Lost in translation
スプリングボクスのHO、ボンギ・ンボナンビがイングランドとの試合中、人種的中傷発言をしたのかどうかを巡って大激論が展開されている模様です。ことの発端は前半28分にイングランドのフランカー、トム・カリーがレフリーのベン・オキーフにあるクレームをつけます。こちらFans claim Mbonambi was speaking in Afrikaans after alleged slurEngland flanker Curry complained to refereeBen O'Keeffe following the alleged incident at the Stade de France, before World Rugby later launched an investigation.mol.imカリー「すんまへん、すんまへん、あのー、あちらさんのフッカーがワイのこと『white c**t』言ってきたら、ワイはどないすればええんかのぉ」これに対してオキーフさんはこう言いました。「いやいや、そら何もしたらアカンでー、おーん。そら、こっちでアレすることやんか」このwhite c**tを日本語のサイトは「白人野郎」と訳していましたが、このCで始まってTで終わる言葉は、何というかもっと酷い言葉です。女性の陰部を指す言葉だそうです。で、これによって南アフリカ協会は調査を開始したそうです。何せ品位と言うのはラグビーにとって大事な価値です。ウェブエリスカップより大事、と言うわけです。しかし、ンボナンビを欠くとスプリングボクスは大変なことになります。そもそも、ボクスにはマルコム・マークスとンボナンビという世界最高のHOを2枚擁していました。準々決勝、準決勝と見て分かるようにスクラムがボクスの生命線です。ところがマークスは怪我でスコッドから外れてしまいました。そこで、代わりのHOを呼ぶのかと思いきや、何とスタンドオフのハンドレ・ポラードを召集します。リボックのキックの調子が今ひとつと言うこともあるんでしょうが、これは驚きでした。だって、ボクスにはもうHOはフーリーという37歳の選手しか残っていないのですから。ルール上、HOは2人登録しなければなりません。フーリーはHOも出来るフランカーという位置付けで、ボクスはここ2試合、フーリーをシヤ・コリシに代わってフランカーで出場させていました。ンボナンビは2試合フル出場でした。スクラムの強さが生命線のボクスにとって、ンボナンビを代える訳にはいかなかったのでしょう。イングランド戦のトライは、スクラムでペナルティを得て、ポラードが敵陣深くにタッチキックを蹴り、そこからのラインアウトモールからフーリーが持ち出してチャンスを作るという、ボクスの交代戦略がピタリとハマったプレーでした。そのンボナンビが居なくなるとなっては一大事。そもそもルール上HOを2人登録しなくちゃいけないので、ボクスは誰か追加召集しなくちゃいけません。これはお国の一大事ということで、ファンもンボナンビの無実を証明する事に躍起となっているようで、新しいニュースによると、white c**tはアフリカーンス語で「wit kant」と言っていたはずだ!聞き間違いだ!と南アフリカのファンは主張しているそうです。もう、私もGoogle翻訳頼りなんですが、ラグビーの記事を翻訳すると「hooker」がそのまんま「売春婦」とか「娼婦ンボナンビ」とかって訳されるので、ますます話がややこしくなりかけるのですが。つまり、ボクスは敵に知られないようにアフリカーンス語でしばしば会話するそうです。アフリカーンス語とはオランダ語から派生した言語で、南アフリカの主に白人が話す公用語です。国歌では3番目に出てくる言語です。白人、それも支配者が使っていた言葉で、黒人はあまり使わないそうですが、ただ、最近は黒人も話すそうですし、ンボナンビ自身、話者の多いケープタウンのチームに長く在籍していたし、アフリカーンス語で話していても不思議ではありません。こういうのはウェールズがかつて他のチームと対戦する時ウェールズ語だったみたいな話です。で、そのwit kantを訳すと「white side」…つまり「白側」、イングランドは白いからねぇ、ジャージが。その南アファンの議論によると「南アフリカではc**tはあまり使わないスラングですなぁ」というわけ。ンボナンビは南アフリカのクラブでしかプレーしていないから、そんなにイングランド人のドツボにハマるスラングを知っているだろうか!?ってな事らしいです。ただ、NZではしばしば使う言葉のようで、もしかしたらキウイが使ってる風にンボナンビが言ったのかもしれない。これしかし、このままンボナンビが決勝に出られないとなると、試合の根底から崩れてしまいますからね。最終的に誰が判断するのか分かりませんが、とにかく真実はどこにあるのかわからないです。黒人のンボナンビがねぇ、そんなこと言うかねえ。ましてや、南アフリカの選手がねぇ、という気がしますけど。ベン・オキーフのリアクションも実際は「Nothing,please」のあと、しばし沈黙があって「I‘ll be on in」だったんで、そのニュアンスとしては「いちいち取り合うな。ワイが聞いたらちゃんと対処するけどなぁ、おん」くらいな感じに聞こえたんですけど。あ、ただベン・オキーフ自身、キウイだから、その発言自体をあまり大事と捉えてなかったのかもしれないですな。