【190話】「和也が好き!」だからこそ彼女にはなれない…
はいどーも!かのかり楽しんでますか?
190話、千鶴を独りぼっちにしたくない、その気持ちから嘘を真実に変えることを決意した和也。
◆さっきの指輪 もう少し持っててくれないか(190)
さっきの指輪 もう少し持っててくれないか
頼む もうちょっとだけ!
なんとも和也らしい決意の仕方ですね。何か決意を固めたようなそのただならぬ雰囲気に、千鶴の方も、告白が来ることを感づいたんじゃないでしょうか。だってまぁ、今千鶴が最も気にしてることの一つですしね。
◆麻美殿っ(190)
そこに麻美の登場。やっぱり麻美はファンの期待を裏切りませんでしたね笑。和也との関係が嘘だとバレてしまうと恐れる千鶴には、もう残された時間はありません(184話)。
ふたりはついに恋人に?
うーむ。でも、正直に言って、この旅で和也の告白が成功することはないでしょう。和也、今じゃねぇよ!という感じです。おそらくガチファンならみなそう不安に感じていると思います。だって、千鶴自身が和也の告白を受けられないからですね。千鶴も「なんで今なの?」ってのがこのときのリアルな反応でしょう。
今千鶴が和也と恋人になれないのは、瑠夏のせいでもなく麻美のせいでもなく、本質的には彼女自身の問題です。「好き避け」ですね。
まぁ、実際には、千鶴が和也の告白から逃げてしまっている理由はいくらでも想像することができます。人と親密になることを恐れてしまっているとか、大切な人ができたときに失うのが怖いとか、いろいろ。でも、僕個人としてはそれが障害になっていることはほとんどないと思っています。
いまのところ作中で、和也と親密になることを恐れているとか、彼が恋人になったら失うのが怖いと悩む千鶴は描かれていません。なら、それが一番大きな問題ではないと思います。物語の中で確実に描かれていて、確実に千鶴の障害になっているもの、それが「好き避け」なんですね。
今日は、千鶴の「好き避け」について徹底的に振り返ってみたいと思います。
千鶴の深刻な好き避け
まぁ日本ではある程度「好き避け」という言葉が市民権を得ているような気はしてますが、どうでしょう。「好き避け」とは、好きな相手を(物理的に)避けてしまったり、好きな相手にそっけなくしてしまう(相手に興味がないような、嫌っているような振舞をしてしまう)ことですね。
和也の本心を知るまで(174話)、千鶴が和也と恋人になれなかったのは、和也にとって私はただの協力者で恋人でも何でもない、彼は私を好きなはずがないと思っていたからでした(【解説】ずっと深刻だった水原千鶴の葛藤)。しかし和也の本心を知った瞬間から、その障害がなくなってしまった。なら、千鶴が和也に好きだと伝えればふたりは恋人になれしまいます。でも実際にはなれなかった。
そこで、宮島さんが二人が恋人になれない理由として提示したのが、千鶴の「好き避け」だったんですね。
もし千鶴が、好き避けをしない子だったら、和也の告白を聞いた瞬間に振り返って想いを伝えられたはずです。でも千鶴はそれが出来なくて逃げてしまった。
◆馬鹿みたい…っ 私… (174)
和也の本心を知ることができたとき、本当に嬉しかったと思います。すごく安心したと思います。千鶴は、ずっと和也はいつか本物の彼女を作って私の元を離れて行ってしまうと悩みながら、思っていたんですから。
◆ああもう 何とかしなくちゃ(174)
ああもう 何とかしなくちゃ
そう言って、和也と恋人になることを決めます。でも、ずっとレンタル彼女として「私はあなたには興味ありませんよ」という振舞い方しかできなかった千鶴が、和也に好きだと伝えることがいかに難しいことか、千鶴自身良く分かっていたんだと思います。
◆学内で好き避けしてしまう千鶴(175)
