【239話】もうレンタル彼女だからなんて言わない ついに乗り越えた最大の壁 | 恋心、お借りします

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(自称)水原千鶴を応援する会の会長。
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【239話】もうレンタル彼女だからなんて言わない ついに乗り越えた最大の壁 

 

はいどーも!甲楽わんです。かのかり楽しんでますか?

 

ははは。とんでもない回になりましたね笑。ここまで一気にお話が進むとは思っていませんでした笑。

 

前回いろいろ可能性を指摘していましたが、おおよそ想像通り。とりあえず、僕が話していた通りに千鶴が行動してくれたのでホッとしています。しかし、僕が想像していたよりもずっと、千鶴の決意は固かったですね。実際に描かれたものを見てみると、ものすごい大事件が起きてしまったなと、強く感じています。なので、伝えたいことが多くて、なかなかタイトルを一つに絞り込めなかったです。ダブルタイトルみたいになってしまった。

 

 

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だからさっ ちょっと 調べてみるっ 239話

 

だからさ… もう少しだけ… 待っててほしいの…

私も知りたいのよ 初めての… この気持ちが何なのか…

だからさっ

ちょっと 調べてみるっ

 

え?読者のみなさん、もっと喜んで良くないですか?コレ、実質千鶴からOK出てるようなもんですよ。千鶴は、いつか自分の気持ちがはっきり恋だと分かったときには本物の彼女になるよって言ったも同然だし、和也もそう受け取ってるし、もうお試しで付き合っていると言ってもいいでしょう。違います?

 

どうして和也があそこまで喜んでいるのか分からなかったんでしょうか。もっと、喜びましょう、読者のみなさん。

 

それに、千鶴は本当に自分の気持ちが分からなくて告白を保留したわけではありません。まだ100%の本心を打ち明けられなかっただけで、ちゃんと付き合う気でいるんですからね。

 

 

今回起きたとんでもないことを整理すると、

 

まず、分水嶺を経て別れた水がどちらに向かうのか、その方向性が明確に示された回だったと言えますね。「自分の気持ちが何なのか調べてみる」と千鶴が和也に言ったことで、物語が二人が恋人になる未来へ進むことが示されたわけですね。ハワイアンズ編で示された分水嶺とは何かという問いに対する、真の答えと言っていいかもしれません。

 

同時に、『レンタル彼女だから』で本心を隠し続けてきた千鶴が、たとえ1%であっても自分の気持ちを和也に打ち明けることができた回でした。「好き」とは言えませんでしたが、それでもこの気持ちは「恋」なのかもしれないから、あなたとの関係も真剣に考えるよ、と伝えることができました。千鶴は大きな一歩を踏み出したんです。

 

そして最も大事なことが、コレ!ついに千鶴と和也がレンタル彼女と客の関係という障害を乗り越えてしまったということです。もう一度繰り返します。ついに千鶴と和也がレンタル彼女と客の関係を乗り越えてしまったことです。三度目です。ついに千鶴と和也がレンタル彼女と客の関係を乗り越えてしまったことです。

 

レンタル彼女と客と言う関係。それは、仮初の恋人関係であると同時に、リアルでは恋人同士にはなり得ない関係。二人は恋愛なしの協力関係。プライベートな関係はNG。お互いずっとそう思っていた。物語の核であり、二人が恋人になれない最も大きな要因であり続けていたその障害を、二人はついに乗り越えてしまったわけです!!!ちょっと何言っているのかよく分かりませんねw

 

 

今回は、まず和也と千鶴それぞれの気持ちの流れを整理したいと思います。さらに千鶴の言葉がどれだけ大きな出来事だったのか語っちゃいます!この瞬間、二人の関係は大きく変わってしまったわけです。

 

 

 

  水原が俺の彼女になってくれるなんて!?

