【映画】『ソローキンの見た桜』 | ヅカんげき★Life

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宝塚を中心にした趣味のことをつらつらと書いていく予定です。

実際の観劇から、テレビで見た作品まで幅広く、自由気ままに…。

2019年公開   日本・ロシア合作
【原案】青山淳平

【原作】田中和彦(ラジオドラマ「松山捕虜収容所外伝~ソローキンの見た桜」より)

【監督・脚本・編集】井上雅貴  【脚本】香取俊介

【プロデューサー】益田祐美子 井上イリーナ 清水啓介 遠藤日登思

【制作プロダクション】INOUE VISUAL DESIGN

【製作】「ソローキンの見た桜」製作委員会 サナス 1 Первый Канал

【出演】阿部純子 ロデオン・ガリュチェンコ アレクサンドル・ドモガロフ 海老瀬はな 斎藤 工 

    イッセー尾形 山本陽子(特別出演)

 

戦争がなければ、一緒に眺められた桜

戦争がなければ、出逢えなかった二人の物語

 

公開当時から何となく興味がありましたが、見る機会がなかった『ソローキンの見た桜』、WOWOWで録画して、やっと見ました。

 

 

日露戦争時。実際にあった愛媛県松山市にあったロシア人捕虜収容所でのお話です。
 
ハーグ陸戦条約により、捕虜に対して人道的扱いを行うことが決められていたそうで、世界に大国として認められたい大日本帝国はこれを守っていたとか。
 
捕虜として連れて来られたロシア人とそこで看護師として働く日本人女性の恋愛を描いていきながら、その彼女の血を引く現代の女性がロシアで自分のルーツを見つけていく話でした。
 
時代と環境、お互いの立場が2人の愛を阻むのですが、お互いが惹かれていく過程が2人のちょっとしたやり取りと美しい映像で紡がれていって、良かったです。
 
 
主演のゆい役・現代の桜子役、阿部純子さん。
初めて見る女優さんだったのですが、現代よりも明治時代のゆいの方が似合ってて素敵でした。目力が強くて、印象に残ります。
この目力の強さが、ゆいの意思の強さを表しているようで、ソローキンのために頭を下げ、ソローキンのために彼の前から消えるのが分かる感じでした。
 
ソローキン役のロデオン・ガリュチェンコさん。
最初、捕虜として現れた時、失礼ながらおっさんじゃん!と思ったのですが(ごめんなさい)、見ていく内にどんどん格好良く見えてくるんです。
ゆいに対して、本当に紳士だし、想いがすごく伝わるというか…。
収容所の中庭で、仲間のギターが流れてきて、そっとゆいを踊りに誘うとき、そんなに綺麗な場所ではなかったのに、私には美しい絵画のように見えたのです。何て言うか、品があるというか…。
 
作品的に惹かれるものがすごくあったのですが、納得出来ないところもちょこちょこ有り、ちょっとモヤッとした想い。
 
現代の桜子の同僚というか先輩役に斎藤工さんが出ておられます。斎藤工さんに罪はないのですが、私的には謎でして。
斎藤さん演じる先輩がちょっと強引に仕事の手伝いとして、桜子をロシアに一緒に連れていくんですけども。
ソローキンが桜子の先祖って知ってたの?
その情報は桜子のおばあちゃんよね? 2人は裏で繋がってるの?
 
 
実は、ソローキンはロシア革命を成功させるために、収容所にわざと入ってきた工作員でした。  ただ、予想外にゆいを愛してしまったため、ゆいを連れて、ロシアに戻れないかと思うのですが。
ゆいは、ソローキンを無事にロシアに戻すために、色々な人に頭を下げ、親の決めた相手と結婚すること交換条件を飲むことを決めます。
 
ソローキンを騙すような形で、ゆいは姿を消し、数年後、ソローキンは革命で命を落とし、ゆいは親の決めた相手と結婚するけども、ソローキンの子を産み、夫と穏やかに暮らしながらも、ソローキンを忘れたことはないという日記の回想で終わるのですが。
 
ソローキンは生涯誰とも結婚せず、自分の日記にゆいから教わった日本語で「ニホンノサクラハウツクシカッタ」と書いてるんですよ。
 
無事に帰す交換条件だったとしても、ゆいがソローキンじゃない人と穏やかに暮らしてるというのが、何かちょっとイラッとしてしまって…。
どういう終わり方なら、自分がスッキリ出来たのか分かりませんが、モヤッとした気分でした。