【229話】ごめん もう『嘘』は言えない千鶴 | 恋心、お借りします

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【229話】ごめん もう『嘘』は言えない千鶴

 

■English translation

[ch 229] Sorry: Chizuru Can No Longer Lie

 

 

 

はいどーも。甲楽わんです。かのかり楽しんでますか?

 

229話は、栗林や和也、瑠夏、麻美の、千鶴のキスへの反応が丁寧に説明された回になりましたね。当然こうなるよね笑。

 

二人はついに恋人になるのかと期待していた読者もいたかもしれませんが、きちんと物語が読めていたら、そうならないのは分かったはずです。キャラクターたちは、読者の「身勝手な期待」には答えてくれません。

 

また、千鶴の変化が分かりやすく描かれた回でもありました。

 

当然のごとく瑠夏は、「あなたはただのレンタル彼女なんだ」「千鶴さんは私と和也くんの恋人関係を応援する立場なんだ」と千鶴に念押ししに行きました。

 

いままでずっと千鶴は「私たちが嘘の恋人関係を続けているのは、おばあちゃんたちのため」「瑠夏ちゃんが想像しているようなこと(本当は和也のことが好きだったり、彼と本当の恋人関係になること)はありえない」とはっきり言ってきました(34話、110話)。和也とプライベートな関係を持ったり、嘘の恋人関係を続けたりすることを瑠夏に責られるたび、そう説明(言い訳)してきたのです。

 

 

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◆ごめん ごめん 229話

 

ごめん ごめん

 

しかし、千鶴はもうその言い訳はすることはできませんでした。ただ一言、「ごめん」と言うと、瑠夏から目を逸らしてしまいます。

 

瑠夏は、当然千鶴が言い訳してくると思っていた。しかし、ただ謝るだけ。本当に言い返せないよう。瑠夏は予想外の反応に戸惑ってしまいます。反論されなければ、これ以上責めることはできません。

 

どうして千鶴が瑠夏に反論したり、言い訳をしなかったのか。それは、和也の彼女になると決めたからです。和也のことは好きではないと言う言い訳は嘘になってしまうし、瑠夏から和也を奪うことになるからです。

 

千鶴は瑠夏にはずっと和也はただのお客さんだと『嘘』をつき続けてきました。和也の彼女になれとまで言った(27話)。瑠夏の前では、本心を隠し続けてきたのです。しかし、今は和也の恋人になると決めたんです(223話)【226話】ちづるのキス 本当の彼女になるための決断)。いつか瑠夏にも私はずっと前から和也のことが好きだったと、あの日の言い訳は嘘だったと知られる時が来る。瑠夏にずっと嘘をつき続けてきたことをいつか謝らないといけない。もしここでまた、すべて瑠夏ちゃんの誤解だと言い訳をすれば、それはまた嘘を重ねることになる。それは瑠夏に対してあまりにも申し訳ない。

 

また千鶴は、瑠夏を落ち着かせるためではなく、心から申し訳ないと思って謝っています。瑠夏の言うことはすべて正しい。そもそも、レンタル彼女がお客さんを本気で好きになるなんて間違っている。恋人になる権利なんてない。ずっと瑠夏に和也と恋人関係になるなんてありえない、すべて瑠夏の誤解だと言い訳をして(嘘をついて)、彼との嘘の関係を許してもらってきた。なのに、いま千鶴は和也と恋人になるつもりでいるんです。言っていたことと、やっていることが違う。本当に彼女になる権利があるのは瑠夏のはずなのに、瑠夏から和也を奪うことになる。あまりにも虫が良すぎます。千鶴は瑠夏に申し訳なくて、申し訳なくて、罪悪感でいっぱいです。

 

千鶴は本当に瑠夏に申し訳ないことをしたと感じているし、これ以上は嘘は言えない。だから、何も言わず謝るしかなかったわけですね。

 

今回は、キスに対する各キャラのリアクションを改めて整理したいと思います。また、ちづると瑠夏の関係性を振り返って、言い訳のできなかった千鶴について話していこうと思います。

 

 

 

 

  それぞれのキスへの反応

 