 

和也は、あのキスの真意が分からず、ずっと悩んでいました。水原は俺のことが好きなのかもしれない。でも、本人は大したことないと言っていた。告白をしたうえで、振られてしまったのは確か。さらに和也は、水原に3か月間も避けられてしまい、本当は嫌われてしまったのではないかと不安でした。

 

しかし、八重森さんから水原が自分を避けていたのは瑠夏ちゃんが原因だったと聞かされます。水原は、自分を嫌っていたわけではない。そう知った和也は、あのキスの真意を、水原が自分のことをどう思っているのかを確かめることを決意します。

 

レンタルデートの終わり際、ついに和也は話を切り出します。水原が自分のことが好きかどうか、何とかして確かめようとします。

 

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◆正直聞いてみたい もしそれ以上の意味があるなら… 238話

 

すると、ぶっちゃける(本当のことを言う)という水原。好きなのか、そうじゃないのか、緊張してその答えを待つ和也。

 

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◆正直自分でも分からないのよね この気持ちが何なのか… 239話

 

ところが、水原の口から出てきた答えは「分からない」でした。八重森さんから聞いた通り、水原本人もどうしてキスまでしてしまったのか、どうして2年にもわたって嘘の恋人関係を続けてしまったのか、分からないというわけです。

 

 

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◆行き着く先は "恋心"だなんて人は呼ぶんだって 239話

 

レンタル彼女として間違ったことをしてしまうほどの、この気持ちの正体は、いったい何なのか。

 

みにちゃんにも言われたのよ

それを親しみとか…

行き着く先は "恋心"だなんて 人は呼ぶんだって

 

行き着く先は"恋心"だなんて人は呼ぶんだって。それは和也が望んでいた答え!水原は自分のことが好きなのかもしれない。和也の高鳴る鼓動。

 

しかし、次の言葉で和也の希望は打ち砕かれてしまいます。

 

でも 思わない? 私は 好きになってもらうのが 仕事なのよっ

 

 

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◆ほらっ あなたが好きなのは "水原千鶴"かもしれないでしょっ?

 

それで「好き」って言われても 「それでいいのかよ!」みたいな感じで

ほらっ あばたが好きなのは "水原千鶴"なのかもしれないでしょっ?

 

あなたが好きなのは「水原千鶴」なのかもしれないでしょっ?和也の告白は、彼の気持ちは、水原には届いていなかったのです。水原はそういう言い方で自分を振ろうとしてるんじゃないか、そんな想像すら回ってしまったかもしれません。

 

 

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和也は誰でも少しくらいは取り繕っているものだと反論しますが、水原には好きでもないのに恋人関係にはなるわけにはいかないと言い返されてしまいます。

 

和也が本当に恋しているのは、千鶴の演じる『水原千鶴』ではありません。たとえ仕事であっても、情けない自分の傍にいてくれて、いつも自分の気持ちを第一に考えてくれる、その優しさに惹かれたんです。千鶴が舞台で輝いている姿や、夢に向かって懸命に進む姿に惹かれたんです。俺の理想の彼女はさ。和也が千鶴にそう話したときに語ったことが、彼の想いの全てです(164話)。

 

しかし、その思いは、届いていませんでした。和也は客だからです。勇気を出して好きだと伝えても、ただ虚構の人物である『水原千鶴』に恋していると思われるだけだった。客であるというだけで、いくら好きだと伝えても信じてもらえなかった。

 

 

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ダメだ 届かない…

結局 何も変わらないんだ…

どんだけ心通じたと思っても 「レンカノ」と「客」で

どんだけ勇気振り絞っても 俺の気持ちが届くことなんてなくて

 

もし水原と自分が別の形で出会っていたら、せめて普通の恋ができていたら、少なくともこの気持ちはちゃんと彼女のもとに届いていたのに。和也は悔しさのあまり唇を噛みます。

 

 

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そこにあるのは、レンタル彼女と客という壁、恋愛なしの協力関係。こんなに好きなのに、その気持ちすら分かってもらえなかった。

