【235話】「私のこの気持ちには名前がない」という千鶴の嘘 | 恋心、お借りします

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【235話】「私のこの気持ちには名前がない」という千鶴の嘘

 

はいどーも!甲楽わんです。かのかり楽しんでますか。

 

235話は、とても難解なお話になりましたね。千鶴がめんどくさすぎる笑。

 

 

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◆この気持ちには瑠夏ちゃんを説得するだけの名前がない 235話

 

八重森さんは千鶴の部屋に上がり込むと、和也を避けていた理由や、キスの真意を尋ねます。千鶴は、和也を避けていたのは「本当の彼女である瑠夏ちゃんを傷つけてしまったから」、また、キスまでしたのに和也と付き合わないのは「この気持ちには名前がないし、自分の気持ちが曖昧だ(分からない)から」と説明します。そんなことあるかーい!!!そう盛大にツッコみたいですね笑。

 

千鶴が和也を3か月間も避け続けた最も大きな理由は、瑠夏ちゃんを傷つけてしまったからではありません。確かに瑠夏ちゃんへの罪悪感は強くあります。しかし、一番の原因はそれじゃない。本当の理由は、本心を知られたくないからです。また、和也と付き合わない理由は、自分の気持ちが分からないからではありません。千鶴は自分がどれほど和也を必要としているかよく分かっているし、この気持ちが「恋」であることも自覚しています。本当の理由は、和也に自分の気持ちを伝えられないからです。

 

千鶴が八重森さんに説明していることは、八重森さんや和也を納得させるために取り繕った嘘です。本心ではありません。和也を3か月間も避け続けてしまった。彼の告白には「ごめん」と言ったっきり答えを出さず、曖昧な態度でい続けている。その一方で、彼の気持ちを知った(告白された)うえで、キスまでしてしまった。嘘を重ねてまで和也を守り、嘘の恋人関係を続けようとした(つまり、好きだとしか思えない行動をした)。この状況で、和也のことが好きだという本心を隠しながら、自分の行動の動機を説明しないといけない。そこで、瑠夏ちゃんに申し訳ないとか、自分の気持ちが分からないという都合のいい理屈を捏ねて、八重森さんに納得してもらおうとしているだけです。

 

当然、そんな取ってつけた理由で八重森さんに納得してもらえずはずもありません。

 

 

◆でも逃げてるだけじゃないっスか!? 235話

 

でも逃げてるだけじゃないっスか!?

自分の気持ちが分からないなら 尚更話してみるべきっス!

レンカノだからって 自分の気持ちにフタをして直視しないようにしてるっだけじゃないッスか?

連絡を取らないなんて最悪手っス!

 

 

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◆でも告白までされてそれが理由なら 正直酷いと思っちゃうっス 235話

 

でも告白までされてそれが理由なら

正直酷いと思っちゃうっス 水原さんのこと

正直師匠は期待してるっス!

でも今の水原さんは その期待に応える準備があるように見えるっス

 

そう。八重森さんの言う通り。「レンタル彼女だから」「瑠夏ちゃんに申し訳ないから」「自分の気持ちが分からないから」なんて理屈は筋が通らない。水原さんの言うことが本当なら、いま師匠に対して取っている態度はあまりにも酷い。そんなの間違ってる。水原さんは、いろいろ理屈をつけて和也の気持ちに答えることから逃げているだけじゃないのか!?その気持ちは間違いなく「恋」。ちゃんと師匠と話し合って、彼の気持ちに答えるべき。千鶴の無理やり取り繕った理屈なんて、あまりに脆弱なんです。簡単に八重森さんに反論されてしまう。だって、本当の理由は別のところにあるんだから。

 

千鶴も、自分は嫌われてしまったと和也を誤解させ、本物の彼女になることから逃げ続けている現状は良くないと分かってるでしょう。本当の彼女になるために前に進まないといけないということも分かっている。いつまでも都合のいい理屈を捏ねて、演技で本心を隠し、好きだと伝えることから逃げ続けても、何も生まれない。自分を心から大切に思ってくれる和也や、自分の幸せを願ってくれていた小百合おばあちゃんの想いを裏切り続けるだけ。

 

