〈アピール〉子どもの貧困の克服をめざして | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 ※2月26日に開催された「子どもと教育を語るつどい - 子どもの貧困の克服をめざして」のアピールを紹介します。


 アピール
 子どもの貧困の克服をめざして


 ご飯に汁をかけただけの夕食。健康診断で病気が指摘されても医療を受けられない子ども。卒業アルバム代9,000円が払えず、もらえなかった中学生。住む家もない親・兄弟のために“風俗店”で働く16歳の少女…。


 2009年、政府がはじめて公表した調査によれば、日本の子どもの貧困率は14.2%で7人に1人の子どもが貧困状態にあり、ひとり親家庭の貧困率は57.3%にもおよびます。


 大企業は莫大な内部留保を溜め込む一方で、完全失業率は5%前後を推移し、労働者の3人に1人は非正規雇用であり、年収200万円以下の労働者が1,000万人を超えるなど、貧困と格差が拡大しています。それは生活の破壊や家族関係の崩壊にもつながり、子どもの育ちや学習の環境に大きな影響をもたらしています。児童虐待や高齢者遺棄事件、子どもの暴力事件の増加などの背景には、新自由主義に基づく「受益者負担主義」「自己責任論」に加え、貧困と格差の連鎖や地域的な人間関係の希薄化など、深刻な社会の実態が横たわっています。


 父母や教職員、国民の長年の運動によって、今年度から公立高校の授業料が不徴収になり、私学への就学支援金制度ができました。しかし公立高校の授業料以外の学校納付金は約20万円もかかり(日本高等学校教職員組合の2010年度調査)、私立高校では、公立の約3倍の授業料に加え施設設備費などを含む学費負担が約60万円にもなり、学費滞納者が増えています。


 また、以前から授業料の減免措置を受けていた低所得世帯では、特定扶養控除の縮小や学校納付金が新たに課されるなど、負担増にさえなっています。


 2011年度の文部科学省予算案では、給付型奨学金事業のための予算122億円が昨年度に引き続き2年連続見送られました。大学生は、世界一といわれる高い学費に苦しみ、卒業しても就職難はかつてなく深刻であり、貸与制奨学金の返済ができない若者も増えています。


 私たちは、こうした状況を少しでも改善するために、弁護士、福祉・支援団体、労働組合などの専門分野が協力して電話相談活動を実施したり、各地でシンポジウムや学習会などにとりくみ、国や地方自治体に対して、保護者負担の軽減、就学援助制度の拡充、給付型奨学金制度の創設、教育の無償化などを求め運動をすすめて来ました。


 子どもがいのちや生活の不安なく育ち、安心して学び、希望を抱いて社会に巣立っていけることは、憲法や子どもの権利条約に基づく基本的な権利であり、これを保障することは政治の責任です。


 ○乳幼児から青年に至るまで「教育は無償」「子育て・教育は公的責任で」の基本理念についての社会的な合意をひろげましょう。


 ○地域住民と福祉、医療、教育、自治体などそれぞれの専門的分野が連携し、子どもを貧困から救う地域のネットワークづくりをすすめましょう。


 ○雇用の拡大や働き方の改善、社会保障の拡充などをめざし、企業の社会的責任を問いかけ、自治体や国に抜本的な施策を求めましょう。


 ・すべての子どもに対して、授業料、学校納付金などを公費で


 ・高校生にも大学生にも、給付型奨学金制度の実施を


 ・高校・大学卒業生の就職保障を


 ・雇用の拡大、保育所の増設、働きやすい環境づくりを


 ・軍事費を削り大企業優遇の税制をあらため、真に国民生活を最優先する予算の組み替えを


 2011年2月26日
 子どもと教育を語るつどい「子どもの貧困の克服をめざして」