【228話】レンタル彼女として間違っていたとしても | 恋心、お借りします

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(自称)水原千鶴を応援する会の会長。
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【228話】レンタル彼女として間違っていたとしても

 

■English translation

[ch 228] Even if I Am Wrong as a Rental GF

 

 

 

はいどーも。甲楽わんです。かのかり楽しんでますか?

 

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◆ねっ 228話

 

キスに戸惑っている和也が可愛かったですね笑。えー、先週に引き続き、話さないといけないことはほとんどありません。こちらのブログでは、感想というよりも(主に千鶴の視点で)物語を整理して、読者により作品を理解してもらいたいと言う趣旨で書いています。今週は何か状況が動いたわけでもないので、解説しなければいけないことはありません。シンプルに漫画を楽しんでください。

 

 

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◆和也との出会いや彼との出来事を打ち明ける千鶴 228話

 

千鶴と和也は、キスをもって恋人関係であることを証明し、木ノ下家や木部くんに本当に付き合っていると言う嘘を信じてもらうことに成功しました(227話)。その後、千鶴は和也とどう出会って今まで彼と何があったのかなど、すべて本当のことを和おばあさんに打ち明けます(228話)。本名が「一ノ瀬ちづる」であることも含め、千鶴が真実を打ち明けたのは、自分たちの(本当に付き合っているという)嘘を和おばあさんに信じてもらるためにはそれがベストだと判断したからでしょう。下手な嘘を捏ねるよりも、和也と過ごしてきた時間をありのままに話せばそれで十分説得力があるし、和也と口裏を合わせる必要もありません。また、いずれ「一ノ瀬ちづる」として木ノ下家と関わって行こうと思っているわけだから(本当の彼女になると決めたんだから)(223話)、変な嘘で誤魔化す必要なんてないし、真実を話すべきだと判断したんでしょう。

 

周りの人は、レンタル彼女水原千鶴が和也の彼女を演じているのではなく、レンタル彼女の仕事をしていて女優の卵である『一ノ瀬ちづる』という人が、和也と付き合っているんだと認識するわけです。ふたりが付き合っていると言う一点を除いて、何一つ嘘はついていないことになります。あとは二人がお互いの思いを打ち明けて、本当の恋人関係になるだけですね。でも、まぁ、こっからが長いですよね笑。千鶴は恥ずかしさや戸惑いを乗り越えて、ちゃんと「ずっと好きでした。本物の恋人になりたいです」と言葉にしなければいけません。その壁はそう簡単には超えられません。

 

 

◆2人のキスに戸惑う瑠夏 228話

 

瑠夏はさすがにやばいと思ってます。和也と千鶴の嘘を隠さないといけない場面なのに、千鶴が和也にキスまでして「正真正銘の彼女だ」と宣言したことにかなり戸惑っています。レンタル彼女がお客にキスをするなんてあり得えません。千鶴も本当は和也くんのことが好きで、このまま2人が付き合ってしまってしまうんじゃないかと不安でしょう。千鶴にも、和也にも、「あなたたち二人はレンタル彼女と客の関係であって、本当に恋愛するなんてご法度だ」と念押ししたいでしょうね。

 

千鶴と和也、瑠夏、麻美の現状の整理は、226話と227話のブログを読んでください。

 

■ 【226話】ちづるのキス 本当の彼女になるための決断

■ 【227話】嘘を信じてもらわなくちゃ!