 

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◆師匠の想いに真正面から向き合ってほしいっス! 235話

 

◆何かを決心したように顔を上げる千鶴 235話

 

八重森さんに和也の気持ちに向き合うように言われた千鶴は、決心したように顔を上げます。

 

今回は、千鶴の嘘と、嘘をついてしまう理由について、丁寧に整理していこうと思います。

 

 

 

  「瑠夏ちゃんを傷つけてしまったから」という嘘

 

 

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◆瑠夏ちゃんを深く傷つけてしまった… 235話

 

八重森さんが和也と距離をとる理由を尋ねると、千鶴は「本当の彼女である瑠夏ちゃんを傷つけてしまったから」と答えます。確かに瑠夏への罪悪感は強くあります。和也にキスをした直後、瑠夏に「ごめん」と謝った気持ちは本物(【229話】ごめん もう『嘘』は言えない千鶴)。千鶴はレンタル彼女であり、和也と瑠夏の関係を応援しないといけない立場。和也と付き合うようにお願いしたのも彼女自身。なのに、彼にキスをしてしまった。そして、まだ誰にも打ち明けられてはいないものの、本物の彼女になりたいと思っている。瑠夏から和也を奪うことになる。そうなれば、瑠夏が傷つくのは間違いないし、そう簡単には千鶴を許してくれないでしょう。

 

 

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◆和也にキスをしたことを瑠夏に責められ「ごめん」としか答えられない千鶴 229話

 

しかし、千鶴が和也を避けてしまう一番の原因はそれじゃない。本当の理由は、彼に本心を知られたくないからです。彼にキスをした真意や告白をどう思っているのかを探られたくないからです。

 

 

 

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◆和也に会うことができず居留守を使ってしまう千鶴 233話

 

東京に帰った後から、千鶴は和也を避け始めます。和也が彼女の様子を伺いに行ったときも、彼を避けて居留守を使っていました。そのとき、彼女の心を支配しているのは「罪悪感」ではありません。申し訳ないという顔はしていない。和也と会わないといけないと思うと、ドキドキと鼓動は高鳴り、かなり緊張してしまっています。バレちゃう、バレちゃう、どうしよう。これが和也を避けてしまう動機です(【232話】【233話】ほころび始めた千鶴の鉄壁)。

 

八重森さんの言う通り。誰かの恋が実れば、誰かは恋を諦めなければいけない。千鶴が和也の彼女になった結果、瑠夏が傷ついたとしても、それは仕方がないこと。瑠夏ちゃんに申し訳ないからという理屈は、3か月間も和也を避け続ける理由にはならない。何も和也に説明せず、嫌われてしまったと誤解させていい理由にはならない。こんなに千鶴を大切に思ってくれている和也の想いに答えない理由にはならないんです。

 

千鶴は、本当は和也のことが心から好きなんだけど本心を知られたくないから避けてしまっているんだとは、説明できません。そもそも本心が明かせないんだから、そんなことできるわけがない。そこで、瑠夏ちゃんに申し訳ないからという理由を持ち出して、八重森さんに納得してもらおうとしているわけですね。現状、そうするしかないんです。

 

 

 

  「私のこの気持ちには名前がない」という嘘

 

八重森さんに「千鶴と和也がお互い好き同士なら、瑠夏ちゃんが傷ついてしまうのは仕方がない」と言われた千鶴は、自分の恋心を否定しようとします。

 

 

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◆この気持ちには瑠夏ちゃんを説得するだけの名前がない 235話

 

どうしてキスまでして彼を助けようとしたのか自分でも分からない。自分の気持ちはとても曖昧なもので、「恋」だと言えるほど強い気持ちではない。そう言って、瑠夏に遠慮している(瑠夏を差し置いて和也と付き合わない)理由を説明します。そんなことあるかーい!!!と盛大に突っ込みたいですね笑。千鶴は自分がどれほど和也を必要としているかよく分かっているし、この気持ちが「恋」であることも自覚しています。これも、八重森さんに納得してもらうために取り繕った嘘です。

 

千鶴が和也に恋していると気づいたのは合同誕生会のときです(86話)。そのときにはもう、この気持ちが「恋」であると自覚しています(【解説】超重要回 水原千鶴が「私 和也が好き」と気づいた瞬間!)。