 

和也が諦めかけそうになったとき、

 

 

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だからさっ ちょっと 調べてみるっ 239話

 

水原が振り返って、笑顔を見せます。

 

だからさ… もう少しだけ… 待っててほしいの…

私も知りたいのよ 初めての… この気持ちが何なのか…

だからさっ

ちょっと 調べてみるっ

 

届いていた。本当は届いていたんです!ちゃんと和也の気持ちは届いていた。

 

今すぐに、とは言ってくれなかった。でも、和也が客だなんてことは関係なく、自分の気持ちは届いていた。自分と本当の恋人になる未来を真剣に考えたい、そう言ってくれた。

 

あのキスには、仕事以上の意味があったんです。

 

 

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ずっと避けていてゴメンね。これからもよろしく。そう伝えるように送られてきたLINEスタンプ。

 

 

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水原が俺の彼女になってくれるなんて!?

 

和也は、溢れだしそうな想いを押し殺して、家路を急ぎます。練馬に着いたころ、その喜びは叫び声に変わっていました。どれほど千鶴のことが好きかを証明するように。

 

 

 

  もうレンタル彼女だからなんて言わない

 

これまで千鶴は、レンタル彼女として和也の嘘の彼女を演じてきました。本心では和也のことが好きだから、彼とのレンタル関係を続けてきた。でも和也には、レンタル彼女の仕事としてやってあげているんだ、おばあちゃんたちを悲しませたくないからやってあげているんだ、あなたとの関係は恋愛感情のないただの『協定』なんだと説明してきました。千鶴は和也に本心がバレてしまうことが恥ずかしくて、そうやってずっと隠してきたんです。

 

しかし、キスなんて明らかにやりすぎです。仕事でやったんだという理屈はあまりに脆弱。本当は好きだからキスをしたんじゃないかと疑われてしかるべき。もしキスの真意を追及されたり告白の答えを尋ねられたりしたら、千鶴は何も答えられません。適当に理屈をつけて誤魔化しても、どこまで和也が納得してくれるか分からない。キスをしたと言う事実の前に、鶴の鉄壁(本心を隠すための理屈や演技)は崩壊寸前。バレちゃう、バレちゃうんです。

 

しかし、それと同時に、本心を明かして本物の恋人にならないといけないとも思っています。ハワイアンズで千鶴は、和也の告白から逃げ続けてきたことを強く後悔しました(223話)。

 

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◆後悔に拳を握りしめる千鶴 223話

 

もし和也の告白に向き合い、本物の彼女になることができていたら、あんな酷いことにはならなかった。自分が本心を明かせないせいで、和也との恋人関係が嘘だと麻美にバラされそうになり、木ノ下家との信頼関係を失いかけ、和也を振ってしまい、さらには彼を最低の嘘つきにしてしまうところだった。さらには、小百合おばあちゃんの、幸せになってほしいと願う気持ちを裏切り続けていた(【223話】まさに分水嶺! 千鶴の後悔と決意)。自分がレンタル彼女であることが木ノ下家にバレてしまい、小百合さんにまで嘘をついていたことを和さんに責められた千鶴は、悔しさのあまり拳を強く握りしめました。このとき千鶴は、和也の恋人になるために前に進まなきゃいけないと強く感じたわけです。

 

 

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◆あーあ もう やだっ (和也に本心を明かせずに悩む千鶴) 232話

 

本心がバレたくない。キスのことを聞かれたくない。でも、好きだと伝えて本当の彼女にならないといけない。千鶴は、ふたつの想いの板挟み状態にあったわけです。

 

 

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◆よしっ!!! 235話

 

和也にキスのことを聞かれたくなくて3か月も彼を避けていた千鶴ですが、八重森さんから彼がものすごく落ち込んでいることを聞き、さらに、彼の気持ちに向き合うように言われてしまい、今のままでいけないと感じます(235話)。これ以上、和也を心配させたり、本物の彼女になることから逃げ続けたりするわけにはいきません。一歩でも前に進まなくちゃいけない。千鶴は和也からのレンタルを了承します(236話)。