千鶴は学内で和也に会うと、いつも通り学内の知り合いとして振舞うことすらできずに、距離を置こうとしてしまいます。和也のことが心から好きで、和也も自分のことを女の子として好きでいてくれる。それを感じると、すごく緊張するし戸惑ってしまう。だから、避けてしまうんですね。
人が好き避けをしてしまう理由は、好きな人と一緒にいると緊張してどうしても逃げてしまうだとか、好きだとバレてしまうのが恥ずかしいとか、好きだとバレてしまったときに拒絶されるのが怖いだとか、恋の戦略的に(相手の気を引くために)相手を遠ざけようとしてるとか、いろいろあるようです。
千鶴の場合は、「好きだと知られてしまうのが恥ずかしい」って強く感じてしまい、すごく戸惑ってしまうってのが、好き避けの原因ですね。
普通のツンデレなら、多少怒りっぽかったり攻撃的な(場合によってはクール)言い方をするものの、基本的には好きな人に対して自分の気持ちを伝えようとしますし、それができてしまう。しかし、千鶴の場合は、テンプレートのごとく表面的にツンなものの言い方をしているわけではなく、本当に心の深いところから好意を見せるのが恥ずかしいと思ってしまって、どうしてもツンな態度をとってしまう。さらに、恋人として和也を意識してしまうだけで戸惑ってしまって、その場から逃げてしまうんです。
超ド級のツンデレで、とにかく好意を見せるのが苦手なこの子なら(【解説】好きとは言わない水原千鶴の 状況と行動の間にある「好き!」)、好き避けしてしまうことは、当たり前といえば当たり前なんですよね。
笑顔でありがとうを言えない千鶴
一巻から水原千鶴は、和也に対する好意(要は、私にとってあなたステキな人に映ってますよという気持ち)をとにかく見せたがらない子でした。それが「好き避け」のもっとも本質的な要因です。
心の中では嬉しさや感謝の気持ちでいっぱいで、ひとりのときには最高の笑顔を作れるのに、和也に対してうまく笑いかけることができません。
◆多すぎよ 馬鹿 (53)
夢を諦めかけたとき、和也に「だから諦めるなんて言うな」って言ってもらってどれほど嬉しかったことか。
◆嬉しかった バカみたいだけど (55)
でも、和也には笑顔を作ることができないんですね。墨ちゃんや瑠夏ちゃんなら、最高の笑顔でありがとうを伝えられるのにね。
◆すっぱ (69)
和也に誕生日プレゼントをもらったったとき、プレゼントらしくはないけれど、自分のことを一生懸命考えてくれて、自分の身体を気遣ってくれたことが、そうやって味方でいてくれることが嬉しかったんですよね。この後、梅干を食べるためにわざわざご飯炊いちゃいます。
◆信じてあげるわよ うるさいなぁ(70)
でも、あなたがいちいちうるさいから、瑠夏のお泊りのことについては信じてあげるわ、なんて言い方してしまいます。
◆へへっ (146)
上映会場の下見をしたとき、おばあちゃんが映画の完成をこころから喜んでくれて、千鶴は人生の中でも一番と言っていいほど、嬉しかったんです。中学生の時からずっと望んでいた夢がかなったわけですから。ひとりになると、まるで小さな子みたいに無邪気な笑顔を見せます。
◆ありがとう もう一回 言いたくて(146)
千鶴は嬉しい気持ち感謝の気持ちでいっぱいで、和也に伝えたくて仕方がありません。でも、やっぱり和也に笑顔を見せることはできないんですね。すごく喜んでしまっている自分が子供っぽくて恥ずかしかったんだと思います。
感謝の気持ちさえ伝えることを戸惑ってしまうこの子にとって、私にとってあなたは素敵に映ってますよと言葉や表情で伝えることは、やっぱり難しいことなんですね。
理屈を並べてしまう千鶴
だから千鶴は、和也に協力したり会う理由を並べて、彼の傍にいたいという本心を隠してしまいます。
◆あくまで おばあちゃん達の為だし (32)
◆遠慮なんかしないでっ 今日はところん 付き合うから(79)
言い方はいつも、レンタル彼女として、おばあちゃんたちのため、あなたがしつこくお願いしてくるから、です。あなただから力になりたいんだという気持ち(好意)を、どうしても見せることができないんですよね。
