農夫山泉 不買運動のまとめ | 現在中国雑貨店長の運営ブログ

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農夫山泉 不買運動のまとめ

 過去3回にわたり、この記事を書いてきました。
 
 調査した時間は約3時間。4回の記事を書くのに約3時間かかっているのですが、私は専門家ではないので、間違っていることもあると思います。ただし2週間ぐらい前に、日本の記事を読んだのですが、そちらの方が大きく間違っておりました。
 
 この事件は、非常に複雑で、末端の出来事だけ見て「農夫山泉水は親日企業だ」とか、「農夫山泉水の創業者は悪人だ」とか、そのように記事を書かれることがありますが、実際は、細かい事象が絡みあい、偶然大きな事故に発生したように思えます。
 
 この事件は、根が深く中国をある程度理解することができるかもしれないので最後にまとめてみます。
 
 今回が初めて見る方が大半だと思いますので、まず何が起こっているのかを説明します。
 

事の発端

 中国での大手飲料会社である農夫山泉(水やお茶の販売)が、3月1日頃からボイコットにあっております。
その発端は、2月末に、娃哈哈の創業者の宗慶後が亡くなったこと。
 
 農夫山泉と娃哈哈は、ライバル会社で創業者同士もライバルだったそうです。片方が亡くなり片方が脚光を浴びる事態に!
 

事件の経緯をおさらいします

  • 娃哈哈の宗慶後が亡くなった後すぐ、農夫山泉の鍾睒睒が大炎上。
  • 「あいつは悪いやつだ」と拡散。その後、売国奴疑惑が浮上。
  • 一部の地域で不買運動が勃発、それがSNSでバズる。その後、商店などに農夫山泉の商品が置いてあると、客が抗議などするケースも稀にあり、お店が自主的に商品を倉庫へ閉まってしまう事態へ。3月は前年比で10分の1ぐらいの量に。(ただし農夫山泉は個人客のみへ販売しているだけではありません。不買運動に遭ったからといって、売り上げはたぶん3割程度しか落ちないと思います)

鍾睒睒のまとめ

  • 一番重要な点は、この人は、ほぼ一代で財産を築き、中国一の大富豪だという事実です。資産は9兆円超えだそうです。ただしこの人物がニュースになることや話題になることは、中国でもほとんどなかったのです。 
  • この人物は2つの会社を持っています(小さい会社ならもっと持っているかも)。1つは飲料メーカーで、もう1つは健康食品というか薬品会社です。知りませんが会社の資産の大半は自分の株券が高値になったからだと思われます。
  • この人は、もともと新聞社の出身。1995年頃から、飲料水の事業を始めたそうです。一番最初は、娃哈哈の代理店をしていたのですが、不正をして首になったと書いてあります。

娃哈哈と農夫山泉の攻防戦

 1996年-1998年頃、ミネラルウォーターの大半は、娃哈哈でした。ところがあるデマが流行し農夫山泉がシェアを奪っていったのです。
 1999年2月頃、私が留学生寮で聞いた噂は「娃哈哈の水を飲み続けると、免疫力が落ちてくるという話が新聞に書いてあった」と知人の留学生が言っていました。なので1999年にはすでに、その噂はありました。
 
 2000年、農夫山泉は、下のような広告を出したようです。天然水を使用すると、純浄水よりも3倍植物の育ちが速い。
他のミネラルウォーターは、当時川から汲んだ水を、ろ過し、消毒して販売していたのですが、農夫山泉は、千島湖の天然の水をそのまま販売するという手法をとったそうなのです。
 水を販売するとして、中国語では正式には2つの名称があります。1つは鉱泉水、もう1つは純浄水です。農夫山泉水は鉱泉水(ラベルには天然水と書いてある)、娃哈哈は純浄水です。
 
 差別化はそれでいいと思うのですが、この広告は、正しいのでしょうか?それは非常に疑わしいです。おかげで、他のミネラルウォーターの売り上げはがた落ちです。
 一番の問題は、2024年現在も、そういうことを言っている人がたくさんいることなのです。
 
 2004年頃(多少違うかも)、飲料メーカーが反農夫山泉連合を作り、訴訟したそうです。確か日本円で6億円の訴えと書いてあったと思います。ところが農夫山泉も同時に逆訴訟を起こし、6億円の訴えを起こしたそうです。その裁判は、農夫山泉が負けて、わずか400万円の賠償金を払ったと書いてありました。
 
 同時期に農夫山泉の鍾睒睒は、健康食品会社も経営しておりました。
 この時ある商品が大ヒットしたのです。それが龜鱉丸という商品です。スッポンを粉末状にして錠剤にした商品です。2001年頃、誰もが知っている健康食品でした。腎臓に良い漢方薬だとか言われていた気がします。
 
 この龜鱉丸のヒットは、鍾睒睒を大富豪にさせた原動力になったはずです。個人的には、インチキ商品ではないかと思うのです。この人は、新聞社出身なので、デマを流すのがうまいのです。
 
 2015年、娃哈哈の主力商品、AD鉛と爽歪歪(どちらもカルピスみたいな飲み物)が、流言に遭い、年間売り上げが前年比3分の1ぐらいに落ちたそうです。流言の内容は、肉毒棒菌が入っており飲むと白血病や軟骨病になると言われていました。
 
 他にも営養快線という、同じくカルピスみたいな味がする、それなりに売れている飲料もだいぶ売れなくなってしまったそうです。
  これはたぶんデマです。それでは誰が流したのでしょうか?このデマは確か2015年だけではなく、あと1回有った気がします。

娃哈哈の企業風土

 娃哈哈は、非上場企業のようです。非上場にも非上場のメリットがあるのです。そして忘れてならないは、娃哈哈は、愛国よりの企業なのです。
 その商品キャラクターとか、確かに昔から中国人が描いたっぽいイラストが描いてありました。上の写真を見ていただければ、中国っぽいと思うと思います。
 
 一時期、中国には娃哈哈が販売する、非常コーラという商品がありました。そのCMでは「中国人が開発した中国人のためのコーラ」と言っていました。ただその商品は、数年でなくなりました。
 

結論

 今回のボイコットは、3つの要素が複雑に絡んで、偶然大きな事件になったように思えます。
  1. 農夫山泉の鍾睒睒は、人格的によくない人物に思える。それが中国一の大富豪だ。
  2. 農夫山泉が大きくなったのは、流言のおかげではないか?それをしたのは、鍾睒睒か?
  3. 中国で稼いだお金を、海外に持っていく気か?息子はすでにアメリカ籍をとっているではないか?9兆円も海外に持っていかれたら、とんでもないことになるが。

黒幕

 今回の事件がどうして起こったのか、中国でもよく分かっておりません。
 
 少なくても農夫山泉のパッケージが日本の国旗に似ていたり、鯉のぼりが描いてあったり、浅草寺に似ていたからではありません。それは売国奴を証明する口実みたいなものです。
 
 それでは、誰が黒幕なのか?私が思うに、それは農夫山泉の鍾睒睒の9兆円の財産を、極端に言えば一銭も海外に持っていくなという民意というか役人の警告のように思えます。
 
 バブル崩壊と言われますが、今のところ人民元も不動産もそこまで下がっていなく、相対的に中国人の人件費も不動産も高いのです。
 
 今後お金を持っていく流れができたら、中国も大変なのです。