 

 

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◆和也と会うことに緊張する千鶴 236話

 

和也はキスの真意や告白の答えを知りたくて千鶴をレンタルしています。それを千鶴もよく分かっているわけですね。間違いなく、彼は聞いてくる、知ろうとしてくる。緊張で顔をこわばらせる千鶴(236話)。

 

しかし、本当の彼女になるためには、本心を伝えなくちゃいけない。あなたの事なんて好きじゃない、すべて仕事としてやった、勘違いしないで、なんて嘘だけは絶対に言ってはダメ。

 

 

 

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◆話を切り出そうとする千鶴 237話

 

デートも残り30分というところで、千鶴も意を決して、和也に話しかけます(237話)。千鶴がやらないといけないと思っていることは2つでしょう。1つ目が、3か月間も避け続けてしまったことを謝り、誤解を解くことです(これついては、バレンタインチョコを渡して謝ることができました)。そして、もっと重要なのが2つ目。和也に、本当の彼女になる意思があることを伝えることです。すごく緊張するし、恥ずかしくて仕方がない。でも、それだけはちゃんと伝えないといけません。

 

 

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◆正直聞いてみたい もしそれ以上の意味があるのなら… 238話

 

でもさ 思っちゃうんだよ

あれは ただの「プロだから」じゃないんじゃないかって…

正直聞いてみたい もしそれ以上の意味があるなら…

 

案の定、和也はあのキスの真意を、水原に仕事以上の気持ちがあるかどうかを知りたいと言います。でも、あの時の気持ちは嘘じゃないっていうか…。久しぶりに会えて、すげー楽しかった。勇気を出して、あれは俺の本心だ(好きだ)と改めて伝えてくれた和也を見て、千鶴も彼と話し合う決意をします。

 

 

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◆ぶっちゃけてい? 238話

 

待って! ぶっちゃけてい?

 

 

 

実際、千鶴はどこまで本心を明かすのか悩んだはずです。まだ100%本心を明かせるわけじゃない。でも、嫌いだとか、付き合う気がないとか、和也を誤解させてしまうことは絶対に言いたくない。ちゃんと付き合う気があると伝えないといけない。

 

 

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◆正直自分でも分からないのよね この気持ちが何なのか… 239話

 

だから、千鶴は自分の恋心を否定しません。自分の気持ちが分からないと和也に伝えます。そして、

 

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◆行き着く先は "恋心"だなんて人は呼ぶんだって 239話

 

みにちゃんにも言われたのよ

それを親しみとか…

行き着く先は "恋心"だなんて 人は呼ぶんだって

 

この気持ちが『恋』なのかもしれないと、伝えます。

 

 

しかし、思わずここで千鶴は、本心を見せることから逃げてしまいます。

 

でも 思わない? 私は 好きになってもらうのが 仕事なのよっ

 

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◆ほらっ あなたが好きなのは "水原千鶴"かもしれないでしょっ?

 

それで「好き」って言われても 「それでいいのかよ!」みたいな感じで

ほらっ あばたが好きなのは "水原千鶴"なのかもしれないでしょっ?

 

それは、和也の気持ちに答えなくていい理屈。あなただって、自分の気持ちが分からないんじゃないのか。あなたは、私の演じている『水原千鶴』に恋しているだけじゃないか。だから、あなたの気持ちには答えられない。

 

千鶴は、付き合う気があると伝える決心がつかず、本当のことを言わなくていい理屈を並べてしまうんです。

 

 

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◆でも少なくとも 自分の気持ちがあやふやなまま 踏み出せないし 239話

 

でも少なくとも 自分の気持ちがあやふやなまま 踏み出せないし

そういう関係になるなら 「好き」だって思ってから 望みたい

 