◆プレゼントを選ぶ千鶴(30)
クリスマスのとき、千鶴は本心では和也に喜んで欲しいなと思って選んでます(わざわざ海くんにプレンと選びを手伝ってもらってまで)。
◆お詫び お詫びだから (31)
でも、和也には、単なるお詫びだし、お客さんだから当たり前だと言ってしまうんですよね。素直に、喜んでくれて嬉しいと言えばいいのに。
◆ちょっとおばあちゃん 私の彼氏にベタベタしないでよね(57)
フェアなお隣さん宣言をしたときだって、本当はもっと和也との時間が欲しいんですよね。
ちょっとおばあちゃん 私の彼氏にベタベタしないでよね
小百合おばあちゃんに和也を獲られてしまって不満が漏れます。こっちが本心です。
◆おばあちゃんがあなたに会わせろって聞かなくて(57)
でもやっぱり、バッティングセンターに誘った理由を、小百合おばあちゃんが会いたがっていると和也に説明して、自分の気持ちを隠してしまいます。
◆生クリームも切らしてたし あればもっとまともに…(109)
クラファン開始したころ、千鶴は自分が和也の傍にいたいという気持ちが恋心だと気づいたばかり(86話)。自分の夢をつないでもらい、映画製作の準備を着々と進めてくれる和也は本当に素敵に映ったはずです。和也の為に作ったオムライスだって、彼に美味しいと言ってほしくて、本気で作ったものでした。
生クリームも切らしてたし あればもっとまともに…
生クリームがあったら、もっとおいしくできたと言い訳をしてしまう千鶴。
◆勘違いしないで 別に深い意味はないから(109)
でも、和也には特に深い意味はないと言って、自分の気持ちを隠してしまいます。
ま、当然千鶴は感想が聞きたいわけで。「うまい めっちゃ旨い」言ってもらって、内心ではすごくうれしいのに。
そう ありがと なんか言わせちゃったみたい
美味しいなんてどうせ建前でしょ、なんて言い方をしてしまいます。
和也のことが本当に好きだから、千鶴は素直に気持ちを伝えられなくなってしまうんですね。一緒にいたいという気持ちも、喜んでほしいという気持ちも、好きになって欲しいという気持ちも、知られてしまうのが恥ずかしい。だから、いろいろと理由を取り繕って、あくまで私はあなたと会いたいわけじゃないんだよ、特別な気持ちはないんだよって言い方をしてしまいます。
ほんと、この子は、困った困った。和也が千鶴の気持ちに気づけないのも無理ないっす。
そっけない態度をとってしまう千鶴
千鶴は、和也の本心を知った後、彼を避けてしましました(175話)。そんな千鶴の好き避けは、物語の中で何度も描かれてきました。
◆サンキュ (16)
和也に海で助けられたとき、キスみたいなことをしてしまいました。千鶴はそれがすごく恥ずかしいし、男の子として和也をすごく意識してしまうんですね。そんな気持ちを隠すために、咄嗟に攻撃的な態度をとってしまいます。和也に背を向けてしまってありがとうもうまく言えず、自分の部屋に逃げ込んでしまいます。
◆…そう (112)
このとき丁度、おばあちゃんに「でも彼ほどあなたに相応しい人はいないわ」と言ってもらって、自分の恋を応援してもらったばかり(112話)。私はこの人が好きなんだって思うと、余計にうまく気持ちを伝えることができなくなってしまうんですね。動揺が見えないように、和也には背を向けてしまいます(このときは勇気を出して、和也に好意を伝えることができましたが)。
◆………っ(122)
八重森さんに、「師匠は水原さんが女として好きなんス」と言われたときには、恋人としての和也をすごく意識してしまって動揺してしまうんですね。和也から逃げ出したくて、そっけない態度をとってしまいます。
