福田首相は16日に開かれた「社会保障国民会議」で、「非正規社員の処遇の改善や能力開発、社会保険の適用について具体的な議論をしてほしい」と述べ、派遣やパートなど非正規労働者向けの対策を検討するよう指示したと報道されている。
首相はまた、非正規労働者や若者の雇用対策について「学校や地域、産業界が一体となる必要がある」と強調し、対策の効果を高めるためには、企業側の協力も不可欠だとの認識を示したそうな。
当然のことであり、むしろ遅すぎ.る。
不十分な内容ながら、「パート労働法」の施行に伴ってこの08年春闘では時間給の引き上げが一定すすみ、流通サービス業界を中心に正社員化を図る企業が増えている。
あの日本経団連の会長企業であるキヤノンでも、12,000人の派遣労働契約を解消し、6,000人を期間工として直接雇用するという。もっとも、期間工であるので、不安定雇用に変わりはないが、それでも格差と貧困が社会問題化するなかで、その是正を求める運動が反映していることは確かだと思う。
一方、公務職場はどうか。
一般職非現業の国家公務員は30万人弱に対し、事務補助など多様な職務と各省バラバラの雇用形態で「任用」されている非常勤職員は、約15万人にものぼる。
私たちが再三指摘してきたように、今や非常勤職員なしに公務運営は成り立たない現状にもかかわらず、その権利や労働条件は法の狭間に落とし込まれたまま、
マスコミから「官製ワーキング・プア」と呼ばれている。
そうしたネーミングをされていることに、当該労働組合は恥ずべきことと受け止めなければならないと思う。
春闘期の国公労連の交渉で人事院は、非常勤職員の「給与決定に係る指針」の策定を表明し、政府・総務省も初めて「必要な対策」を検討すると回答した。
貴重な到達点とも言えるが、問題はこれから。目に見える具体的な改善策となるように、実効ある「指針」とするための交渉・協議や、必要な予算確保を含めて引き続きとりくみを強めたい。
また、4月4日に閣議決定され、国会に上程された「国家公務員制度改革基本法」は多くの問題点があるが、詳細はまたの機会にするとして、一点だけ付け加えておきたい。
それは、為政者たちの視野には霞ヶ関のキャリア官僚しかなく、全国の現場第一線で公務を支えている圧倒的多数の公務員、ましてや非常勤職員の存在やその人権など眼中にないという、悲しいほどの現実があることだ。
(by Stand Off)