■あぶない! 人生教習所 | 心屋仁之助オフィシャルブログ「心が風に、なる」Powered by Ameba

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見えないけれど、やさしく包んでくれる。
風のように、水のように、普通の幸せに気づける、
そんなお話をお届けしようと思います。

教官 「はい、ブレーキ放して」


生徒 「いやです」


教官 「え、なんで」


生徒 「だって、放したら進んじゃう・・」


教官 「ずるっ・・ い、いや、進むために来たんですよね」


生徒 「でも、そんなの怖くて」


教官 「じゃあ、終了時間まで、ここに停まってましょう」


生徒 「それは、いやです」


教官 「じゃあ、ブレーキ放して。放し方は教えましたよね」


生徒 「それも、いやです」


教官 「どうなればいいの」


生徒 「うーん、何もしないでもあそこ(目的地)行きたいです」


教官 「歩けばいけるよ」


生徒 「いやです・・」


教官 「なんで」


生徒 「だって、しんどいし、時間かかるし、雨に濡れるし、暑いし、日焼けするし」


教官 「帰りなさい」


生徒 「いやです」


教官 「じゃ、ブレーキ放して」


生徒 「いやです、怖いです、事故します、死にます」


教官 「みんな死んでないから」


生徒 「だって、交通事故で毎年一万人ぐらい死ぬんでしょ。習いましたよ」


教官 「死ぬよー 死ぬよー 痛いよー 苦しいよー」


生徒 「きゃあああぁぁぁあああ もう絶対無理です」


教官 「ブレーキ放したら、この坂道転げ落ちていくよー 止まらないよー

     スピードでるよー 早いよー 早いよー 

     目的地着いちゃうよー」


生徒 「きゃやあああぁぁあああぁあぁああああああぁああああああああ 無理です」


教官 「じゃ、ここにいよう」


生徒 「それも、無理です」


教官 「ここにいると、お腹すくし、景色変わらんし、安全だよ」


生徒 「そんな退屈なの嫌です」


教官 「だって、安全がいいんでしょ」


生徒 「安全に、あそこに行きたいんです」


教官 「じゃ、ブレーキ放そう」


生徒 「怖いです・・・ あ、合宿ならいけるかも、オートマチックならいけるかも」


教官 「じゃあ、そっち行っておいで」


生徒 「はーい」


教官 「どうだった?」


生徒 「うーん、なんかいいんだけどー、なんか、わかんない感じ」


教官 「どゆこと」


生徒 「だって、あんな楽なことしてても何も変わんないし」


教官 「じゃ、ブレーキ放そう」


生徒 「怖くないですか」


教官 「怖いよ」


生徒 「痛いですか」


教官 「いたいよ」


生徒 「でも、やってみます」


教官 「お、えらいね、やってみよう」


生徒 「よし。。いち、にっ、さんっ! きゃーーーうごいたーーー!!!」


教官 「おおー! すごいぞー!!」


生徒 「きゃーーー!! たのしーーーー!!!!!」


教官 「そーじゃろー、たのしーじゃろー」


生徒 「なんでもっと早く教えてくれなかったんですか」


教官 「しばいていいか」


生徒 「しばいてください♪ で、どうやって曲がるんですか、きゃーーー!!!」


教官 「まずブレーキ踏みなさいっ!」


生徒 「ブレーキ踏んだら止まっちゃうーー!!」


教官 「とまっていーのーーー!! はやくーー!!」


生徒 「せっかくここまで来たのにーー!!」


教官 「いいから停まりなさいっ!」


生徒 「きゃーーーー!!! ・・・・  停まった・・・ ふぅ」


教官 「次は、動きながらハンドルを修正して曲がるんだ」


生徒 「えー、むりです、そんなふたつもいっぺんに・・」


教官 「でも、まっすぐ行くと壁に当たるよ、道は曲がるんだから」


生徒 「でも、目標に向かって真っすぐ行けって言われましたよ」


教官 「うーん、まっすぐ行くために、曲がるんだ」


生徒 「それ、おかしくない?」


教官 「ちょっとずつ、歪んでは修正して、歪んでは修正して、

     それを繰り返しながらまっすぐ行くんだよ」


生徒 「曲がっても、歪んでもいいんですか」


教官 「そうだよ、曲がっても、歪んでも、失敗してもいいんだよ。

     時には事故してもいいんだ」


生徒 「いいんですか」


教官 「そう、失敗したら直せばいいし、事故したら謝ればいい」


生徒 「そうか・・・ わかったような気がします」


教官 「そうか、よし、もう一度行くぞ」


生徒 「はいっ!!」


  ++++


教官 「あとは、ひとりで行けるね」


生徒 「はい、なんとかやってみます」


教官 「また困ったらおいで」


生徒 「はい、また来ます!  なんか、楽しくなってきた!」




心屋は、こんな仕事をしています(笑)