千鶴は、恋愛対象として和也をすごく意識してしまったり、自分がこの人のことが好きなんだと感じたりすると、すぐに動揺してしまいます。だから、その場から逃げてしまうんですね。素直に好意を見せられないだけでなく、咄嗟に「好き避け」してしまうキャラクターとしてずっと描かれてきました。
果たしてこの子が、告白しようとする和也から逃げずにいられるか、いやなかなか難しいと思いますよ。これまで描かれてきた千鶴を考えらたら、告白から逃げてしまうのは、当たり前ではあるんですよね。
恋心を否定してしまう千鶴
そんなこの子が、和也のことを恋人として見ているなんて知られたら恥ずかしくてたまりません。必死に否定しちゃうんですよね。
◆誕生日会に行きたがった気持ちを必死に否定する千鶴 (90)
誕生日会のとき、ふたりの嘘を守るために千鶴は小百合おばあちゃんに行かせてほしいとお願いしました。それはもう、ものすごく真剣に。
本当は誕生日会を楽しみにしてたし、瑠夏の乱入でふたりの嘘がバレてしまわないか不安で仕方なくて、誕生日会に行ったんですね。嘘の恋人関係を守りたいという気持ちが、和也への恋心だと確信した瞬間でした(【解説】超重要回 水原千鶴が「私 和也が好き」と気づいた瞬間!)。
ちづるに あんな行きたそうにされたら お葬式でも 優先させるわっ
そういう小百合おばあちゃん。小百合おばあちゃんには、自分が本気で和也に恋をしていることなんてバレバレ。
千鶴は、そんな気持ちが和也に知られるのが恥ずかしくて、必死に否定してしまいます(必殺ジト目)(90話)。まぁ、めちゃめちゃ可愛いっす笑。
◆106話 勘違いしないでよね(106)
八重森さんに、「イチャイチャしてるなら付き合っちゃえばいいのに」と言われて、まるで恋人のようにみられていたことが恥ずかしくて、必死にあなたとは恋人になる気なんてないって思ってもないことを言ってしまいます。まぁ、めちゃめちゃ可愛いっす(2回目)笑。
◆好きじゃなくもない(178)
◆知らない!(178)
海くんのパーティーでは、「好きじゃなくもない」と言った自分を思い出して、顔を真っ赤にしてしまいます。そして、そんなこと知らない、私には関係ないと言って、必死に話を反らそうとします。しまいには、和也の足を踏みつけてしまう始末(178話)。まぁ、めちゃめちゃ可愛いっす(3回目)笑。
外から見たら可愛いシーンですが、千鶴としたらほとんどパニック状態です。
彼女の胸の中で動いているものを感じると、正直僕はめちゃめちゃ心配になりますね。
告白と恋人になることへの不安
好きだという気持ちが知られるのが恥ずかしくて、顔を真っ赤にしながら必死に否定しまう千鶴。さて、そんなこの子が、和也から告白されたとき、「私も好きです」なんて言えると思いますか?いやいや無理ですよ。さすがに、「嫌いだ」とか「付き合う気はない」とかは言えないとは思いますが、ちゃんと「はい」というのは難しいと思います。頭が真っ白になってまともに考えすら回りそうにありません。
◆告白から逃げてしまう千鶴(180)
レンタル彼女と客の関係だったら、特に問題にはならなかった。いくら私がそっけない態度をとってしまっても、和也はいつも傍にいてくれた。でも、今のままの自分じゃ、とてもじゃないけど「好き」と伝えることが出来そうにない。
もしうまく答えられなかったら…
そういうプレッシャーは相当のものだと思います。だから千鶴は、告白から逃げることしかでいないんですね。
もし和也の彼女になったら、私はどうなってしまうんだろう。これまでと同じように接することができるだろうか。落ち着いていられるだろうか。
私は和也が好きで 和也も私を好きでいてくれる
それに、和也との関係が彼氏と彼女になったら、それはすなわちお互い好き合ってることを証明する関係性なわけですから、和也と会うだけで「私の好きって気持ちが伝わってる」と感じてしまって、ものすごく戸惑ってしまうでしょうね。そんな想像も間違いなくするでしょう。だから、今の関係を変えることになかなか踏み出せない。
