子どもの数も割合も過去最少、教育と暮らしの貧困で「結婚・子育て」そのものが困難な日本 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 きょうはこどもの日。毎年、総務省が子どもの数を発表していますが、2018年4月1日現在の15歳未満の子どもの数は、前年より17万人少ない1,553万人で、1982年から37年連続の減少となり、比較可能な1950年以降の統計で過去最少を更新。人口に占める子どもの割合も44年連続の減少で過去最少を更新しています。(※下の2つのグラフは総務省サイトからです)

 



 この総務省発表データの中には国際比較もあります。それをグラフにしてみたものが以下です。日本は子どもの割合が主要国最低であることがわかります。

 



 この少子化を最大の課題として昨年「国難突破解散」を行った安倍首相。なんと言っていたのか「こどもの日」に振り返っておきましょう。

 

 少子高齢化、緊迫する北朝鮮情勢、正に国難とも呼ぶべき事態に強いリーダーシップを発揮する。自らが先頭に立って国難に立ち向かっていく。これがトップである私の責任であり、総理大臣としての私の使命であります。苦しい選挙戦になろうとも、国民の皆様と共にこの国難を乗り越えるため、どうしても今、国民の声を聞かなければならない。そう判断いたしました。

 この解散は、国難突破解散であります。急速に進む少子高齢化を克服し、我が国の未来を開く。北朝鮮の脅威に対して、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を、私は全身全霊を傾け、国民の皆様と共に突破していく決意であります。

2017年9月25日 安倍内閣総理大臣記者会見

 さて、安倍首相は少子化という「国難突破」へ「強いリーダーシップ」を発揮して「全身全霊を傾け」責任を果たしているのでしょうか?

 

 下のグラフは内閣府の2017年版「少子化社会対策白書」に掲載されているグラフです。

 

 



 上のグラフを見てわかるように、「理想の子供数を持たない理由」で断トツに多いのは、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」です。そうすると、安倍首相には当然この「国難突破」のために「強いリーダーシップを発揮」して「子育てや教育にお金がかかりすぎる」現状を変えてもらわなければなりません。ところが、下のグラフにあるように、教育予算を削減してきたのが安倍政権です。そして、日本の教育への公的支出はOECD34カ国で最低です。

 

 



 さらに、安倍政権は教育予算を削減するだけでなく、下のグラフにあるように、貯蓄ゼロの子育て世帯を増加させたり、子育て世帯の可処分所得を減少させるなど、少子化という「国難」を「突破」するどころか、一層少子化を加速させています。

 

 



 上のグラフは後藤道夫都留文科大学名誉教授と一緒に作ったものですが、「安倍首相「子どもの貧困を改善した」は本当?→結婚・子育てが階層ステイタス化、子育て世帯の実質可処分所得は大幅減で貧困深刻化」と指摘しているように、今の日本社会は「結婚・子育て」そのものが普通のことではなく困難なことになっているので、少子化が加速するのは当然の結果と言わざるを得ないと思います。

(井上伸)