児童扶養手当法の父子家庭を対象とする改正を歓迎するとともに、ひとり親家庭支援の再構築を望む声明 | すくらむ

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 ※「NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の声明を紹介します。


児童扶養手当法の父子家庭を対象とする改正を歓迎するとともに、
ひとり親家庭支援の方針の再構築を望む声明


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 2010年5月26日、改正児童扶養手当法が成立し、これまで母子家庭等に支給されていた、児童扶養手当(月額満額支給で4万1720円)が父子家庭にも支給されることとなった。これは、母子家庭と同様に貧困にさらされている父子家庭とその子どもたちに対する朗報であり、歓迎したい。


 児童扶養手当制度は、困窮するワーキングプアである母子家庭・父子家庭の親子にとって命綱としての制度である。しかし、児童扶養手当制度には数々の問題が残されている。


 Ⅰ 現行制度の問題点として以下のとおり指摘する


 1.児童扶養手当法第13条の2(一部支給停止措置)を廃止すべきである(手当支給期間を5年間と定め、以降を半額支給とする条文の廃止)


 2.同じく就労していないと支給しないなどの懲罰的な条文(同法14条及び15条)も廃止すべきである


 3.一人ひとりの子どもに給付する制度にすべきである


 4.養育費を所得として算入する制度は廃止すべきである


 5.DVなどの遺棄(別居)での申請を緩和すべきである


 6.そもそも児童扶養手当制度はひとり親家庭を対象とする制度として抜本的に再構築すべきである


 7.社会や家族観の変容に対応し事実婚の規定などの人権侵害的な運用を改善すべきである
 特に、5年間受給後の半額削減については、現政権で調整が出来次第実現するという大臣の答弁があったので、早急な実現を望む。


 Ⅱ 母子家庭及び父子家庭へのあるべき支援とは


 1.これまで行われてきた支援策の効果及び問題点の検証の必要性
 09年の政権交代以降、ひとり親家庭の貧困率が54.3%と測定され、生活保護の母子加算が復活したことは歓迎したい。しかし、新たに父子家庭への支援も始まったのであるから、今後ひとり親家庭への支援をどのような形で行っていくのか、その支援策の方向性及び具体的検討をおこなうべきである。また、その議論のためには、前政権の行ってきたこれまでの支援策について、分析と検証をおこなうことは必要不可欠である。就労支援の効果があがったか(正
規雇用の増加は、収入増になったかなど)検証はされていない。非正規化の傾向はとどまらない。そして、ひとり親家庭の貧困率の削減目標を政府は設定すべきである。


 2.在宅就労支援の効果への疑問
 しかるに現政権は、前政権の就労支援を中心とした支援の検証もしないまま、平成22年度からは在宅就労支援を行うこととした。
 就労状況、産業構造は変化している。だからこそ、どのような就労支援が効果的なのかを、実態を把握し、専門家とともに当事者を交えて検討すべきである。20年前はヘルパー講座とパソコン講座と医療事務の講座を母子家庭向けに行った。2003年にはさらに自立教育訓練給付事業や、高等技能訓練促進事業等(これのみ評判がよい)が始まった。そして2010年には内職支援となった。検証が必要である。


 Ⅲ 当事者参加による検討を


 また就労支援とともに、住宅支援、教育支援、省庁横断的な養育費制度・面会交流の制度の検討会など、多くの課題が残されている。私たちは、真に実効性のある、ひとり親家庭支援を行うためには、もう一度、母子家庭・父子家庭支援のあり方について、透明性を確保し当事者参加による検討会で検討すべきだと考える。


 児童扶養手当制度の土台もぐらぐらしたまま、旅館の建て増しのように父子家庭にも支給対象を増やすだけでは足りない。当事者を交えた検証作業を経て、今後必要とされる支援策を再構築する必要を強く訴える。