「うちの子、筆箱の中身がぐちゃぐちゃで…」
「鉛筆はあるのに芯が折れてる(そもそも1本しかない)。消しゴムもボロボロ。なのに本人は気にしていないんです」
こういう相談、かなり多いです。
そして多くの保護者の方が、
「だらしない性格なんです」
「そろそろ自分でちゃんとしてほしい」
とおっしゃいます。
でも、筆箱の中身が整理できないのは、単なる“性格の問題”だけではありません。
■ 筆箱がぐちゃぐちゃな子の「頭の中」
筆箱の中身って、その子の「頭の中の状態」がそのまま出やすいところです。
・プリントがぐちゃぐちゃ
・ノートと教科書をよく忘れる
・宿題の提出物がどこかに消える
こういう子は、ほぼ例外なく、筆箱もカオスです。
ここには、
・物を「出す → 使う → しまう」という一連の流れを組み立てるのが苦手
・今必要なものと、そうでないものを分けるのが難しい
・目の前のことに精一杯で、「あとで困る」が想像しにくい
といった、実行機能(段取りする力・整理する力)の弱さが関係していることが多いです。
■ 「片づけなさい」だけでは変わらない理由
つい、こう言いたくなります。
「ちゃんと片づけなさい」
「自分の物くらい、自分で管理しなさい」
でも、実行機能が弱い子にとっては、
「きれいに片づいた状態をイメージする」
「何から手をつければいいかを決める」
ここからもう、けっこう難しい作業です。
つまり、「片づけなさい」は
大人が思っているより、ずっと抽象度の高い指示になってしまっているんです。
■ 家でできる“筆箱サポート” 3つ
1 「入れていい物」を決めてしまう
まずは、大人側で「筆箱の定員」を決めてしまうのがおすすめです。
・えんぴつ3〜5本
・消しゴム1つ
・赤ペン1本
・定規
など、「これだけ入っていれば授業で困らないセット」を一緒に決めます。
それ以外は入れないルールにしてしまったほうが、子どもには分かりやすいです。
2 週1回、「一緒に」リセットタイム
子ども任せにせず、週に1回だけでいいので、
親子で筆箱をひっくり返す時間を作ってみてください。
「これは残す? 捨てる? 他の場所に移す?」と
声をかけながら、“仕分けの考え方”ごと一緒にやっていくイメージです。
ポイントは、「なんでこんなに散らかってるの!」と責めないこと。
淡々と「じゃあ今から直そうか」に切り替えていきます。
3 “できている部分”をちゃんと拾う
たとえ中身がぐちゃぐちゃでも、
・鉛筆だけはちゃんと入っている
・前より折れた芯が少ない
・前は毎日忘れていたのが、週に1回になった
など、「前よりマシ」になっている部分が必ずあります。
そこを大人が言葉にしてあげると、
子どもは「自分はダメだ」ではなく「ちょっとずつできてきてる」と感じやすくなります。
筆箱の中身は、「段取り」と「見通し」と「自己評価」のミニチュア版です。
ぐちゃぐちゃな筆箱を見たとき、
「だらしない」ではなく、
「この子の頭の中は今こんな感じなんだな」
「一緒に整理する練習をしてみよう」
と、見方を少し変えてもらえたらうれしいです。