栗林俊

栗林は、レンタル彼女の千鶴が和也にキスまでしたことにかなり戸惑ってしまいます。和也が家族に千鶴さんは本物の彼女だと嘘をついているのは知っている。でも、レンタル彼女がお客にキスまでするなんてありえない。『仕事だから』『優しいから』でできる範疇を越えている。栗林には、和也と千鶴がただのレンタル彼女と客の関係には見えません。

 

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◆キス キスだぞ 229話

 

二人とも本当はどういう関係なんだよ?と確かめたくなって当然ですね。栗林は、和也と千鶴のレンタル関係は知っていて二人に協力しています。しかし、本当は好き合っていることも含め、ふたりがどんな時間を過ごして来たのかを知りません。そのような立ち位置にいるキャラクターだから、こういう念押しができたと言う感じですね。グッジョブ。

 

 

 

和也

和也は千鶴がキスをしたことも、「正真正銘の彼女」だと言ってくれたことも、すべてプロとしての仕事であり、自分の嘘を隠すためにやってくれた(つまり嘘)だと考えています。ものすごく迷惑をかけてしまったわけです。「二人で乗り切ろう」と言ってはくれていたものの、申し訳ないでしょうね。

 

 

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◆水原は 話を合わせてくれただけで… 229話

 

水原は 話を合わせてくれただけで…

 

和也は栗林に、水原は嘘を隠すために自分と話を合わせてくれただけだと本当のこと(和也の認識)を話しますが、『千鶴さんはキスまでしたんだぞ』と問い詰られてしまいます。キスを思い出して顔を赤らめる和也は、多少『小さな可能性』に期待するかもしれせんが、「これは俺の身勝手な妄想」だと言って、否定するでしょう。むしろ、そんな無理をさせてしまって、嫌われてしまっただろうと不安に思ってしまうかもしれません。和也の認識はそうやすやすと変わりません。

 

あなたはキスをきっかけに和也がちづるの本心に気づくのでは、と期待するかもしれませんが、あまり期待しないでください。和也の認識(千鶴への誤解)は1話から長期間続いてきたものであり、かのかりのスピード感(気持ちの変化の速さ)を考えると、急に変わったりしません。今後千鶴への認識が変わるとしても、十分な過程を経て少しずつ変わっていくんでしょうね。

 

今後、和也が少しずつ千鶴の気持ちに気づいていくのか、このまますれ違い続けるのか、それは分かりません。宮島さんがどういうプロットを書くか次第でしょう。僕は以前、和也が千鶴の気持ちに気づいてく物語が描かれるのかなと予想(期待)していました。千鶴に告白できなかった和也が、告白をすると言うところまで気持ちが到達して以降(174話)、もう彼が越えないといけない壁は「千鶴は自分の事なんてなんとも思っていない」という誤解くらいだったからです。千鶴がすげぇいい奴だからでもレンタル彼女の仕事だからでもなく、自分のことが好きだったから傍にいてくれたんだと気づく瞬間が来ると想像していました。しかし今は、それは嫌だなと思っています。最後まで和也には気づいて欲しくないですね。

 

それに気づいてしまったら、簡単に告白ができてしまうからです。これまで和也は、まさか水原が俺の事なんて好きなはずがないと思ってきました。むしろ、たくさん迷惑をかけて嫌われているんじゃないかと不安だった。そもそも、お客がレンカノに恋するなんてあってはダメ。それでも、千鶴のことを尊敬していて、感謝していて、大好きで、幸せにしたいから、傍で彼女を支えてきた。きっと俺は振られてしまう。だけど、やっぱり俺は水原のことが大好きで、幸せにしたいんだ。その気持ちが大きくなるからこそ、和也は女優としての千鶴を応援したし、映画も作ったし、告白なんて馬鹿なことまでするという決断をした(174話)。僕はそういう和也が見たいんです。もし、和也が千鶴の本心に気づいて告白を阻む障害が低くなってしまったら、気持ちが大きくなくても簡単に超えられてしまう。千鶴が自分のことが好きだから、告白しようと言う話になってしまう。彼の千鶴が大好きという、大きな大きな気持ちは表現できなくなってしまうんです。だから、気づいてほしくないですね。

