ワールドカップは準々決勝。事実上の決勝戦とも言えるアイルランド対ニュージーランドは28対24でオールブラックスが勝ちました。
やっぱり負けたか、アイルランド…
もう本当に悲しい。とにかくすごい試合でした。両チームともミスが少なくて、互いの強みを出し合う攻防。後でスタッツ見てぶったまげたのですが、アイルランドはマイボールスクラムがゼロ。そんな試合、見たことありません。
アイルランドは強豪チームでは珍しく、キックに頼らないチーム。自陣からでもパスを通して、相手のディフェンスラインを攻略していく。全員が連動する複雑なムーブを組み合わせていきます。オールブラックスはそのムーブに惑わされず、ラインを無理に押し上げずに待ち構えるディフェンスで対抗。結局、アイルランドはすれ違えずに、フィジカルで当たっていくしかない展開になってしまいました。あと、前半でいきなり13点リードを奪われ、追いかける展開なったのも苦しくなった。手数をかけずに一気にトライまでいくオールブラックスと、フェーズを重ねてゴールラインに迫るアイルランド。それでもアイルランドは前半追い上げて、1点ビハインドで折り返しました。
後半はオールブラックスがイエロー2枚出る展開でしたが、最後まで崩されなかった。崩れなかった。最後まで崩れない姿はまさに王国の誇り。最後、アイルランドが実に37フェーズを重ねて攻めるのに対して、反則せずに守り抜いた姿は圧巻でした。ラグビー史上に残る攻防でした。この攻防を見ていて、なんか悲しかった。
あぁ、アイルランド、やっぱり負けるかぁ。
と。
アイルランドがベスト８の壁を破れないのは周知の話。今回、ハカを迎えるに当たって、アイルランドは∞のような陣形で迎え撃った。しかし、アイルランド紙「アイリッシュ・ミラー」によると、「アイルランドは準々決勝でニュージーランドのハカに対抗し、アンソニー・フォーリーを偲ぶ8の字フォーメーションを組んだ」と伝えた。実は「∞」は数字の「8」の意味があったという。
ただ、これが何か「ベスト8止まり」「8回目の挑戦も実らず」みたいな意味に見えてしまった。どうも、やっぱり、アイルランドは何かもの悲しい歴史が良く似合うのです。今回はアイルランドは最高だった。おそらく、どのチームに当たってもベスト４に進出できただろう。ただ、相手がオールブラックスで、それは紛れもなく世界最強のラグビー王国の代表たるオールブラックスだった。
後半、インゴールになだれ込んだアイルランドに対して、オールブラックスの12番ジョーディ・バレットがトライセーブした。あれがトライだったら。
紙一重の勝負に敗れたアイルランドの落胆ぶりは相当なものでした。
私も大変がっかりしました。あまりの落胆ぶりに、オールブラックスも喜び爆発というより、「すまんな。オレたちはオールブラックスなんだよ」と慰めているようでした。
実は4時キックオフで眠くなるかと思いましたが、全く心配無用。その後、録画したウェールズ・アルゼンチンを見ようとした瞬間、ものすごい眠気に襲われて、しばらく仮眠しました。固唾を呑んで観た、最後の5分くらいは呼吸するのも忘れた、そんな試合でした。
いつか、アイルランドがワールドカップで勝って、世界ラグビーの中心に立つ姿を見たい。ただ、セクストンなきアイルランドにとって、それはやっぱり遠い道のりでしょうな。セクストンはそのくらいの選手でした。ほかの選手も経験豊富で、まさに今年のチームこそが、壁を破るのにふさわしいチームだった。アイルランドはこの試合でもいつものやり方を変えませんでした。それだけ、自分たちの戦術・戦略に自信を持っていたのでしょう。最後まで、FWがパスを受けて、そこからセクストンに渡して、といういつもの攻めを変えずに王国に挑み続けた姿にアイルランドのプライドを見ました。何か、秘策や奇策があればと今になっては考えますが。うーん。
オールブラックスは素晴らしいの一言。フランスに勝つまで、このワールドカップは終わらないのでしょう。歴史的低迷期を乗り越えて、このワールドカップを取れば、まぁ、凄いですね。まさに巨人です。
もう一試合もいい試合でした。ウェールズとアルゼンチン。最後はアルゼンチンが突き放しましたが、途中まではどっちに転んでも分からない試合でした。ただ、どっちもそれなりにミスもあって、という試合でした。ウェールズも良く戦ったと思うし、アルゼンチンはだんだん調子が上がってきて、後半の勝負所でベテランを投入できる選手層はうらやましいと思いました。ジャパンとの差は大きくは開いていないんですが、この差を埋めるのはなかなか大変です。ただ、もうちょっとの「何か」があれば、この舞台に立っていたかもしれない。今日のウェールズだったら、勝てたかもと思えば、逃したものは大きかったと思います。前回はベスト8の相手がボクスでほぼほぼ諦めてましたからねぇ。
あと2試合、フランス対南アフリカも好勝負を期待します。ただ、今大会はアイルランド・オールブラックスを超える試合には出会えないかもしれない。そのくらいの試合でした。