千鶴は和也に背を向けます。やっぱり、好きかもしれないなんて言えない。もしかしたら千鶴はこのまま逃げてしまおうと思ったのかもしれません。自分の気持ちが分からない。だから、あなたと付き合うかどうかは分からない。そう言って、うやむやのまま、終わらせてしまおうとしたのかもしれません。

 

でも、

 

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ちゃんとあのキスには仕事以上の意味があるんだと伝えないといけない。本当の彼女になる気があるんだと打ち明けないといけない。また彼を誤解させて傷つけるわけにはいかない。彼の気持ちに向き合わないといけない。

 

だって 心から和也のことが好きだから

ずっとずっと 傍にいたいから

 

不安そうに声を震わす和也を見て、これ以上誤解させるわけにいきませんでした。千鶴は足を止めます。

 

 

 

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だからさっ ちょっと 調べてみるっ 239話

 

振り返り、目一杯の笑顔を作る千鶴。あなたの気持ちは十分伝わっているよ。もうレンタル彼女だからなんて言い訳はしない。あなたの恋人になること、真剣に考えるよ。そう伝えるために。

 

だからさ… もう少しだけ… 待っててほしいの…

私も知りたいのよ 初めての… この気持ちが何なのか…

だからさっ

ちょっと 調べてみるっ

 

ずっと言えなかった。レンタル彼女の仕事だから、おばあちゃんのため、あなたのためじゃない、そう言って隠してきた。まだ好きだと伝えるだけの勇気はない。でも、この恋を失うわけにはいかない。前に進まないといけない。ここで初めて千鶴は、和也の本物の恋人になりたいと伝えることができました。

 

 

 

いやー、千鶴と和也の気持ちの流れが美しいですね。ソウ、ビューリホー!ソウ、ドラマティック!千鶴と和也、それぞれ葛藤がビシバシ伝わってきましたね。これぞかのかり。みなさん、1ページ1ページ、息をのんで読んだんじゃないでしょうか。ハワイアンズ編含めても、最高の回のひとつだったと言っていいでしょう。

 

千鶴も、笑顔は作っているけれど、ものすごく緊張していたでしょうね。100%ではありませんが、ずっと隠してきた本心を和也に伝えたわけですから。まぁ、この後千鶴は恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にして悶えているでしょうね笑。あー、言っちゃった!どうしよう!ってね。KAWAII☆

 

238話を読んだ限りでは、千鶴が和也の恋人になるためにどこまで出来るのか分かりませんでした。だから、少なくとも千鶴は、和也に何か明確な答えを与えて(おそらく自分の気持ちが分からないと言って)、告白に対する答えを引き伸ばすつもりでいるんだろうなと思っていました。しかし、僕の見積もりは甘かったですね。千鶴の決意はもっと固かった。千鶴は和也に恋人になる意思があることを伝えるというところまで、やるつもりだったわけです。

 

一応補足しておきますが、千鶴は和也の気持ちを疑っているわけではありません。確かに、「彼が恋をしているのは私が演じている虚構の人物、『水原千鶴』なんじゃないか」その不安が全くないとは思いません。むしろ、あると言った方が正しいでしょう。しかし、それが原因で本物の恋人になる決断ができないわけではないし、彼が恋しているのは本当の自分だと信じられているはずです。

 

実際、和也が必要とし気に入っているのは、サービスとしての『水原千鶴』なんだと千鶴が考えていた時期はあります。「ずっと前から君の事…」と和也が言ってくれる前ですね(174話)(【解説】ずっと深刻だった水原千鶴の葛藤)。

 

◆第一 レンタル彼女に本気になるほど 馬鹿な人じゃないわ 122話

 

第一 レンタル彼女に本気になるほど 馬鹿な人じゃないわ

 