 

 

 

瑠夏

瑠夏は千鶴が和也にキスをしたことも嫌ですし、嘘を隠すためには仕方がなかったとはいえキスができてしまったのは、本当は千鶴さんも和也のことが好きだからなのかもしれないと恐れているはずです(【226話】ちづるのキス 本当の彼女になるための決断)。

 

 

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◆どーいうつもりですか!?まじ本当何考えてるんですか!? 229話

 

千鶴がキスをしたことを責め立て、「あなたはレンタル彼女で、和也君はお客」だと念押ししたくなって当然ですね。お客である和也は、レンタル彼女である千鶴のことを好きになってはダメだし、そうなるはずはない。千鶴さんも、そんな気を起こしてはいけない。二人の間でリアルな恋愛はNG。その認識を千鶴に再確認させているんですね。そうすることで、二人が恋人になる可能性を摘もうとしてるわけですもちろん、自分の彼氏にキスされたのがシンプルに嫌で、苛立ちを千鶴にぶつけたいという思いもあります

 

 

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◆千鶴が言い訳してこなかったことに戸惑う瑠夏 229話

 

瑠夏は、当然千鶴が言い訳してくると思っていた。しかし、ただ謝るだけ。目を逸らし、本当に言い返せないよう。瑠夏は予想外の反応に戸惑ってしまいます。反論されなければ、これ以上責めることはできません。瑠夏は仕方がなく、「泣き落としは許さない」と何とか理由を付けて言い返します。

 

瑠夏は、千鶴の本心にはまだ気づいていない(確信はない)ようですが、今後真実に向き合わなければいけません。

 

 

 

麻美

僕が予想できていなかったのが、麻美が怒りを露わにして千鶴に詰め寄ったことですね。

 

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◆馬鹿にするのも いい加減にして 229話

 

麻美は、千鶴と和也の嘘の恋人関係を終わらせるためにハワイアンズまでやってきました。レンタル彼女が、お客の家族や友達に嘘をついて、恋人関係を続けるなんて間違っています。水原千鶴は自分がやっていることが間違っていると分かっていない。真実を打ち明ける気がない(217話)。だから、わざわざ自分が真実を明かしてあげた。なのに、水原千鶴は嘘を重ねて誤魔化し、嘘の恋人関係を続けようとしたわけです。麻美が怒って当然ですね。

 

しかし、僕は麻美はもっとスマートな戦い方をするだろうと思っていました。これまで麻美は、たとえ苛立っていたとしても、それを隠し、自分の目的達成のために狡猾に行動していた。だから、千鶴と和也の嘘を証明するカードが残っていれば(もしくは、思いついたのなら)、それを切ってくるし、無いのであれば悔しさを抱えながらも撤退するのかなと想像していました。しかし、麻美は苛立ちを千鶴にぶつけて責め立てると言う戦い方を選んだわけですね。

 

今のところ僕は、麻美のこの行動は何か打算の混じった『演技』ではなく、本気でキレているんだろうな思っています(演技だと言う根拠がない)。もしそうだとすれば、もう麻美には戦うためのカードがないと言っていい。もし麻美に千鶴の嘘を暴く方法が残っていたとしたら、焦ったり苛立ったりする必要はないからです。なかなか真実を打ち明けようとない千鶴を見て(217話)、自らの手で真実をバラす決断したのと同じように、ただそのカードを切ればいいだけです。「ちづこ、今に見てろ。すぐに終わらせてやる」と、嘲笑っていたはずです。麻美がこれほど焦り苛立っているのは、千鶴が和也と本当に付き合っていると嘘をついたために、ふたりの嘘の恋人関係を終わらせられない(そのための方法がない)という現実にぶつかっているからでしょう。麻美にはもう、千鶴を責め立てて、無理やり和さんの元へ連れて行くくらいしか戦い方が残されていないのかもしれません。

 

