月清し | 徒然コオロギ庵~旅する似顔絵師~

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一年の半分を旅に過ごす似顔絵師コオロギの日々の雑記。趣味の古墳巡り&地質巡り&車中泊アレコレetc徒然とだらだらと書き尽くします

月清し 遊行のもてる 砂の上

芭蕉 敦賀気比神社



今日は敦賀をにてお仕事でして、

ついでに敦賀散策!


敦賀気比神社に芭蕉像があるとな。

密かに集めている奥の細道芭蕉像の写真コレクション!

かれこれ何枚になりましょうか。。


隅田川、山寺、鳴子、平泉、酒田、出雲崎、山中温泉、大垣、、などなど。


新たにコレクションが増える!

山中温泉で旅の相棒曽良さんと分かれ1人旅の芭蕉、

終点の大垣も近づきどんな表情をしてらっしゃるだろ??


仕事を終え、一目散に敦賀気比神社へ!


ドキドキのワックワク。

若かりし頃のデート前の心境再びです。


6時過ぎの薄暗がりの神社。


本殿を正面から眺められる位置におりました、

芭蕉翁。



おっ、意外にスマートね。

そして若い(笑)


場所によって作者がまちまちだから、表情や体つきもまちまち。

髪型も長かったり、剥げてたり(笑)





気比神社の芭蕉さんは颯爽と足を踏み出す若々しい芭蕉さんでした。

まあ、

暗いから表情がよく見えなかたのだけと。


中には、旅にやつれ、生気なく老いた芭蕉さんもあるからねー。


後ろ姿の芭蕉シルエット。(写真)


リアルな人間に見えるねー!


「私も旅のお供にっ!」

と、足にすがりつきそうになりました(笑)



芭蕉がここで詠んだ句。

「月清し 遊行のもてる 砂の上」


昔、遊行(僧が教化や修行のために各地を巡り歩くこと)の上人が、

気比神社参道を歩きやすくするために、自ら砂を運んだ、

という話を地元の人から聞いて詠んだ句だそうです。



芭蕉は敦賀で5つほど「月」の句を詠んでいるそうです。


日本三大松原のひとつ、敦賀の名所「気比の松原」。



ちょうど中秋の名月ころ敦賀を訪れた芭蕉。


「松」と「月」と「海」。


といえば??

そう!宮城の松島!


奥の細道の序に詠まれている「松島の月」。

芭蕉は松と月と海の組み合わせが好きだったのかねー。

もしくは、昔の旅の風情のひとつだったのかねー。


敦賀の町の何ヵ所かに月の5句の句碑があるそうなのですが、、


まぁ、暗い。

夜が早いのか、敦賀の町、。暗い。

ので、

また後日いつか必ず敦賀に来ることを芭蕉と気比神社の神様に約束して、


テントむしに乗り込んだものの、


やっぱ帰るのもたいないなー。

なんて、カーナビを切ってあてもなく敦賀の町をテントむしで、うろうろ。



国道から1本ずれた薄暗がりの道をあえて走る。

たいがいこういう道は「旧街道」なとこが多いのね。



街道独特の狭い道幅、

不規則に緩やかに曲がる道、

かすかに残るいにしえの遺物。


街道を挟む建物は地域によってまちまちだけど、



「きっとここは街道だったんだろうなー」

って、気配を感じます。



妙に居心地がいい。


それもそのはず。

保育園時代から、小、中学校までの13年間の通学路は、、

京都と大阪を結ぶ京街道だったのねー。



当時はほとんど気にしなかったけど、

一度上京してみて、ふと地元に帰ったとき、、


「めっちゃ街道やん!!」

と、鳥肌立ちました。


古い松の木や、石碑、倉がまだまだ残っていたのです。


3つ子の魂なんとやらで、

旅人の魂が知らぬ間に身体に刷り込まれ、宿ってるのかもねー。

なんてねーー。



この北陸の街道も、遊行の上人や、旅の俳人や、あれやこれや名もなき人々が往来してたんだねー。




「時」というのは過ぎ去ってしまうもののように思うけど、

川と同じで、

ただ流れ、過ぎ去っているだけのようで、

よく見たら、


小さな土砂や、草や、生き物を運んで、

そして堆積しているように、


人や者や心や、あれやこれや運んで、

静かに堆積しては、その土地に「歴史」という地層を作ってるんですよねー。



薄暗がりの街道を走りながらそんなことを考えてると、


幾重にも積み重なった歴史が、

見えそうでみ見えなさそうで、

気配を感じそうで感じなさそうで、


気持ちいいんだか、気持ち悪いんだか、


「このまま北へ奥の細道逆送してやろうか!!」

なんて、危ないテンションになりました(笑)



「月清し 遊行のもてる 砂の上」


月や松林。

遊行の上人。

参道を歩く人々。


芭蕉も、幾重にも積み重なった何かを感じていらっしゃったのかねー。



松林の端にテントむしを停めて、海岸へ出てみました。


海面すれすれの低い雲。

雨を運んできそうな生ぬるい風。


遠くには原発らしき建物の明かり。。



芭蕉ーーーっ!!

芭蕉さんならナント詠みますか。。



なんてね。



そうそう、

敦賀から北海道行きのフェリーが出ているのです。


勢い余って乗っちゃいました(笑)



、、、ってのはウソですが、


いつか、テントむしをフェリーに乗せて、北海道を走らせたいなー。


なんてねーー。