彼は私のことは好きじゃないって言っていた。私も恋愛する気はないと言ってしまった。私と彼はただの協力関係(32話)。私が勝手に好きになってしまっているだけで、彼がレンタル彼女の自分を好きになることはない。そう誤解していたからこそ、千鶴は和也の本心に気づけずにいたわけです(正確に言えば、和也の本当の恋人になれない辛さから逃れるために、『お客がレンタル彼女に恋をするはずはない』と理屈づけて自分を納得させようとしていたと言った方が正しいかもしれません)。だから、まだ少しばかり不安が残っていてもおかしくはありません。

 

しかし、励ましデートのとき、和也が理想の彼女はあなただと言ってくれた。あの夜、和也が打ち明けてくれた理想の彼女は、千鶴の演じている『水原千鶴』ではありません。水原千鶴をいう名前でレンタル彼女をしていて、情けない時にも傍にいてくれて、笑顔がすごく可愛くて、舞台の上で誰よりも輝いて、辛いときも前を向いて夢に向かっている女の子です。それは本当の千鶴。さらに和也は、プライベートでも(女優とプロディーサー、お隣さん同士の関係においてでも)、ずっと千鶴を応援してくれていました。いつだって千鶴を守ろうとしてくれた。小百合さんのことも心配してくれた。和也は、本当の千鶴の姿をずっと見ていました。それを知っている千鶴が、自分が演じている『水原千鶴』に恋しているだけだなんて思うはずがないですね。

 

今回千鶴は、ずっと前から好きだったという本心は言えませんでしたし、彼女になることはできませんでした。それでも、本当の彼女になる気はあるんだと伝えることができました。レンタル彼女だからお客の恋人にはなれないとか、あなたの気持ちが信じられないとか、キスには仕事以上の気持ちがないとか、そういう嘘はつかなかった。ずっと演技で隠し、全く見せられなかった恋心をついに見せることができたんです。0から1になった。この変化はめちゃめちゃ大きいです!読者にとってはただの『保留』でも、千鶴に取っては大きな決断です。恥ずかしさを乗り越えて、よく頑張ったね、千鶴。頭を撫でて褒めてあげたいです。

 

 

 

  ついに乗り越えた最大の壁 レンタル彼女と客の関係

 

 

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だからさっ ちょっと 調べてみるっ 239話

 

だからさ… もう少しだけ… 待っててほしいの…

私も知りたいのよ 初めての… この気持ちが何なのか…

だからさっ

ちょっと 調べてみるっ

 

それは嘘。まだ100%本心を伝えられたわけではないし、ふたりが本当の恋人関係になれたわけではありません。しかし、千鶴が和也に「もう少しだけ待って欲しい。調べてみる」と伝えたことは、二人の関係を大きく変える大事件なんです!千鶴と和也が恋愛の許されないレンタル彼女と客の関係にあることを思い出して、よく考えてみてください!

 

私はレンタル彼女で、あなたはお客さん。本当は、プライベートな関係は許されない。恋人になれる関係じゃないって分かってる。でも、私はそれを前に進まない理由にする気はない。私は自分の気持ちが恋かどうかちゃんと確かめたい。あなたのことが好きだとはっきり分かたら、ちゃんと好きだって、本物の彼女になりたいって伝えるよ。千鶴は、そう言ったんですからwww 

 

和也はずっと自分が客であることに苦しんできました。客だから、好きな人に好きだと伝えられなかった。二人の関係はただの協力関係。好きだなんて言ったら、利用規約違反。約束を破ったって嫌われるだけ。きっと好きにはなってくれない。今回だって、自分が客だったから、いくら好きだと伝えても、それは「水原千鶴」という虚構の人物に恋しているだけだと誤解されてしまった、そう一度は考えてしまった。和也は千鶴をデートに誘うことすらできなかったし、仲良くすることすら許されなかった。ランチに誘うだけでも、レンタル彼女である千鶴が許してくれるのか分からなくて、迷ってしまっていた。でも、でもですよ!この瞬間から、千鶴を好きでいていいんですよ!!!だって、千鶴本人が、和也の本当の彼女になる未来をちゃんと考えるって言ってくれたんだから!!!