ただし、千鶴を責め立てるために、瑠夏というカード(本当の彼女は瑠夏だという事実)を切ることはできます。いま、この場所に、木ノ下家の人たちや木部君はいないからです。麻美は、千鶴と和也が付き合ってないことを証明するために本当の彼女は瑠夏なんだと言う事実をカードとして計算していた可能性が高い。しかし、プールではそのカードは切れなかった。瑠夏が、和也と千鶴の嘘を隠す立場に立ってしまったからです(225話)。本当の彼女は瑠夏だと明かしても、否定されてしまうだけ。しかし、このトイレにいるのは事情を知っている女三人です。瑠夏は誤魔化す必要がありません。本当の彼女は瑠夏だという事実を使って、千鶴を責め立てたり、瑠夏の気持ちを煽ったりすることはできます。瑠夏ちゃん、あなたこそ、本当にこれでいいの?キスまでされて許せるの?本当の彼女は、あなたじゃないの?麻美はそう瑠夏に訴えかけるのかもしれませんね。

 

 

 

木部

木部は夕食には来ずに、散歩に行くと栗林に伝えてどこかへ行ってしまいました。何をしているのか分かりません。和也が嘘をついていると強く疑い(というか、確信し)、これ以上嘘を重ねるなとはっきり言った。しかし、千鶴が和也にキスをしたので、木ノ下家の人たちは二人が本当に付き合っていると言ったこと信じたわけです。木部本人は、まだ二人の関係が嘘なんじゃないかと疑っているのかもしれませんが、和おばあさんが信じた以上、とりあえず信じるんじゃないんでしょか。散歩しながら、和也や千鶴に何を話すべきか考えているのかもしれません。個人的には、木部が千鶴に和也のことをよろしくと言って、それに千鶴が「はい」と答えるお話が見たいです(妄想)笑。

 

 

 

  「ごめん」としか言えない千鶴

 

本当に付き合っているんだと、自分は本当の彼女だという嘘をついて、なんとか千鶴は嘘の恋人関係を取り戻しました。これで、木ノ下家に見せてきた敬意も信頼も感謝も嘘の演技にはなりません。和おばあさんを悲しませることにもならないし、小百合おばあちゃんに嘘をついたことにもならない。木ノ下家の人たちや木部君の間では、本当に和也と付き合っていると言うことになったのです【228話】レンタル彼女として間違っていたとしても)。

 

 

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◆嘘を信じてもらえたものの ため息をつく千鶴 229話

 

ほっと一安心というところですが、はぁと大きくため息をつく千鶴。当然です。これまでずっと目を背けてきた和也に本心を伝えないといけないと言う現実と向き合い始めたわけですから。ちゃんと言えるのかどうかとか、東京へ帰ったら別れると言う話になっていたけれどそれを止められるかなどなど、千鶴が越えないといけない壁はとても高い。

 

まぁ、例えるなら、嫌な夏休みの課題なんて無いふりをして、遊んでばかりいたのと同じですね。気づいたら夏休みももう終わりに近い。これをやらないと、先生や親にこっぴどく叱られたうえ、落第してしまう。そこで、やっと課題に取り組み始めたものの、終わらせられるのかも不安で仕方がない。それに近い気持ちかと思います笑。

 

 

 

当然のごとく瑠夏は、「あなたはただのレンタル彼女なんだ」「千鶴さんは私と和也くんの恋人関係を応援する立場なんだ」と千鶴に念押ししに行きました。

 

 

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◆どーいうつもりですか!?まじ本当何考えてるんですか!? 229話

 

どーいうつもりですか!?まじ本当何考えてるんですか!?

あなた 自分が何をしたか 分かってますか!?

ご自身が「レンタル彼女」だって事 お忘れですか!?

落ち着けるわけないでしょっ! 目の前でヒトの彼氏 寝取っておいて!

 

大げさなもんですか! これで和也君が千鶴さんを好きになったら

どうしてくれるんですか

仕事だから仕方がない!?

そんな言い訳が本気で通用するとでも!?

あの日 和也君の背中を押したのは 何だったんですか!?

私と和也君のことは 応援している

貴方はずっと そう言っていたはずですよね!?

初詣での言葉忘れませんよ!

和也君との『恋人関係』は本意ではない!

これがおばあさんのためになってるなんて 本気で…!