 

 

◆「好きじゃなくもない」と言った真意(和也への恋心)を知られたくなくて、必死に何も知らないフリをしてしまう千鶴 178話

 

海くんに和也のことが好きであることを感づかれ、本心を聞かれたとき、どうしてもビラ配りに行きたくて、「好きじゃなくもない」と少しだけ和也への想いを漏らしてしまった(127話)。和也と二人きりで撮影旅行に行ったとき、彼の前では平気を装っていたものの、恋心を漏らしてしまった自分を思い出して(彼に恋をしていることを改めて認識して)、「マジ?」と本音が漏れてしまった。千鶴もまた、好きな人と二人っきりの旅行はものすごく緊張した出来事だったのです。そして、海くん主催のパーティーのとき、その話を和也に持ち出され、顔を真っ赤にして「そんなの知らない」と必死に嘘をついてしまった。自分の和也への気持ちが「恋心」だと分かっていて、それがバレてしまうのが恥ずかしいから、そうしちゃうわけですよね?

 

千鶴は、和也への恋心を自覚した後、彼の気持ちが分からずに悩んできました。しかし、小百合さんを失って死んでしまうほど寂しくて悲しいとき、彼が「理想の彼女は水原だ」と言ってくれた(164話)。それが本心なのかどうしても知りたくて、サイゼリアで確かめようとした。そして、あの言葉は彼の本心で、ずっと前から好きだったと知って、嬉しくて恥ずかしくてたまらなかった。「何とかしなくちゃ」(本心を打ち明けて彼女にならなきゃ)と思った(174話)。ここまで分かりやすく千鶴の気持ちが動いていて、自分の気持ちが「恋」なのか分からないなんてあるはずがありません。合同誕生日に嘘の恋人関係を失いかけ、不安で不安で仕方がなく、どうしてこんなにも彼の「彼女」でいたいのか自答した時にはもう、この気持ちが「恋」であるという答えは出ているんです(詳しくは「水原千鶴の恋物語」の7-12巻・後編 水原千鶴の恋物語 満足度③を読んでください)。

 

千鶴は、3か月間も和也を避け続けてしまった。彼の告白には「ごめん」と言ったっきり答えを出さず、曖昧な態度でい続けている。その一方で、彼の気持ちを知った(告白された)うえで、キスまでしてしまった。嘘を重ねてまで和也を守り、恋人関係を続けようとした(つまり、好きだとしか思えない行動をした)。この状況で、和也のことが好きだという本心を隠しながら、自分の行動の動機を説明しないといけない。そのとき、「自分の気持ちが分からない」「恋と呼べるほどの気持ちではない」という理屈はものすごく都合がいいんです。もし千鶴の説明した通り和也への想いが恋と呼べるほどのものでないなら、和也と付き合わず、かといってはっきり振ることもせず、曖昧な態度でい続けたとしても筋が通ります。また、和也の告白への返答を引き伸ばすことができます。

 

千鶴は八重森さんに納得してもらうために嘘をついているというより、自分の気持ちが分からないんだと思いたくなっていると言った方がいいのかもしれません。もしそれが本心だったら、八重森さんを納得させらるだけじゃなく、気持ち的にも楽なんです。だって、それが本心だとしたら、和也の気持ちに答える必要なんてないんだから。私だって自分の気持ちが分からないんだから、あの人の彼女になる決断ができなくても仕方がないじゃない。そう思い込むことで、彼の気持ちに答えられない罪悪感や、彼の彼女にならないといけないプレッシャーから目を背けている、と言った方が正確かもしれません。少なくとも、千鶴がそう考えたくなっていてもおかしくありません(認知的不協和の解消というやつですね。詳しい記事はこちら→【解説】もう恋なんてしないって決めてるんだから/認知的不協和とかのかり)。

 

当然、そんな取ってつけた理由で八重森さんに納得してもらえずはずもありません。

 

◆でも逃げてるだけじゃないっスか!? 235話

 

でも逃げてるだけじゃないっスか!?

自分の気持ちが分からないなら 尚更話してみるべきっス!

