先日、札幌市内の先生方(小学校〜高校まで)に、発達障害に関する勉強会を開催しました。
内容をざっくり(ほとんど外に出せないお話をしたので)共有すると・・・
先日、現場の先生方に向けて「発達特性のある子をどう理解し、どう支援を組み立てるか」というテーマでお話をさせていただきました。
発達の話になると、どうしても「診断名」や「特性の一覧」に意識が向きやすいものです。
もちろん知識としては大切です。
ただ、現場で子どもと向き合う時に本当に効くのは、ラベルを貼ることではなく、“その子が今、何で困っていて、どこに負荷がかかっているか”を具体的に捉えることだと私は考えています。
今回の講演では、支援設計の入り口として、情報の通り道を大きく二つに分けて整理しました。
ひとつは耳から入る情報、もうひとつは目から入る情報です。
学校現場では「聞いて理解する」「見て理解する」が当たり前に混ざっていますが、実は子どもによって得意・不得意が大きく違います。
ここを押さえるだけで、「怠けているように見える行動」の多くが、別の見え方に変わります。
たとえば、口頭で「教科書開いて、ノート出して、問題の1番解いて」と3つ指示を出した時、途中から動けなくなる子がいます。先生としては「今言ったよね?」となりやすい場面ですが、ここで疑うべきは“意欲”ではなく、頭の中の作業スペース(ワーキングメモリ)の狭さかもしれません。
頭の机が狭いと、指示が重なって落ちます。多くの場合、最初と最後は残るのに、真ん中が抜ける。本人はサボっているつもりはなく、単純に保持できていないだけです。
こういう子には、指示を一つずつ区切る、紙に手順を書いて渡す、チェックを入れさせる。これだけで、びっくりするくらいスムーズになります。
逆の方向で困る子もいます。目からの情報が強すぎる子です。黒板は見えている。でも、後ろの席に座ると、前の生徒の動き、横の視界、廊下の気配まで全部入ってしまう。
授業が「うるさい」ではなく「多い」。
結果として、50分座っているだけで疲れてしまい、集中が切れたり、学校がしんどくなったりします。
こういうケースに気合いや根性論をぶつけても、改善は起きにくい。必要なのは、席を前にする、視界の情報量を減らす、提示物を整理するなどの環境調整です。
本人の努力を要求する前に、負荷がかかっている環境を見直す。支援の優先順位はここにあります。
さらに、講演では処理速度の話もしました。処理速度がゆっくりな子は、頭の中には考えがあるのに、言葉や作業として“出す”のに時間がかかります。
先生が質問した時、すぐに答えられず固まってしまう子がいます。
これを「やる気がない」「反抗的」と誤解されると、関係性が一気に悪くなります。
でも実際は、脳内の出口が渋滞しているだけ、ということがある。
こういう子には、待つ時間を用意する、質問を細かく分ける、選択肢を提示する、書きながら整理するなど、“出力を助ける関わり”が必要です。
ここまで聞くと、「じゃあ結局、何を一番伝えたいの?」と思うかもしれません。
私が一番伝えたかったのは、叱り方や声かけ以前に、情報の入れ方と環境を整えるだけで変わる子がいるという事実です。
説教が必要な場面はもちろんあります。ただ、説教をするにしても、面と向かって言葉を浴びせると容量がいっぱいになってしまう子もいます。そういう時は、場所を変える、整理しながら話す、要点だけに絞る。内容以前に“負荷を下げる”が先です。
発達特性がある子を支えるというのは、特別なテクニックを増やすことではありません。見る視点を増やし、環境を少し変えることです。
「この子は今、耳が苦しいのか、目が苦しいのか」「入力の問題なのか、出力の問題なのか」。この問いを一つ持つだけで、支援の精度は確実に上がります。
現場の先生方が日々向き合っているのは、マニュアル通りにいかない子どもたちです。
だからこそ、ラベルではなく“どこが苦しいのかの見立て”から支援を組み立てる。
こんなお話をしてきました。
今回の勉強会は、狭い範囲で行っているので参加申し込み等は行っていませんが、このように発信&共有してくつもりです。
また、次回をお楽しみにm(_ _)m