 

特に今日は話すこともなさそうなので、千鶴にとって『利用規約』(千鶴の視点でいえば、レンタル彼女としての正しさやルール)とは何なのかについて話そうかなと思います。このハワイアンズへの旅行で、『泊りがけの旅行』や『指輪のプレゼント』、『お客さんとのキス』など、レンタル彼女としてやってはいけないことをたくさんやってしまいました。

 

僕は冗談半分で、『利用規約違反』は『どれほど千鶴が和也のことが好きかを示す指標』と言ったことがあります。実はこれは冗談ではなく、本当に『利用規約違反』を通して、千鶴の気持ちは描かれてきたんですね。ハワイアンズで盛大に利用規約違反をした(お客にさせてしまった)今、これについて解説しておこうと思います。

 

 

 

  利用規約という障害と葛藤

 

千鶴はレンタル彼女という仕事にプライドを持っています。基本的に事務所が決めたルールは順守しています。だから、お客に利用規約違反をさせることはいけないことだと分かっているんです。

 

事務所に嘘の報告をする。長期間にわたって嘘の恋人関係を続ける。お客とプライベートな関係を持つ。お客と泊りがけの旅行に行く。お客とキスをする。それらをダメだと分かてもやったのは、それだけ和也のことが好きだからです。彼の力になってあげたいから。彼女でいたいからです(一応明確に言っておきますが、和也からお金をもらうためではありません。ただお金を稼ぎたいなら、そんな危ない客には関わらない方がいいに決まってます)。

 

千鶴が和也と出会ったばかりのころ、千鶴は和也に自分のプライベートに関わってくるのはご法度だとはっきり言っていました。

 

◆利用規約 3話

 

泊りがけの旅行に行くなんて絶対しなかったし、ましてやキスなんて絶対にしません。アパートや学内では挨拶さえせず、いつも他人のフリだった。これが、レンタル彼女として正しい在り方なんです。

 

しかし、和也との信頼関係ができたり、好きになったりするにつれて、少しずつ彼との付き合い方が変わっていくわけですね。

 

 

◆お客と嘘の恋人関係を続けようとする 21話

 

当初、千鶴は和也と『別れる』(和也の友達やおばあちゃんたちに別れたと言う)つもりでした。しかし、和也に海で助けられたことで彼の良さを認識し、恩もあって彼の力になりたいと思ってしまった(20話)(【解説】好きとは言わない水原千鶴の 状況と行動の間にある「好き!」)。だから、嘘の恋人関係を長期間続けるなんてよろしくないんですが、本物の彼女ができるまで嘘の恋人を演じ、レンタル彼女として彼の恋を応援すると、和也に約束してしまいます(21話)。まぁ、これくらいの利用規約違反なら、まだ小さなものでしたね。

 

 

◆お客とプライベートで付き合おうとする 57話

 

和也に自分の夢を応援してもらったことをきっかけに、もっと彼と仲良くしたいと思ってしまいます。だから、お隣さんなら挨拶したり一緒に暇つぶしするくらいは普通だと理屈をつけて、和也とプライベートな関係を持とうとするわけです。

 

 

◆お客と学内であいさつをする 61話

 

学内では他人のふりをする約束だったのに、自分からそれを破ってしまいます。千鶴が自分で言っていたことを曲げるなんてきっと嫌だったでしょう。それでも、千鶴はそうした。それくらい和也におはようって言ってもらいたいんですよ。

 

 

◆お客と泊りがけの旅行に行く 186話

 

レンタル彼女の仕事として千鶴がお客と泊りがけのデートをするのは明らかな利用規約違反。そんな報告、事務所にできるはずありません。客との間のプライベートな付き合いもNG!絶対に許される行為ではありません。

 

しかし、もしここで千鶴が旅行に参加できないと言ったら、瑠夏と和也だけが参加してしまう。お正月のときのように瑠夏が彼女宣言してしまうかもしれない。瑠夏は和也の傍にいられてとても幸せで、和おばあさんにも気に入られて、楽しい時間を過ごすだろう。ちづるは、それが嫌で嫌でたまらないんです。和也の彼女として、彼と楽しく話したりプールではしゃいだり食事をしたりしたんです。だから、レンタル彼女として間違っていることだと分かっていても、この旅行に着いていく決断をしたんです(【186話】レンタル彼女より大切なもの 和也の彼女は私)。

 

 

◆お客さんの家族と必要以上に親しくなろうとする 206話

 