レンカノだからって 自分の気持ちにフタをして直視しないようにしてるっだけじゃないッスか?

連絡を取らないなんて最悪手っス!

 

 

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◆でも告白までされてそれが理由なら 正直酷いと思っちゃうっス 235話

 

でも告白までされてそれが理由なら

正直酷いと思っちゃうっス 水原さんのこと

正直師匠は期待してるっス!

でも今の水原さんは その期待に応える準備があるように見えるっス

 

そう。八重森さんの言う通り。「レンタル彼女だから」「瑠夏ちゃんに申し訳ないから」「自分の気持ちが分からないから」なんて理屈は筋が通らない。水原さんの言うことが本当なら、いま師匠に対して取っている態度はあまりにも酷い。そんなの間違ってる。水原さんは、いろいろ理屈をつけて和也の気持ちに答えることから逃げているだけじゃないのか!?その気持ちは間違いなく「恋」。ちゃんと師匠と話し合って、彼の気持ちに答えるべき。千鶴の無理やり取り繕った理屈なんて、あまりに脆弱なんです。簡単に八重森さんに反論されてしまう。

 

千鶴もさすがに、自分は嫌われてしまったと和也を誤解させ、本物の彼女になることから逃げ続けている現状は良くないと分かってるでしょう。本当はそんな現状を打開したくて、もしくは決断できない自分を誰かに叱ってほしくて、八重森さんに助けを求めていたのかもしれません。だからすんなり彼女を部屋に上げたのかもしれません(本心を知られたくないなら、八重森さんも避けた方がいい。八重森さんがすんなり千鶴の部屋に上がれたことに驚いている通りです)。千鶴は、本当の彼女になるために前に進まないといけないということも分かっている。いつまでも都合のいい理屈を捏ねて、演技で本心を隠し、好きだと伝えることから逃げ続けても、何も生まれない。自分を心から大切に思ってくれる和也や、自分の幸せを願ってくれていた小百合おばあちゃんの想いを裏切り続けるだけ。

 

 

 

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◆師匠の想いに真正面から向き合ってほしいっス! 235話

 

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◆何かを決心したように顔を上げる千鶴 235話

 

八重森さんに和也の気持ちに向き合うように言われた千鶴は、決心したように顔を上げます。千鶴がこの後、どういう行動にでるのかは分かりません。和也の恋人になるために、どこまでできるのか分かりません。しかし、一歩でも前に進まないといけないと思っているのは間違いありません。

 

 

 

私たち読者は、漫画のキャラクターはいつも本心を語っていると思い込んでいます。しかし、リアルな日常生活では、他人に対して常に本心を話すわけではありませんよね。目の前に人がいたら、こんなこと言ったらどう思われるんだろうって必ず考えてしまいます。自分がどう見られたいかを考えて言葉を選んだり、恥ずかしくて取ってつけたような理屈(嘘)を捏ねてしまったりします。その「普通」が、かのかりには流れています。

 

千鶴の言うことのうち、どこが本心でどこが嘘なのかを見極めるなんてほとんどの読者はできないと思います。千鶴が言葉(セリフ)で説明したことが、本心なんだと多くの人は思ってしまうでしょう。気づきましたか?千鶴が、和也に対してはキスなんて大したことないと言っていたのに、八重森さんにはどうしてキス(恋心がなければできないようなこと)までしてしまったのか自分にも分からないと説明していることに。千鶴の言うことには矛盾が生まれています。本心を素直に見せられなくて、千鶴はいつも演技をしているわけです。そうやって自分の本心を隠してしまっている。千鶴の本心を見極めるためには、これまで描かれた千鶴の気持ち全てを振り返られないといけないのですが、まぁ、普通はやろうとしないし、できませんね笑。

 

 

 

という感じで235話を振り返ってみました。八重森さんに叱られて、千鶴も改めて今何をしないといけないのかを認識した、と言う感じですね。グッジョブ、八重森さん。僕が思ってたより、ずっと順調ですね。この後、二人はレンタルデートするわけですが、不器用すぎる千鶴の恋を見守っていきたいです。あー、めんどくさい、めんどくさい笑。

 

では、次の記事で!