裏町人生 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

前回 、我が街・神戸の繁華街・三宮における應援團員の生態について少々、書かせて頂きました。しかしながらかつて三宮は高級感漂う夜の都でありまして、お店のお勘定の相場もお高めでございました。

スナックですと大体セット5千円が相場の時代に5~8千円しておりました。これがラウンジになりますとセット1万5千円は下らず、團員達にとっては厳しい現実が立ち塞がっていたのであります。

 

とは言え、大学での用事を終え懐具合は寂しいが、体がアルコールとネオンを欲しますと、つい条件反射で太田裕美とは反対の西へと向かう列車に乗ってしまうのであります。三宮が近づくにつれ、まだ酔っていない頭で計算しますと、三宮だと幾許も飲めそうにない予算である事が瞬時に分かります。そんな團員に希望を与えてくれるのが新開地 という街なのであります。

【桜筋】

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新開地と言えば柳筋、桜筋の福原 が有名でございますが、もちろん入浴できる余裕などありません。目指すは柳筋と桜筋の間、つまり南北に平行に走るそれぞれの筋にお風呂屋さんが背中合わせに林立しているその狭間に突入するのであります。

そこには焼き鳥屋、スナック、居酒屋などが結構、ありまして、三宮に比べればぐんとリーズナブルであります。桜筋のはずれには老舗の焼き鳥屋さんがありまして、美味な上に安いので、新開地で飲む時は大体お世話になります。ただ煙がすごく学ランに匂いがしみつきますので、1回生は交代で先輩の上着を持って店外でビールを飲む羽目になります。

ここで可哀想、と思うのは早計でありまして、全員がその役を志願する程の人気な役処であります。何故なら店外にいれば先輩へのお酌や煙草の火付け等、気を遣う事無く、加えてソープランドへ出勤すると思しきお姉様方を眺めながら、のんびり一人でビールが飲めるからであります。

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福原は三宮とはまた違う文化がありまして、例えばスナックでも深夜0~1時にオープンする店も数多くあります。また夜も更けて参りますと、ビール瓶なんぞを振り回しながら、はしゃいでらっしゃる方もよくお見かけします。

團員は当然の事ながら学ラン姿でありますので、否応なく目立ってしまい、狭い路地ですれ違うだけで「このダボ!」と見知らぬ方にご挨拶を頂戴したりします。大阪でも通じない神戸特有の方言でありますが、標準語訳すれば「バカヤロー!」といったニュアンスでしょうか。こういう場合は約2倍程度の声量と勢いで「このダボ!」と山びこの如く答えるのがこの街での正しいマナーとされておりまして、日頃から発声練習で鍛錬せし声が実生活の場で生かされる訳であります。

 

深夜になりますと勤務を終えたソープランド嬢が来店される事もございまして、更に運良く酩酊されておられますと「今日は私のオゴリ!」と宣言される事もございます。そういう時は慎ましく「押忍、では自分はヘネシーを」と遠慮がちにボトルを入れるのが礼儀とされておりました。

 

正直なところ、1回生の折に初めて先輩に連れて行って頂いた時は、驚嘆の連続でありまして、明らかに年金受給者と思しきママがやっておられるスナックに入った時は、先輩の感性を疑ったりしたものでありますが、徐々にこの街の文化に馴染み、4回生になる頃には一人福原で見知らぬ人が歌う「裏町人生」を聴きながら水割りを飲んだりしているものなのであります。

八代目甲南大學應援團OB会

広報委員会