 

これまで千鶴だったら、キスは和也の嘘を誤魔化すために仕方がなかったと言い訳をするところですが、しかし、

 

 

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◆ごめん ごめん 229話

 

ごめん ごめん

 

ただ一言、「ごめん」と瑠夏に謝り、瑠夏から目を逸らしてしまいます。

 

 

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◆千鶴が言い訳してこなかったことに戸惑う瑠夏 229話

 

当然言い訳してくるだろうと思って戦闘態勢に入っていた瑠夏はあっけにとられてしまいます。

 

 

 

今までずっと千鶴は『私たちが嘘の恋人関係を続けているのは、おばあちゃんたちのため』『瑠夏ちゃんが想像しているようなこと(本当は和也のことが好きだったり、彼と本当の恋人関係になること)はありえない』とはっきり言ってきました(34話、110話)。和也とプライベートの関係を持ったり、嘘の恋人関係を続けることを瑠夏に責られるたび、そう説明(言い訳)してきたのです。


お正月、千鶴は瑠夏に嘘の関係を続けるのは、和也のことが好きだからではないかと問い詰められます。そして、その気がないのなら、この関係を早く終わらせるべき、瑠夏が和也の彼女なんだと木ノ下家に明かすのが最善策だと正論を言われてしまいます。

 

 

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◆和也君のこと 好きなんじゃないんですか? 34話

 

和也君のこと 好きなんじゃないんですか?

私に取られるのが 寂しいんですよ

だから 諦めきれないんだ!

 

(ちっ 違うわよ!)

 

 

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◆その気が無いなら 身を引いてください レンカノらしく! 34話

 

和也さんの彼女でいたいのは 千鶴さんなんじゃないですか?

私 千鶴さんが思ってるより 和也君のこと 本気ですから

その気が無いなら 身を引いてください レンカノらしく!

 

それでも千鶴は、瑠夏が想像しているようなことはない(和也のことが好きではない)、瑠夏を彼の彼女だと木ノ下家に紹介しても上手くいかない、いろいろ事情がある、(和也が瑠夏に説明した通り)おばあちゃんたちのためにやっているなど、いろいろ理由を付けて嘘の恋人関係を続けようとしたんです。和也とリアルに恋人関係にはなることはないと言い張って、瑠夏に嘘の恋人関係を続けることを認めてもらっていたわけですね。

 

この態度は千鶴が自分の恋心に気づいた後(86話以降)も変わりません。

 

映画製作の打ち合わせで和也の部屋へと来た千鶴は、彼にオムライスを振舞います。倒れられては困るともっともらしい理屈をつけていますが、喜んで欲しいし可愛いと思って欲しいと思って手料理を作っているわけです。だから、和也に感想まで求めてしまいます(109話)。

 

しかし、千鶴は和也への気持ちを他人に明かせるほど素直じゃないし、レンタル彼女がお客を好きになるなんてあってはなりません。だから、和也の部屋に上がり込み、手料理まで作っていたことが瑠夏に知られたときには、

 

 

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◆だから るかちゃんの思う やましいことなんて何もないのよ 110話

 

 

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◆それは普通に…”料理”ね 110話

 

だから るかちゃんの思う やましいことなんて何もないのよ

それは普通に…”料理”ね

 

和也のことは好きではないし、手料理を作ったのは体調を崩されたら責任を感じてしまうからだと、瑠夏に説明します。もちろん、映画制作のために和也の部屋にいたのは事実ですが、瑠夏の想像しているようなことはない(和也はただのお客で、好きでもないし、今後恋人関係になることはない)という部分は嘘です。ただの手料理だと言うのも、本心を隠すための嘘です。そういう嘘を重ねることで、彼との映画制作を許してもらったわけです。

 

千鶴はそうやってずっと和也の『彼女』でいる言い訳をしてきたんです。自分はレンタル彼女で和也と恋人になる気はないと言い張って、嘘の恋人関係も、映画制作も許してもらった。木ノ下家の前では自分が彼女を演じ、瑠夏には友達を演じてもらっていた。自分は何も責められることはしていないと主張してきた。

 

しかし、もうそれはできませんでした。

 

 

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◆ごめん ごめん 229話

 