千鶴は和也と恋人になりたいと願っています。いや、もっと先のことまで望んでいます。心から、本当に。和也の前で悲しみを吐き出すことができたあの時から、(いいやもっと前から願っていたと思います)千鶴は和也にずっと傍にいて欲しいと願っています。「たぶん思う 好きになったら付き合いたいって… ずっと 傍にいたいって…」(179話)。パーティからの帰り道、千鶴が言った言葉は本心で間違いありません。自分の気持ちの整理も十分にできている。でも、本当に好きだから、千鶴はなかなか言葉にして伝えることができない。実際、僕らの知らないところで、「なんでこんなに素直になれないんだろう」って千鶴はめちゃめちゃ悩んでると思います。
千鶴の恥ずかしがり屋の性格からして、和也と恋人になるためには、すごく時間をかけて、和也との距離を少しずつ縮めていく必要があるんですね。恥ずかしさや戸惑いから逃げずに、好きという気持ちを素直に見せたり、2人の時間をつくろうとしたりきるように少しずつ変わって行かなければいけません。
変わり始めた千鶴
和也の告白を聞いた後、千鶴に見られた大きな変化が、以前より確実に和也への好意を見せられるようになったということです。海くんのパーティのとき、できるだけ二人でいようとしたり、サラダをシェアして一緒に食べようと言ったり、ふたりで帰ろうと和也を誘ったり、彼氏が欲しいと言ったり。
◆一人になんてしないって… (177)
◆食べよっ(177)
◆帰っちゃおっか そろそろ (179)
◆ずっと 傍にいたいって…(179)
これまでレンタル彼女と客という関係で、それが和也と一緒にいられない、好意を見せられない要因となってきました。でも、本物の恋人になれる未来を確信することができた。だから、自分の心にかけていたストッパーを少しだけ外して、一生懸命和也と仲良くしようとしたんでしょう(まぁ一言で言ってしまうと好きアピールですね笑)。
好きだと伝えたい気持ちも、好きになって欲しいという気持ちも、傍にいたいという気持ちも、もう隠す理由も必要も何一つありません。やっとレンタル彼女と客という関係から生まれていたすれ違いを乗り越えて、千鶴が普通の恋を始められるようになった。僕は、そんな千鶴を見て、心から嬉しかったです(涙)。それは、とても小さな一歩だけれど、千鶴にとっては大きな一歩でした。
そして、ふたりのピンチのとき、変わり始めた千鶴は最高の言葉を和也にかけます。
◆乗り切ろ ふたりで(189)
乗り切ろ ふたりで
レンタル彼女の仕事だからでもなく、あなたに頼まれたからからでもなく、私はあなたと乗り切りたい、あなただから力になってあげたい、そんな気持ちをちゃんと言葉で和也に届けます。
なんか最後は千鶴のかわいい好き避けコレクションみたいになってしまいましたね。1巻からずっと描かれてきた千鶴の性格からして、好き避けするのは当たり前。新たな障害が”生まれた”、もしくは”深刻化した”というより、隠れた障害が顕在化して実際に機能してしまっていると表現した方がいいでしょう。
確実に変わり始めた千鶴。どこかで、その恥ずかしさや戸惑いを乗り越えて、決断できるはずです。千鶴が少しずつ素直に好きという気持ちを見せることができるようになって、好きだと伝えようと決意した瞬間がふたりのゴールだと言えます。そのときまで、ゆっくり見守ることにしましょう。
分水嶺
この旅で危機に迫った千鶴が「和也に好きだと伝えなきゃ」と決意するシーンが描かれない限り、和也の告白が成功することありません。千鶴はただ逃げ続けてしまうだけです。
しかし、この旅が「分水嶺」になるのは間違いありません。一番考えられるのが、和也自身が千鶴との関係は嘘だとバラしてしまう、もしくは誰かにバラされてしまうと言うことです。182話で、木部から和さんの願いについて聞いて、嘘だと話してしまおうっていう気持ちはできてます。この回が和也をそういう気持ちにさせることを意図していたのなら、ここで示された伏線がこの旅で回収されても全くおかしくないですね。まぁ、和也なら誰かに嘘がバラされそうになった瞬間に、自分の手で真実を話しそうなもんです、千鶴は何にも悪くないと言って。
