土壁塗り第二弾~裏返し1日目・・・左官屋さん奮戦記 | 伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

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五十代も後半、自宅を新築…新建材は怖い!
行き着いたのは地元の工務店。
で、棟梁がつぶやいた。
「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」
「石場建てってなんですのん?!」・・・

緊急事態宣言が全国各地で解除され始め、

大阪モデルも達成された今、アベノマスクが届きました。

別にマスクに困っていたわけでもなし、

使い捨てマスクの価格も暴落し始めているのに、無駄ですねぇ。
 

とはいえ、まだまだ新型コロナウィルス禍のなか、

外国産材や工業製品に頼らない伝統構法の新築は、

特に影響を受けずに順調に進んでいま・・・・・
 

す! と言いたいところですが、影響は確かに受けていないんですが、

4/21「​荒壁付け始まる…土壁づくり:表面下地塗り​」から1か月!

養生期間で工事は止まっていました。

で、ようやく今日5/18から、待ちに待った裏返し塗りが始まりました。
 

天気予報では下り坂。

好天に恵まれてきたこの一連の工事では、初めてのこと。

朝8時前、薄日が射すなか、交野が原のミカン畑にある熟成場から、

発酵荒壁土の第1便が搬入されてきました。


土壁を施工するような家は、今では一般的に郊外の広い敷地の家でしょう。

けれどウチは大都市近郊の住宅地なので、敷地内で壁土を熟成するどころか、

1日分の壁土を下すプールも置くところはないし、

運んできたダンプに積んだまま前の道に留め置くことすらできません。

そんなわけで、道にはみ出しての壁土捏ねです。



さあ、2階にウインチで壁土が運び上げられ、道具一式も準備できました。


右側の袋詰めは、壁土に混ぜ込まれる細かい藁。

で、右側のバケツの中のは?
 

少し長めの藁の束。何に使うかというと・・・。


貫のところは木の表面なんで、壁土が食いつきません。

そこで、貫の幅より長い藁をスサとして塗り付け、

貫の上と下の壁土を連結して一枚の土壁として一体化させる

「貫伏せ」という作業をするんだそうです。
 

最初に一気に裏側から貫も含めて壁土を塗っていきます。



そうしてから貫伏せ用の藁を丁寧に広げながら塗り込んでいきます。


そうすると、こんな感じになります。



こんな藁でツナギになるの?・・・何か頼りなく思えますが、

築百年かというような土壁の上塗りが剥がれたあとを見ても、

藁そのものは全く腐ったり劣化したりの様子はありません。

解体するときには、その土をまた新しい壁に再生して使えるそうです。
 

昼食をはさんで午後2時過ぎ、小雨が降り出しました。

幸い屋外での土捏ね作業に支障の出るほどではありません。

塗り付け作業は裏返しなので屋内だから大丈夫。

とはいえ、さすがに電気を点けないと真っ暗で作業ができません。



ところで、昨日5/17の投稿

「​土壁の魅力、土壁の技…いよいよ週明けから荒壁づけ裏返し塗り​」でも触れましたが、

土壁づくりには、地域によって、左官屋さんによって、

様々なやり方があるようです。

ここの場合は、どうも上方流(?)の系譜のようです。
 

貫の外側を表として縦の割り竹、貫のある面を裏として横の割り竹。

縦の竹の表側から最初に塗って、十分乾かしたのちに、

貫のある側から裏返し塗りをして貫伏せしていきます。
 

表が乾く前に同時に裏も塗った方が表裏が一体化して良いという派と、

表を十分乾かしてからの方が水分を大量に含んで重い壁土がずり下がらず、

裏に食い込んでしっかり固まった壁土の出っぱりに

裏返し塗りがガッチリ食いついていいという派と、

片面半乾きで裏返し塗りした方が表裏がよく馴染むという派と。

それぞれに一長一短があるんでしょうけど、

ここの場合は完全に乾ききった裏から塗ることで、

午前中に塗った裏返し塗りの壁土の水分がグングン表の土に浸透していって、

午後には表面まで染み出していました。



荒壁土は糊も何も入っていないので、濡らすとまたすぐ元の泥に戻ります。

なので、表と裏の接合面は溶け合っているんじゃないかなと、

素人ながら想像しました。
 

そんなこんなをアーでもないコーでもないと考えながら

作業を見ているのも、家づくりの楽しみ、醍醐味と言えるでしょう。
 

夜半、かなり雨脚が強まってきましたが、

天気予報によると大阪は朝には止むとのこと。

明日は裏返し塗り2日目。順調に明日で裏返し塗りは終わりそうです。

そのあとしばらく好天が続くようなので、またよく乾きそう!

つくづくお天気には恵まれています。