ごめん ごめん

 

どうして千鶴が瑠夏に言い訳をしなかったのか。それは、和也の彼女になると決めたからです。もう『ただの仕事だ』『私は和也が好きでない』という言い訳は、嘘になってしまうし、本当に瑠夏から和也を奪ってしまうからです。

 

これまで千鶴は和也と本当の恋人になれるとは思っていませんでした。だから、いくら、彼のことは好きでもないし全ておばあちゃんたちのためにやっているんだと言い訳をしても、それが嘘になることはないと思っていたわけです。だから、本心を隠すための言い訳が言えてしまった。

 

しかし、和也が自分をずっと好きでいてくれたと知った瞬間から、千鶴の目には彼の恋人になる未来が見えています(174話)。そして今、好きだと伝えられなかった自分を悔やみ、和也の本物の恋人になるために前に進むと決めたんです(223-226話)。だからこそ、嘘の恋人関係を真実に変えなくちゃいけないと考え、彼にキスまでした(【226話】ちづるのキス 本当の彼女になるための決断)。

 

いつか瑠夏ちゃんに、私はずっと前から和也のことが好きだったと、あの日の言い訳は嘘だったと知られる時が来る。瑠夏にずっと嘘をつき続けてきたことをいつか謝らないといけない。もしここでまた、すべて瑠夏ちゃんの誤解だと言い訳をすれば、それはまた嘘を重ねることになる。それは瑠夏に対してあまりにも申し訳ない。

 

また千鶴は、瑠夏を落ち着かせるためではなく、心から申し訳ないと思って謝っています。瑠夏の言うことはすべて正しい。そもそも、レンタル彼女がお客さんを本気で好きになるなんて間違っている。恋人になる権利なんてない。ずっと瑠夏に和也と恋人関係になるなんてありえない、すべて瑠夏の誤解だと言い訳をして(嘘をついて)、彼との嘘の関係を許してもらってきた。なのに、いま千鶴は和也と恋人になるつもりでいるんです。言っていたことと、やっていることが違う。本当に彼女になる権利があるのは瑠夏のはずなのに、瑠夏から和也を奪うことになる。あまりにも虫が良すぎます。千鶴は瑠夏に申し訳なくて、申し訳なくて、罪悪感でいっぱいです。

 

千鶴は本当に瑠夏に申し訳ないことをしたと感じているし、これ以上は嘘は言えない。だから、何も言わず謝るしかなかったわけですね。(一応言及しておきますが、千鶴は和也に対してだけでなく瑠夏に対しても本心を明かすことができません。だからまだ、これまで嘘をつき続けたことや、和也の彼女になろうと考えていることを瑠夏に明かして謝ることはできません。)

 

 

 

この後、千鶴は麻美に胸倉をつかまれて、罵られてしまいます。麻美が無理やり嘘をバラそうとしたことにはものすごく不満があるのですが、同時に自分が嘘をついて和也の『彼女』でい続けたことが間違ったことだと分かっているはずですし、嘘を重ねて嘘を隠す(和也と本当に付き合ってると嘘をつく)なんて許されないことだと分かっているでしょう。千鶴が悪い。麻美の言っていることは正しいんです。麻美にそこを突かれたら、もう何も言えないでしょうね。

 

麻美が無理やり和さんのもとに連れていくと暴れだしたら、唯一麻美を制する方法は、和也と私は本当に付き合っているんだと言い張る(麻美にも嘘をつく)くらいしかないかもしれません。今千鶴がやらないといけないと思っていることは、和也との恋人関係が嘘だとバレてしまわないようにすることです。たとえレンタル彼女として間違ったことをしたとしても、もう小百合おばあさんや和也の気持ちを裏切ることはできないはずです。

 

 

 

と言う感じで229話を振り返ってみました。千鶴の一つ大きな変化が描かれた回でしたね。もう瑠夏に対して申し訳なさでいっぱいで、『ごめん』としか言えないっすよ。やっぱり、瑠夏に認めてもらわない限り、和也と千鶴は恋人になれそうにありませんね。それを二人はどう乗り越えるのか、とても楽しみです。

 

では、また次の記事で!