「十字軍物語」と「キングダム オブ ヘブン」 | 細川竜太郎(旧くろかん)のブログ

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久しぶりのブログになります。

今回は初めてですが、西洋の歴史に目を向けてみました。塩野七生さんの作品です。

 

この本を読み進めるうちに、同時代を再現した映画として「キングダム オブ ヘブン」という作品があることも知ったので観るみました。

 

昔、高校の世界史で十字軍を習ったことがあるのですが、キリストにまつわる聖地のエルサレムをイスラム側から取り戻すためにヨーロッパ側が送った軍隊という大まかなことしか覚えていませんでした。

 

現在でもイスラエルはユダヤ人とアラブ人の争いが絶えません。なぜこの地を巡ってこう何百年も争っているかというと、エルサレムにはキリスト教側の聖地であるキリストが磔にされたとされる場所に立つ聖墳墓教会とイスラム教側の聖地岩のドーム、アルアクサ神殿があるからです。

 

この争いの発端となった十字軍について知りたいと思いました。

 

西暦1095年時のローマ法皇ウルバン2世はフランスのクレルモン公会議で、ヨーロッパ各地で起きている戦いを休戦し、イスラム側から攻められている東欧のビザンチン帝国救援と聖地エルサレム解放を訴え、多くの賛同を得、十字軍派遣が決定した。

 

最初は隠者ピエールという人物に率いられた全くの戦士でない老若男女の貧民十字軍だったが、当然イスラム側に蹴散らされて霧散した。次いでヨーロッパ各地の諸侯による第1次十字軍は、ゴドフロア、ボエモンド、サンジル、ボードワン、タンクレディらの活躍で破竹の快進撃を続け、イスラム側の諸都市を落とし、1099年についにエルサレムを陥落させた。そして周辺のアンティオキア、エデッサ、トリポリを含む十字軍国家が形成された。

 

しかし、本当に大変なのはここからでした。第1次十字軍発足当時に比べて各地での戦闘により兵力は激減しており、常にこの寡兵に悩まされます。ならば、ヨーロッパから増兵のために補充すればいいと思いますが、当時はまだどの国も封建時代で各国の思惑もあり思うように行きませんでした。最初はエルサレム解放という大きな目標に向かって各国各諸侯が一致団結していましたが、一旦落ち着くと今度は領地や覇権の争いといったことが起きてきます。

 

イスラム側からの反撃が激しさをます中、エルサレム王国の最初の王であり、十字軍国家のリーダーであったゴドフロア、2代目の王、ボードワンは奮戦します。しかし、1187年テンプル騎士団、聖ヨハネ騎士団からなる宗教騎士団やイタリア海洋都市による海軍の活躍も虚しく、若き癩王(癩病に罹っていた)ボードワン4世が25歳の若さで死去すると、次のルジニャンの時、イスラムの英雄サラディンによりエルサレムは奪還されてしまいます。キリスト教側がエルサレムを手中にできたのは88年間でした。

 

この十字軍国家のエルサレム陥落あたりを題材として描いたのが映画キングダム オブ ヘブンでした。主人公はボードワン4世を支え、その死後もサラディンとのエルサレム防衛戦を見事に戦い抜いた宰相バリアーノ イベリンを人気俳優のオーランドブルームが演じています。当時の生活とか時代背景が分かって面白かったです。特に攻城戦に関しては中国の戦い方に似てるなと思いました。イベリンがボードワン4世の姉であり、ルジニャンの妻であるシビラと恋仲になるのですが、この辺は盛り上げるためのフィクションかなと思います。

 

その後の十字軍はエルサレムを再び奪うために何度か結成されますが、結局うまくいきませんでした。

 

現在、塩野さんの十字軍物語は2巻まで読み終わりましたが、4巻まであるようです。女性の歴史小説は初めて読みましたが、当時の挿絵や攻城戦の軍の配置図もあり、とても読みやすかったです。