秘密保護法案は現代の新たな治安維持法 - 盗聴も自由になる警備公安警察に市民は弾圧される | すくらむ

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 自民党の石破茂幹事長が、秘密保護法案に反対する市民のデモを「テロと本質的に変わらない」とブログで表明しました。これは一昨日のエントリー「政府のレッテル貼りで一般市民をテロリストにする秘密保護法案は日本を民主国家でなくする」 の中でも批判している通り、石破茂幹事長のこの表明は秘密保護法案の危険な本質を端的にあらわしたものです。


 国民から大きな批判を受けた石破茂幹事長は、このテロといった文言は撤回しましたが、一方でデモについて「本来あるべき民主主義とは相容れないものである」と改めてブログに明記しています。こうした石破茂幹事長の言動にもみられるように、秘密保護法案は弾圧立法です。この弾圧立法としての性格が最も秘密保護法案の危険な点であるということを、ジャーナリストの青木理さんが、11月24日に都内で開催された「特定秘密保護法に反対する表現者と市民のシンポジウム」の中で指摘していますので、その発言要旨を紹介します。(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)


 秘密保護法案は現代のあらたな治安維持法
  ジャーナリスト 青木理氏


 秘密保護法案は、安倍政権の右傾化とセットで語られることが多く、それは決して間違いではないと思っていますが、この秘密保護法をもっとも必要とし推進しているのは警察官僚であるという問題を考える必要があります。


 民主党政権のときもほぼ同じような法案の成立を狙っていましたが、それは裏で糸を引っ張っているところがあるからです。それは内閣情報調査室です。


 秘密保護法案をめぐって裏で糸を引っ張っているこの内閣情報調査室というのは、通称、「内調」と言っていますが、せいぜい200人規模の組織でたいした能力もないところではあるのですが、基本的には警察官僚の出島なんですね。警察官僚の中でも警備公安警察のトップクラスの官僚たちでほぼ構成されて、必ずトップには警備公安警察の官僚が座り、その下には警備公安警察あがりの警察官たちがいます。内閣情報調査室は、基本的には警備公安警察の出先機関で、ここが今回の法律の事務局になっているのです。


 そういう視点で見てみると、今回、外交や防衛のために秘密保護法が必要と表向きは言っているのですが、この秘密保護法は、どの官僚にいちばん使い勝手がいいかと言うと警察官僚になるのです。警察官僚にいちばん使い勝手がいい法律になっているという点が重大なのです。


 たとえば、ほかの省庁においては大臣が秘密を指定することになっているのですが、警察は警察庁長官が秘密を指定することになっているのです。警察庁長官というのは警察官僚の頂点の人間がなるわけです。つまり完全に警察の内部で完結するのです。外部のチェックがまったく入らないのです。


 そして、秘密保護法案にテロ対策がなぜ途中で忍び込まされたかという問題です。テロ対策という名目がつけば、警察に関する情報のほぼすべてが秘密になってもおかしくないのです。ほかの外交とか防衛などの情報はある程度は秘密が限定されます。ところが、テロ対策という名目になると、ありとあらゆる警察に関する情報を全部、秘密にしかねないのです。


 たとえば、警察が必死に隠していてこれは今でも全容が分からないのですが、自動車ナンバー自動読み取り装置、通称「Nシステム」ですね。こんな情報などは確実に特定秘密になるでしょう。


 また、この法案を中心にすすめた警備公安警察の人員や組織形態、どんな事務所があってというようなことも確実に特定秘密になるでしょう。つまり、警察がいちばん使い勝手がよくできているのです。


 そして、秘密保護法による個人の資格審査の調査を公安警察が請け負うことになります。そうすると国民のあらゆる階層の官僚と一般人の交友や男女関係、酒癖まで公然と合法的に犯罪の事実の有無は無関係に調べるお墨付きを与えることになり、盗聴も自由にできるようになります。


 この秘密保護法でいちばん強化されるのは治安、警察権力なのです。治安維持、つまり内政におけるところの治安維持です。私は言葉遊びでも何でもなく、今回の秘密保護法は本当の意味での新たな治安維持法になると思っています。


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