千鶴は、小百合おばあさんが亡くなりそうなとき、和也にお願いをして嘘の恋人関係を続けさせてもらいます(91話)。和也ははっきり「別れたと言おう」と言っていた。お客さんに嘘を強要するなんてあってはなりません。

 

さらに、その後、身寄りのなくなる自分を気遣ってくれた和おばあさんの優しさに甘え、木ノ下家にとって大切な指輪まで受け取ってしまいます(91話)。このハワイアンズでも、自分を大切に思ってくれている晴美さんの気持ちに答えたくて、何か困ったことがあれば必ず相談すると約束をし、指輪のプレゼントを贈ってしまいました(206話)。

 

レンタル彼女は本物彼女にはなれないし、家族の一員にもなれないんです。当然、お客さんの家族と必要以上に深い関係を持つことは許されません。それは、お客さんのプライベートへの過干渉。レンタル彼女だとバレて嘘つきだと責められるなど、トラブルの種になりかねない(実際、本当の彼女にはなれないのに指輪を受け取ってしまったことに千鶴は頭を悩ませていました。122話)。

 

でも、どうしても木ノ下家の人たちを頼ってしまったり、彼らが自分を大切に思ってくれる気持ちに答えたかったりして、間違いを犯してきたわけです。

 

いつか和也の本当の彼女になれると思っている今、もうレンタル彼女としての正しさはほとんどブレーキとして機能していません。麻美に指摘された通りです(208話)。レンタル彼女として正しくあるよりも、ずっとずっと和也の本当の彼女として正しくありたいと思っています。だから、晴美さんに指輪のプレゼントなんてできてしまったわけです(206話)。

 

 

 

 

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◆お客とキスをする 227話

 

最も破ってはいけない利用規約を破ってしまったのが、キスですね。和也の本物の彼女になると決意したから、越えられた壁でした【223話】まさに分水嶺! 千鶴の後悔と決意)。

 

利用規約を守らなければいけない。レンタル彼女として間違ったことはしてはいけない。でも、彼の力になりたい、彼の傍にいたい、彼の彼女でいたい。その葛藤の中で、千鶴は利用規約を破る選択をしてきたわけですね。千鶴の和也が好きという気持ちが、レンタル彼女として間違ったことはしてはいけないという気持ちを越えてしまったわけです。そうやって、ひとつひとつ越えられなかった壁を越えてきた。千鶴の和也への想が膨らんでいく様子は、『利用規約を破る』(レンタル彼女として間違ったことをする、もしくは本当の彼女として正しくあろうとする)という形で描かれてきたと言えるわけですね。

 

ちなみに、和也は千鶴の気持ちなんて分かるはずもなく、これだけ利用規約を破って自分に協力してくれるのは、彼女が自分の気持ちを第一に考えてくれるすごく良い奴でプロフェッショナルだからだと捉えています。ニブチンですね笑。

 

読者はキャラクターが行動に移さないのは『そうする気がないから』、行動に移すのは『そうする気があるから』だと考えてしまうことがあります。だから、千鶴が和也と恋人になろうとしないのを、まだ恋人になりたいと思うほど和也のことが好きではないんだろうとか、まだ自分の気持ちを理解していないんだろうとか、考えてしまいます。しかし、そうではありません。キャラクターは、『したいんだけど、できない』という葛藤を抱えているんです。その葛藤を乗り越えることを通して、キャラクターの気持ちは描かれているわけです。

 

 

 

という感じの話をしたところで、次のお話を待ちたいと思います。219話で未来の和也はレンタル関係は終わると言っていたので、もう千鶴は和也からお金を受け取る気はないのかもしれませんね。なんか理由を付けて、タダで彼女をやると言い出すかもしれません。本当の彼女になると決めた以上、『レンタル彼女としてあなたの彼女のフリをしてあげる』というスタンスでいるわけにもいきませんしね。No more 「勘違いしないで」、No more 「レンタル彼女としてやってあげる」ですよ、ちづる。

 

 

では、また次の記事で。