《こころとハーモニーの講座フェルマータ》
~フェルマータは藤沢市の音楽教室です~
合唱・ピアノ・声楽・手話歌・音楽講座
♪プロフィール♪
(前回のお話はこちら)
・・そしてその男は現れた
![びっくりマーク](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/611.png)
その外貌からしてこれぞ天成の人である。
その名はヨハネス・ブラームス
(中略)
彼の演奏ぶりは全く天才的で、
ピアノに座った彼は、
素晴らしい国への扉を開きはじめた。
この世界への第一歩にあたり
歓喜と祝福を広めつつ彼に敬礼する。
ベートーヴェンを思わせるブラームスとの
運命的な出会いに感極まったシューマンは
音楽批評誌に「新しき道」というタイトルで
上記の様にブラームスを紹介し、
その喜びのせいか、30代半ばから患っていた
精神の病も一時はまるで回復傾向に向かった
かの様に暫くは調子の良い日々を過ごして
いたのですが、
でも、その5か月後に
再び突然の激しい耳の痛みに襲われると
雨の中をスリッパのままで家から飛び出し
ライン川で投身自殺を図ります。
もう自我を保つ事すら危ういと直感した彼が
間もなく自分がクララや子ども達を傷つける
のではないかと恐れてのライン川への身投げ
だったとも言われています。
幸いにもこの時は、それを偶然見ていた漁師
に助けられて彼は一命をとりとめるのですが
A音が鳴りっぱなしに聞こえる
とその場で叫び続ける彼の姿を見かねた医者
の判断で、彼はそのまま精神病院に収容
される事になってしまいます。
(病状が進んでいたとはいえ
こんなに急変するなんて、
何かきっかけでもあったのかな?)
よくわかりませんが、一説によると
彼がその当時作曲中だった
天使の合唱を主題とした『主題と変奏』を
完成させた直後にライン川に向かったそうで
彼曰く、
曲の最後で彼は、天使が突然悪魔になり
変わる恐怖を見てしまったらしいのです。
残念な事に、これが事実上の
シューマンの遺した最後の曲
となっています・・
さて、この時クララは懐妊中だったため
彼女の事を気遣った周りは、この件について
彼女に詳しく知らせない事にしていました。
ですからクララは事情がよくわからないまま
夫が突如いなくなったので、妊娠中の身で
ありながらも何とか自分の腕一つで一家を
支えなければ!と動き始めました。
勿論彼女は一流のピアニストでしたから
それでも仕事に困る事は無かったのですが、
ただ、問題は大勢の子ども達の世話でした。
そこで慌てて駆け付けたブラームスは
2歳から12歳まで7人の子ども達の育児を
自分が担当しようと思いつき、
彼は、クララが演奏旅行に行く際には
留守番も兼ねて自分が子供たちの世話を
すると言いました。
また、彼が書いた曲については、
以前シューマンが出版社に強く後押しして
くれていた事が幸いして、
この頃には何曲かは世に出る様にも
なっていたので、
彼は「曲の収入は恩返しだよ」と言って
困り果てていたクララに惜しみなくお金を
渡していました。
~しかし、結局シューマンはそのまま
この3年後に亡くなってしまいます。~
それでもブラームスは
「シューマンへの恩は生涯忘れる事はない」
と、残されたシューマン一家の為に尽くして
助けていこうと、彼は決意するのです。
ずっと辛い貧困生活を体験して育った彼には
突然地に落ちてしまったシューマン一家を
安易に見放す事なんて出来なかったのです。
ブラームスとクララ
あなたの作品を初めてロベルトが
聴いた時の事を覚えてる?
はっきり覚えてないが・・・
第1楽章が終わった途端
「やめて!」って叫んで
演奏を止めたんじゃなかった?
![ひらめき電球](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/089.gif)
そして急に彼がいなくなったんで
「もう聴きたくないんだな・・」と
あの時ちょっとショックだったのを
思い出したよ。
でも、君を連れて戻ってきた彼は
「さぁ、最初からもう一度頼む!」
と僕に言ったんだ。
これは本当に凄い事なのよ!
あなたには驚かされる才能があるわ。
ねぇ、ヨハネス?
今回は助けてもらって本当に
嬉しかったわ、でも・・・
あなたそろそろ作曲に向き合う時では
ないかしら?
