する情報を隠すことで、和也と共に読者の不安を掻き立てるようなデザインになっているって感じです。

 

もちろん、「海くん何考えてんだよ!」、「怪しすぎるだろ!」とかボヤきながら読むのが”正しい”んでしょうが。ただし、その”波乱”は和也が勝手に不安になっているだけだし、宮島さんによって仕組まれているだけで、実際には千鶴と海くんが恋仲になる可能性があるわけでも、海くんが強引に千鶴に迫る意図があるわけでもありません。実際彼がどう行動するかは今後明らかになりますが、少なくとも現時点ではそのような行動に出る根拠は何一つありません。むしろ、後に解説しますが、海くんは何かことを起こせる状況にはありません。

 

海君はイケメンで自分にも自信があるでしょうから、恋愛ごとに関しては多少強引な攻め方をするかもしれませんが、先ほど話した通り、おそらく皆から信頼され、十分な良心を持ち合わせた人物です。物語を面白くするために、胡散臭く描かれているだけ。あなたが和也の感情や見方に引っ張られて、彼を必要以上に疑ってしまっているだけ。すくなくとも、相手の気持ちを無視して無理やり関係を関係を迫るようなやり方をする人ではありません。

 

 

 

   千鶴との関係性、千鶴への思い

 

海くんが千鶴に対してどんな思いを抱いているのか。少なくとも恋愛感情はあることは分かるのですが、それ以上のことは描かれていないため不明です。描かれていないということは、物語を面白くするためにある程度自由に付け足すことができるということなので、設定の付け足し方次第では、もしかしたら「千鶴ちゃんでなくては嫌だ」と強く願うほどの思いを彼が抱いていたとしてもおかしくはありません。

 

ただし、これまで物語の中で描かれたものだけを拾えば、千鶴ひとりに固執するほど強い気持ちを持っているとは、断定できません。海君からみた千鶴は、役者仲間で、仕事仲間で、一緒に舞台を作ったことも何度もあって、一緒に出掛けたりお互いにお願い事をしたりするくらいの信頼関係があって、おそらく女優として輝こうとしている姿を応援していて。恋愛対象である前に、一人の人物としても女優としても「尊敬している」という言い方が正しそうで、どれほどの恋心を千鶴に向けているのか分からないんです。海君の周りにはたくさんのタレントの卵みたいな可愛い女の子がいて、イケメンな彼くんなら、彼女にできる可能性のある子も多くいるはずで、その中で特別に「千鶴ちゃんじゃなくちゃダメだ」と強く思ってしまうバックストーリーは現状与えられていないんですよ。

 

そして、もし仮に千鶴に対して強い思いがあったとしても、和也や読者が不安に思っているような、強引なやり方をすることはないはずです。海くんは、一度千鶴にフラれているんですよ(【解説】好きじゃない でも 好きじゃなくもない)。

 

 

◆好きじゃない でも 好きじゃなくもない 127話

 

好きじゃない

でも好きじゃなくもない

 

クラファンの最終日に海くんは千鶴を観劇に誘い、その後少し強引なやり方でデートに誘ったのですが、あっさりフラれてしまいました。さらに、千鶴には好きな人(和也)がいることにも気付いています(127話)。

 

千鶴ちゃんには好きな人がいると知って、フラれてしまった海くん。その後彼はやっぱり千鶴ちゃんのことが諦められず、チャンスを伺っているのかもしれません。逆に、無理やりにでも気持ちを整理して、もう別の女の子と付き合っているのかもしれません。千鶴ちゃんへの恋心よりも、彼女への尊敬の気持ちが強くて、実は和也との関係を応援することに決めたのかもしれません。海くんが千鶴に拒絶された後、その恋心をどう整理したのかは分かりません。

 

ただし一つ言えるのは、仮に千鶴を諦められていないとして、千鶴の気持ちが和也へ向いている状況で、無理やり関係を迫ろうとしたり和也との関係を邪魔しようとしたりしたら、千鶴に嫌われるのは間違いない。そうなれば、わずかに残っていた細い細い勝ち筋さえ、彼は失ってしまうということです。これまで積み上げてきた信頼関係は崩壊です。想像してみてください。あなたには好きな人がいます。あなたはその人にアプローチするもフラれてしまい、その人は今、好きな人となんだかいい感じになっている。その状況で、あなたは改めてアプローチできますか。それができる人はかなり状況読めてないです。そんな馬鹿なことをする人物がいるとしたら、フラれた現実から目を背け暴走し始めたストーカーくらいでしょう。