◆だから あの人には嘘つくな(182)
麻美
麻美ちゃんならきっと、自分の手は汚さずに瑠夏や木部、栗林をうまく操って、ふたりの嘘をバラしてしまいそうですね。その上、瑠夏が本物の彼女だということもバラしてしまいそう。その結果、「和くんは、レンタル彼女の千鶴を本物の彼女だと偽ったうえ、ストーカーのごとく千鶴さんを脅迫し、瑠夏と二股していた」なんて、ストーリーをでっちあげてしまうかもしれませんね。まぁ、どんなものが来るのか楽しみです。
瑠夏
瑠夏の恋はこの旅で終わってしまいそうな気がしています。ブラフが和也にバレてしまう可能性は高い。るかが和也にあんなに大胆に甘えられるのも(好きを押しつけたり、ほとんど脅しのようなことができるのも)、和也なら許してくれると思っているから。でも、もし本気で叱られたら、付き合いだしてから初めて、和也に嫌われたと感じてしまう。嫉妬しやすく、恋人関係に不安を感じやすいこの子は、ものすごく傷つくはずです。これまでやってきたことすべて和也は嫌だったんだって、本当は嫌われてたんだって、不安で不安で仕方がなくなっちゃいそう。
また、あのときは千鶴さんが和也に本気だなんて思ってなくて、ひどいことが言えてしまった。でももし、この旅で何かをきっかけに千鶴の本心を知ったら、罪悪感が半端ないはずです。
そして何より、千鶴がレンタル彼女だとバレた瞬間、和也とのお試しの関係は終わってしまいます。もう瑠夏の脅しは利かないんですから、和也に別れて欲しいと言われたら、唯一の希望であった「本物の彼女」という立場さえ失ってしまいます。
千鶴
2人の嘘がバレてしまったら、千鶴はものすごく落ち込むと思います。和也とは、恋人関係ではないということになってしまうのは、もちろん。千鶴にとって和也の家族は、本当に自分の家族のようなもの。和おばあさんを、自分自身のおばあさんのように見ていたはずです。千鶴にとって嘘がバレてしまうことは、ほとんど自分の家族全てを失うことに等しいはずです。
あんなに気に入ってくれていた、期待してくれていた和おばあさんを裏切ってしまった。きっと嫌われてしまった。もし、もっと素直になることができていたら、和也と恋人関係になることだってできていたはず。千鶴は、それができなかった自分を責めてしまうんじゃないでしょうか。もし、ちゃんと和也の恋人になれたとしても、和也の家族が前と同じように自分を受け入れてくれるのかどうか、不安で仕方がないんじゃないでしょうか。
二人の関係が嘘だったと知られてしまった以上、もう千鶴は和也にレンタルしてもらう理由が何一つありません。女優として応援してもらることを理由にレンタルしてもらうのも気が引けるでしょう。プロデューサーと女優という関係が今あるわけではありません。和也との繋がりをすべて失って、家族も失って、寂しくて寂しくて仕方がない日々がまた訪れそうですね。和也との間に残されたのは、ただのお隣さん、同じ大学の同級生という関係性です。
なら、千鶴はもう、残された関係性の中で、和也と恋人になるために具体的に行動をする以外選択肢はありません。与えられた危機感が千鶴を決意させてくれるんじゃないでしょうか。この辛い状況が追い風になってくれるハズ。そのスピードはとてもゆっくりで、初めは何か理由を付けてサイゼリアに行くとかかもしれません。その一歩を見守っていきたいと思いますね。
まぁ、妄想はこれくらいにしておきましょうか汗。
という感じで、190話を振り返ってみました。総合的に考えたら、いい方向に進んでると思います。追い風は決してやさしくも温かくもありませんが、きっと2人の背中を押してくれるはずです。
では、また次の記事で!