《こころとハーモニーの講座フェルマータ》
~フェルマータは藤沢市の音楽教室です~
合唱・ピアノ・声楽・手話歌・音楽講座
♪プロフィール♪
前回からの続きです。
(前回のお話はこちら)
スメタナの生家は、
リトミシュル城の目の前にあり
今でも一般公開されています。
幼いスメタナはこのリトミシュル城の城主
ヴァルドシュテイン伯爵に可愛がられ
「城で演奏をして欲しい」と
よく伯爵に頼まれていたそうです。
また、お城で催された音楽会にも
頻繁に出席していたと言われています。
このような彼の幼少期の恵まれた音楽体験が
後の彼の作品に大きな影響があった事は
確かなようです。
(リトミシュル城)
青年スメタナ
さて彼が15歳になると、父は息子に
「そろそろ本格的に勉強した方がいい」と
首都プラハのギムナジウムに進学させます。
ここは大学受験の為の勉強を学ぶ所です。
しかし彼は、大都会のこの学校で
早々に辛い体験をする事になります。
同級生からいじめられてしまうのです・・・
陰湿ないじめの原因は
彼が『田舎者』という事でした。
一大決意をして大学受験の為に
大都市プラハで一人暮らしをしようと
上京してきた彼だったのですが、
元々都会育ちの同級生とは感覚も合わず
次第に学校が嫌いになっていきます。
しかも田舎の賑やかな大家族暮らしが
当たり前だった彼にしてみたら
学校でも下宿先でも
常に一人ぼっちになってしまったこの生活は
初めて体験するとても辛い孤独生活でした。
この時の彼の目には、
下宿先の窓から見えるプラハのブルタバ川が
あまりにも大きく映り
とてつもなく恐ろしい川に見えてしまった
みたいです。
まず話し方から勉強して来いよ
言葉が通じませ~ん
(ひどいな
後に大作曲家になるスメタナだぞ
なんて嫌な奴らだ)
そうですよね。
そして彼はこれが原因で
完全に学校に通わなくなってしまうのです。
(・・・・)
・・・・でも・・・
かえってこれが彼にとって
自分の人生を考える良いきっかけに
なったみたいです。
勉強好きじゃないし
音楽やってる方が楽しいし、
この生活は無理なんだよな・・
・・・・とは言え
せっかくプラハに居るんだから
グダグダしててもなぁ・・・
あっ、そうだ
プラハであのフランツ・リストが
演奏会を開くっていうポスター見たぞ
これを聴かない手はない
リストのピアノはとにかく凄いらしい
よし!せっかくプラハに居るなら
今日から楽しく演奏会巡りだー
(え
すごい早い変わり身・・・
切り替えが上手過ぎ~)
こうしてスメタナは
プラハで通学する代わりに演奏会巡りを始め
独学で音楽の勉強に励むようになります。
そしてこの時初めて聴いたリストの演奏には
特に深く感銘してしまい、これを境に
リストが生涯の彼の憧れの存在になります。
丁度この頃にリストがプラハを訪れていた
という事が、自分にとっての
運命的な出会いだと思ったようです。
彼は当時の日記に当時の決意を
以下のように記しています。
音楽はモーツァルト、
テクニックはリストのようになる
こうして、大きな目的が見え始め
今やるべき事が明確になった彼は、
ついさっきまで落ち込んでいた事も忘れて
一転して毎日楽しく過ごせる様に
なっていきました。
まだまだ学費もたっぷりあるし
今日は弦楽四重奏を聴きに行こう
今日のヴァイオリン奏者は
フランスから来た最近話題の人だ
彼は行きたい演奏会に行く時は
感じた事を直ぐにその場でメモをして
帰ってからもしっかり復習出来る様にと
白紙のノートを欠かさず持って行く様に
していました。
そして今日もその大事なノートを掴み、
いそいそと弦楽四重奏を聴きに行こうと
玄関を開けたのですが、
・・・・な、なんと
目の前に
厳しい表情の父が立っていたのです。
学校から手紙が届いたから
こうしてプラハまで来てみれば、
もう半年も学校に行ってないだと
これは どういう事なんだ
遊び暮らす為に金なんか払えるか
今直ぐに荷物をまとめろ
家に帰る
自分の将来の夢も決まって、これから
充実した楽しい生活をここプラハで過ごそう
と思い始めた矢先の出来事でした。
当然のことながら
この父の怒りによって
彼のつかの間の夢は消え失せてしまい
強制的に家に連れ戻される事に
なってしまいます。
さて、面白い話があります。
挑戦力が生まれる時は、
意外にもその前には
不安があるという事をご存知ですか?
(不安と挑戦って正反対じゃない?
何でだろう
不安になったら何にも出来なくなのが
普通だよね?)
そうですよね。
でも実はここは二択になっているのです。
一つの選択は、
不安を感じるとストレスが起こり
心配で「守り」に入って行動しなくなる。
そしてそのため更に不安になってしまう
という負のループ型です。
この時 人は、
このままで大丈夫だろうかと
漠然としたドキドキ感を持つようになり
そしてずっとそれを引きずります。
もう一つの選択肢は、
不安をチャレンジに変えてしまう選択です。
この選択が出来る人は
不安を受け入れてその不安に
意味を見い出す事が出来ます。
この時 人は
この不安は何かにつながるきっかけなんだ
と、ここから次の手がかりを探し出そうとし
今 自分の胸がドキドキするのは
湧き上がって来たアドレナリンなのだと
感じるのです。
(同じドキドキなのに
随分受け止め方が違うんだね)
そうです。
大事な事はそこなのです。
どちらの選択でも
自分の身体に起きた現象は
同じドキドキなのですが、
でも受け止め方によってそれが
不安のドキドキにも
挑戦のドキドキにもなってしまう
という事なのです。
不安やストレスってついネガティブ一色に
思われがちなのですが、
でも受け止め方一つで
それがプラスに導いてくれる事だって
あるという事なのです。
スメタナもいじめられて
もしそのまま行動しなくなっていたら
きっと彼から名曲ブルタバは
生まれてこなかったでしょう。
あの時一人ぼっちの部屋の窓から見た
ブルタバ川の緊張感のある恐ろしい姿は、
まだ15歳だった彼にしてみれば
きっととても怖い物だったと思うのです。
でも彼はそれを受け入れて
晩年にはその時の傷ついた気持ちも含めて
このブルタバの曲の中で自分を
表現しようとしました。
だからこの曲が今でも愛されているのです。
では、次回は更に苦難が続く彼でしたが、
真っ向から自分の人生に立ち向かっていく
事で、日に日に勇ましく成長していく
青年スメタナのお話です。
第3テーマ
(ヴァイオリン、クラリネット)
農民の結婚式
第4テーマ
(フルート)
月の光と水の精の踊り
(このお話の続きはこちらから)
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