私たちはもう大丈夫、
あなたには感謝の気持ちで一杯よ。
ロベルトはあなたの事を
「ベートーヴェンを継ぐ者」だと
いつも私に言っていた・・
私はもう、あなたをここにいつまでも
引き留めておくわけにはいかないわ。
あなたにはすべき事があるのよ
![あせる](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/029.gif)
![汗](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/028.gif)
これは誰にも言えなかったんだが、
何故だか君には言えそうだ。
実は、僕は交響曲を書く事が
とても怖くなってしまったんだよ
![!?](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/094.png)
「神様から直接遣わされたような人物」と
シューマンに絶賛された事で、
これまで無名だった自分が
「ベートーヴェンの後継者」という
途轍もないキャッチフレーズで世にデビュー
出来た事は、確かにもの凄く有難い事では
あったのですが、
でもその気持ち以上に、
世間から期待される事が
彼にとって大きな重荷になっていました。
だからブラームスはこのモヤった気持ちに
正面から向き合うのが恐ろしくて、
自分自身を誤魔化すかの様にここで忙しく
育児や家事を行っていた訳で、
それなのに
クララに突然この様に不意を突かれ、
彼はつい彼女に本音を明かしてしまった
のでした。
本番中に指揮棒を落としただけで
翌日新聞には「頭がおかしい」って
書かれて周りから避けられるって。
でも、その直ぐあとで彼が発表した
交響曲4番やヨヒアムが弾いてくれた
ヴァイオリン協奏曲を聴いた新聞記者
達は、手のひら返しでロベルトの事を
大絶賛したって。
つまり、これが音楽の世界なのよ
もし、それを怖いと思うなら
あなたに音楽は向かないわ。
あなたの視点が音楽ではなく
周りにあるからよ。
音楽家は沢山いたけど、
誰一人としてそこには至れなかった。
結局あなたもその程度なのね
母親が大好きだったブラームスは、
父親が17歳も年上の母親と結婚し、
その母が無鉄砲な父を上手くサポートして
くれたお陰で、何とか自分たちの家庭が
成立していた事がよくわかっていたので、
自分より14歳も年上のクララに対しても
そんな母親の姿をつい重ねてしまって
彼女だけには心を許せる!と彼の本能が
彼にそう思わせたのかもしれませんが、
それにしても、
自分の内面を人前にさらす事を嫌がり
自分の話を全くしたがらなかった彼が
クララにはこうして本音を語れていた事は
本人にもちょっと意外な事だったはずです。
でも実はこれ、
理由があると思っています。
それは、
以前お話しした事がある愛着スタイルで
クララがは回避型の人間だったからです。
(クララの回避型のお話はこちらから)
イギリスの児童心理学者ジョン・ボウルビィ
が発表した愛着スタイルの考え方では
親の愛情に統一性が無かったり
条件付きの愛情を注がれると
ブラームスの様に不安型の傾向が
強く出てしまうのに対して
クララの様に幼少期に母親がいなかったり
あまり親と情緒的交流が無く育ってしまう
と、大人になると回避型の傾向が
前面に表れる様になると言われています。
結局のところは、
不安型であっても回避型であっても
子ども時代の環境や愛情の受け方に起因
しているという点ではこれらは全く同じ問題
なのですが・・
ブラームスは、
という不安型が強い傾向の思考にあり、
一方クララは、
という回避型の要素を強く持っていました。
クララもこれまでずっと苦難の人生を歩んで
いましたが、彼女はどんなに辛い場面でも
困難は自分自身の問題なのだと捉え、決して
他人に助けを求めたりはしていません。
勿論、この状況の時でも同じです。
ブラームスがいくら自発的に彼女をサポート
したいと言っても、
クララはそれが長く続く事をあまり良い事だ
とは思わなかったのです。
回避型タイプは親の愛情不足が原因で
自分は捨てられてしまったという記憶を
持ち続け、ずっと心の奥に深い傷を負って
生きているので、どんな時でも
自分に見えない部分で最優先となるのは
もう二度と他人から裏切られたくない
と言う事です。
だから彼女たちは自分を守る為に防衛線を
張り、自分が他人に期待をしない様に、
他人に甘えず深入りもせず、
そして弱い自分の姿を絶対に表には出さない
様にして生きています。
でも、そんな回避型タイプの人の生き方は
ブラームスの様な不安型傾向の強い人達には
彼女は強い。
きっと彼女こそが自分の心が開ける
唯一の場所なのだ!
と見えてしまう様で、
クララの様な甘えのない強い姿に強く憧れ
尽くし頼りたくなってしまうのです。
不安型タイプの強い傾向を持つ人たちは、
相手に安全を感じてしまうとその相手に
自分を認めてもらおうと献身的に尽くし
過度に期待して心を開いてしまうという
傾向があります。
でもそれは、
彼らは気付かぬうちに心の奥では
自分は愛される価値のある存在か?
を確認したいと思っているからです。
(そういう背景があったのか・・
よくブラームスとクララが
恋愛関係にあったとかいう説も聞くけど
結局二人が結婚しなかったのは
この愛着スタイルがあったからかなぁ)
親密さや情緒的な事を求めてしまう不安型
に対して、他人と親密になる過ぎる事を極力
避けたい回避型ですから、
お互い求めるものは実際には真逆ですよね。
でも、どちらのタイプも心の根底に
強い見捨てられる恐怖を持っているので
きっと心のどこかでお互いに理解し合える
何故か惹かれ合ってしまう部分みたいな物
はあったのかもしれませんね。
さて、クララに
この様に言われてしまった事もあって
ブラームスはデュッセルドルフを離れ
一旦ハンブルグに戻る事を決めます。
そしてその数年後、
彼はいよいよウィーンでデビューする事に
なります。
交響曲を書くぞ!と心に決意しながら・・・
【音楽家の愛着スタイルシリーズ】
☆不安型のサン=サーンス
☆回避型のコンスタンツェ
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