6月23日にエディ・ジョーンズ体制のジャパンの初戦を迎えます。12年前にジャパンで指揮を執ったエディさんが、今年のイングランド戦の光景を見たら感動するだろう。12年前はサモアやトンガ相手に苦戦して、秩父宮が満員になる事もなく、チケット代もタダ同然の価格だった。現にジャパンのファンクラブに入っていれば5枚タダ券が貰えて、それを使ってよく試合を見に行っていた。


それと比べると舞台は新国立だし、チケット代は1万円以上の席が売れていて、相手はイングランド。日本ラグビーはもう12年前の姿じゃないということを一番実感するのはエディさん自身だろう。


相手のイングランドはエディさんがヘッドコーチを務めていたところというのがまた興味深い。ワールドカップでも当たり、ボーズウィック氏がコーチになって、手堅くフィジカルな原点回帰のラグビーを展開している。今回も経験豊富なメンバーを中心に若手も取り入れて来ている。強敵であることは間違いない。


対するエディ・ジャパンはスタメンに初キャップが4人。フルバックに大学2年生の矢崎をスタメンに起用するなど、これまでのジャパンとはガラッと変わるメンバーを並べた。84キャップのリーチ以外は50キャップの選手も居ない。フロントロー3人でキャップホルダーは3番竹内の3キャップだけだ。


日本ラグビーを飛躍に導いたのはスーパーラグビーへの挑戦だっただろう。2012年から田中、堀江が単身で挑んで、2015年ワールドカップを経て、サンウルブズを結成して、日本としてスーパーラグビーに挑戦した。個々の試合は苦戦したけども、2019年ワールドカップの成功を考えると、サンウルブズの挑戦は成功だったと言えるだろう。2023年大会はベスト8には届かなかったが、経験あるメンバーが並んで、そこそこ戦えた。まだ遺産があったとも言えるだろう、


そこに行くと、今回のジャパンはもうサンウルブズ世代ではない。奇しくも堀江、田中が現役を退くタイミングで、こんなチームが組めるようになったというのが感慨深い。矢崎なんか第一次エディ体制の時はまだ小学生だ。リーグワンになって、外国籍選手の出場が増えて、オールブラックスやスプリングボクスの選手がゴロゴロ出てくるリーグになって、日本ラグビーがサンウルブズに代わる強化のプロセスが形になっているかを測る初戦になるだろう。


「国内リーグのレベルアップ」と言うのは言うのは簡単だが、そう簡単には行かないだろうとも感じていた。しかし、リーグワンの今年の戦いぶりを見ると、これはスーパーラグビーや欧州と比べても遜色ないレベルになれるかもしれないと感じています。強度というより、観客動員とかクラブの収入面では決して劣っていないし、高いレベルのリーグとして認知されると、それは必ずジャパンのレベルアップにもつながると考えます。


もっともこの試合だけで全てを測ることはできません。イングランドは北半球では一番相性悪いし、新チームの立ち上がりの代表戦は結構大差が付くものです。基礎的な強さが足りないのを時間をかけてワールドカップまでに仕上げていくのが、ジャパンのパターンでした。地力がどこまでついているのか、このテストマッチシリーズで見極めていきたいところです。


後半20分まで食らいついていければ上出来かなぁ。いずれにしてもこれだけ若返ったチームでイングランド相手にどこまで戦えるか、楽しみであります。