2019バレエ鑑賞回顧録Kバレエ・カルミナ・ブラーナ | Adagio Days

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カオスなブログ

 

 

 

 

 

 

 

 

クラッシック通な方とか、

 

羽生君のファンの方ならご存知であろう

 

カール・オルフ作曲『カルミナ・ブラーナ』

 

いずれも該当しない私は、

 

『???』なまま当日を迎え。。

 

 

 

 

 

 Kバレエ×東京フィルコラボの

 

 

 

 

 

※以下画像はオーチャードホール特設コーナーと

Kバレエ・カルミナ・プラーナパンフレットから引用させていただきました。

 

 

 

 

カルミナ・ブラーナ

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チョ~薄っぺらに解説すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

今から200年ほど前の1803年

 

ドイツの修道院で大量の詩集 『カルミナ・ブラーナ』が発見され、

 

その内容は、今から1000年ほど前に書かれたもので、

 

当時の人々の赤裸々な心情が綴られていて、

 

音楽家の カール・オルフ(1895-1982)は

 

その詩集の中から24編を選びカンタータ(声楽付きの曲)で作曲。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


内容は下記にあるように、

 

 

1.1 全世界の支配者なる運命の女神

1.2 第1部「初春に」

1.3 芝生の上で

1.4 第2部「酒場で」

1.5 第3部「愛の誘い」

1.6 白い花とヘレナ

1.7 全世界の支配者なる運命の女神

 

 

 

 

春とか花とか、酒とか愛とか、

 

自然崇拝だったり、世俗的な内容も含まれているのだけど、

 

特筆すべき冒頭は、

 

運命の女神”フォルトゥーナ”に語りかけるかたちで、

 

 

 ”正義は衰え、徳は葬られ、嘘が真実に勝ち、真実が欺かれる”

 

 

等、痛烈に世の中を批判していること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまりは1000年前のドイツを生きていた人々が

 

 『こんな理不尽な世の中やってらんねーよ!!』

 

と運命の女神に嘆いているわけです。

 

 

 

 

 

 

 

ということで、

 

カルミナ・ブラーナの全体像は

 

これといったストーリーがあるようなないような。

 

まるでカール・オルフ自身が

 

”受け(聴き)手の解釈に委ねた”

 

ようでもあり。。

 

芸術監督である熊川さんなりの解釈でバレエ作品に仕上げた。

 

そこには、

 

自然破壊だったり殺人だったり、

 

人間の弱さや醜さ、社会の闇だったり、排他的な世界感など、

 

現代にも通じる問題意識が織り込まれているかのような演出で、

 

観客としているのではなく、

 

自分もその一部に入っているような、

 

自分の中に秘めた闇とか悪とか、

 

そういうぐちゃぐちゃしたものもごちゃ混ぜになりながら

 

展開していくような感じでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巻いて~
巻いて~

 

 

 

 

 

 

 

 

という具合で、

 

作品共々、

 

どうしようもない闇に包まれ絶望の淵に落とされるのだけど、

 

最後の最後で、

 

運命の女神であるフォルトゥーナが再び登場し、

 

 

 

 

 

 

 

 

女神フォルトゥーナ役は中村祥子さん、アドルフ役は海外から移籍してきたばかりの関野海斗さん

 

 

 

 

 

 

断腸の思いで、

 

作品中”悪”として存在する、

 

自分の息子・アドルフを自らの手で殺めることで

 

世界は平和を取り戻す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壮大なスケールのカンタータ(歌と音楽)とともに繰り広げられる

 

まさに迫真のシーン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アドルフが殺され、悪が滅びることで、

 

上演中ついてまわった

 

今私たちが生きる現代の問題とか、自分自身の闇とか、

 

そういう鬱積も解き放たれ、

 

一瞬安堵に包まれるのだけど。。

 

 

 

その安堵に浸る間もなく、

 

人々の嘆き、

 

”冒頭の怪奇な旋律”が再び繰り返され幕が下りる。

 

 

 

 

 

 

 

カルミナ・ブラーナ、

 

作曲者のカール・オルフが、

 

その作品の意味を、

 

”受け(聴き)手の解釈に委ねる”

 

のなら、

 

悪は滅び正義は勝つ、

 

しかしながら、

 

その戦いは終わることなく続いていくのが生きて行くということ。。

 

自分なりに受け取ったモノは、

 

ズシリと肩にのしかかるようなメッセージなのに、

 

力強い覚悟を与えられたような、

 

素晴らしい作品でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルミナ・プラーナどんな曲?って方、

最初と最後に登場する

 

”全世界の支配者なる運命の女神(Fortuna Imperatrix Mundi)”

 

羽生君自らがフリーで選んだ曲だそう。