 

和也は千鶴に恋をしてから、いつも彼女のことを考えて、彼女の幸せを一番に考えて、支えてきました。そして、ハワイアンズで振られてしまってもなお、千鶴を守ろうとした。その尊くて素敵な気持ちが、千鶴の気持ちを動かしたわけですよ。泣ける。八重森さんが大活躍なんて言う人もいますが、もとを辿れば和也が千鶴をずっと支えてきたからこそ、千鶴も和也のその気持ちには答えたいって思ったわけですよ。和也が頑張った結果でしかない。そこは大声で言いたいところです。和也、かっこいい!!!(実は僕は和也押しです)

 

一方千鶴も、あなたとの恋人関係を真剣に考えるよと伝えることは本当に大きな決断だったはずです。千鶴は自分の気持ちが恋かどうか調べたいとはっきり彼に伝えた。それなら、もう(恋人関係を込みで)プライベートな関係はNGではないんですね。利用規約を破ったってかまわない。千鶴は、和也に会いたいから会うってことができてしまうわけです(というか、「勘違いしないで。あなたに会いたいから会いに来たわけじゃない」とか言っちゃだめよ)。自分の気持ちの整理のためにも、あなたと一緒にいた方がいいでしょ?なんて理屈をつけて、和也とデートすることにも筋が通ってしまいます。

 

言ってみれば、好き同士の二人が、普通の恋愛ができる状況になったということです。客である俺が告白なんてしたら、嫌われるだけだ。きっとあの人が好きなのは「水原千鶴」で、それは恋心なんかじゃない。二人の関係を確認したあの日からずっと二人を縛ってきた、レンタル彼女と客の関係という大きな大きな障害を、ついに二人は乗り越えてしまったわけです!!!!おめでとう!

 

今後和也は、千鶴の言葉を信じてデートに誘うことだってできるし、千鶴も自分の気持ちを調べると宣言したからには、自分がレンタル彼女であることを理由に彼からの誘いを断ることはないでしょう。好き同士のふたりなら当たり前でも、レンタル彼女である千鶴とお客である和也にとっては、ものすごく大きな進展ですよ。初々しい「初デート」に、ドキドキな千鶴と和也が見られるかもしれませんね。二人のデート先はどこなんでしょうか?まさか、おうちデートとか?どうなんですか、ちづるさん?にやにや。

 

今後二人の関係は本物の恋人になる方向へ向けて動き出すでしょう。あー、でも、千鶴が言ったことを瑠夏ちゃんが知ったら、ものすごく怒るでしょうね。きっと泣いてしまう。想像するのが怖いっす。そう思うと、なんだか素直に喜べないですな。千鶴は、瑠夏に謝って納得してもらうしかないですね。もうレンタル彼女だからあの人と付き合う気はないなんて嘘は言えません。

 

 

 

と言う感じで239話を振り返ってみました。いやー、越えちゃったか、越えちゃったね、最大の壁。

 

千鶴が和也に好きだよと伝えて本当の彼女になるのは、もう少し先の話ですね。正直、今回「好きだ」と言っていたら、僕は不満を感じたと思います。そんな簡単に行ってたまるかよ!千鶴が本心を打ち明けるときは、もっとロマンティックでドラマティックなものにしてほしいですな。ハワイアンズで和也が告白を決意したときみたいにさ。千鶴の心の中で、和也と過ごしてきた時間がフラッシュバックして、和也への想いが溢れて、好きで好きでたまらなくて、どうしても伝えたくなって、本心を打ち明けてしまうような感じがいいです!宮島さん、そんな感じでおなしゃす!(千鶴オタクの願望)笑。来週からは、千鶴と和也のイチャイチャデート♡と、瑠夏ちゃんとの修羅場に期待しておきましょう。

 

では、また次の記事で!