 

したがって、これまで物語で描かれてきた海君の人物像や、千鶴にフラれたという事実を考えれば、読者や和也が不安に思っている(言い方を変えれば、読者が和也のライバルとして海くんに期待している)波乱を海くんが起こすとは考えられないんですね。

 

それが僕の事実をもとにした分析なのですが。とはいえ、先ほど話した通り、背景の足し方次第で、彼の千鶴への思いや一ノ瀬家を訪れた目的、彼の行動を変えることはかなりできてしまうため、僕の想像を超えるような波乱を起こしてきてもおかしくはないというのも事実です。今後の展開は誰にもわからない。どんな展開が待っているのか期待しておきましょう。

 

 

 

   ”調査”の終わりと答え

 

ここからは、少し僕の期待と妄想が入ります。もしかしたら、このタイミングで”調査”の答えが出るのかもしれません。

 

とはいえ、決して千鶴と和也が付き合うことになるとか、千鶴が和也へ対する本心を打ち明けるとか、そいう意味ではないです。そもそも、”調査”自体、宮島さんによってデザインされた物語であって、千鶴の心の中ではずいぶん前に答えは出ていますからね。むしろ、ハワイアンズで恋人関係を失いかけたことをきっかけに「和也と本当の恋人にならなくてはいけない」と強い危機感を抱いたからこそ(恋人になる決意をしたからこそ)、”調査”までたどり着けたといった方が正しいです。詳しくは僕のブログを読んでください(【239話】もうレンタル彼女だからなんて言わない ついに乗り越えた最大の壁)(【223話】まさに分水嶺! 千鶴の後悔と決意)。

 

話を戻します。”調査”の答えが出るかもしれないというのは、読者からみて、「同居してから二人の関係が進んだな!」とか「やっぱり千鶴にとって和也って特別なんだ!」とか、「これはもう調査の答えが出てるじゃねーか!」とか、二人の関係がまた一歩進んだと強く感じさせるシーンが海くんによってもたらされるかもしれないという意味です。そろそろ一つ屋根の下編(同居編)も終わりそうだし、その結びのエピソードが来てもおかしくないんじゃないでしょうか。

 

実際の海くんの人物像と区別して、彼の物語の中での役割は、和也の恋のライバルキャラとして物語をかき乱すことです。クリスマスに、クラファン最終日、そして今回と、彼のおかげで波乱が起きています。そしてもう一つ、彼が担ってきた重要な役割が、千鶴の本音を引き出す状況を作り出すということです。

 

好きじゃない

でも好きじゃなくもない

 

千鶴はなかなか和也への思いを語りません。しかし、クラファン最終日(127話)で彼女が和也への思いを語ったのは、そうせざるを得ない状況を海くんが作り出したからです。

 

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◆好きなの?その”彼”の事? 127話

 

夢の成功のかかったクラファン最終日で千鶴はどうしてもビラ配りに行きたかったんです。なのに海くんにデートに誘われて、断る理由をはっきり伝えなくては、海くんは離してくれそうもなかった。海くんと付き合う気もないし、アプローチされても困る。「好きなの?その”彼”の事…?」実質的に、『俺の誘いを断るのは他に好きな男がいるからなの?』と聞いてくる海くんに納得してもらわなくては行かせてもらえなかった。そいう状況を海君が千鶴に与えるからこそ、千鶴は「好きじゃなくもない」と本音を垣間見せるしかなくなってしまったわけです(詳しい解説はこちら→【解説】好きじゃない でも 好きじゃなくもない)。

 

このときと同様に、海くんが千鶴の本音を引き出してくれるのかもしれませんね。今後数話のうちに、とびきりのシーンが用意されているんじゃないかなと思います。期待しておきましょう。

 

 

 

という感じで287話を振り返ってみました。漫画を読むときには、セリフでもコマでもキャラの表情でもなく、物語で描かれてきたキャラ同士の『関係性』とキャラに与えられた『状況』を読む。改めて、読者の視点と区別して、関係性や状況を整理しながらキャラの視点で物語を追ってみると、かなり違った物語が見えてくるなと思いましたね。

 

では、また、次の記事で!