ワンストップ・サービス利用者アンケート集計結果 | すくらむ

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 ※きょう、「年越し派遣村が必要ないワンストップ・サービスをつくる会」が記者発表した「ワンストップ・サービス利用者アンケート集計結果」を紹介します。


 ワンストップ・サービス利用者アンケート集計結果


           2009年12月4日 年越し派遣村が必要ない

                      ワンストップ・サービスをつくる会


 自公政権への国民の厳しい審判を受けて誕生した鳩山新政権は、「ふたたび派遣村をつくらない」決意を示し、11月30日には「求職中の困窮者等がたらい回しにされることなく一つの窓口で、必要な支援にたどり着けるようにする」ことを目的に、全国77カ所のハローワークにおいて「ワンストップ・サービス・デー」の試行実施をおこないました。私たちは「年越し派遣村」を実施し、また、派遣切り等にあい仕事や住まいを失った人々への支援活動を続けてきた者として、ワンストップ・サービス体制の構築に向けて動きだした政府のとりくみを歓迎するものです。


 長引く深刻な不況・失業のもとで、各地の主要な駅が毎晩、「派遣村」の様相を呈していることなど、事態は昨年以上に深刻化しており、派遣切りや解雇等にあった生活困窮者への支援体制の構築は焦眉の課題となっています。そのため、昨年の「年越し派遣村」に実行委員やボランティアとして参加した私たちは、「年越し派遣村が必要ないワンストップ・サービスをつくる会」(以下、「つくる会」と言う。)を立ち上げ、有効なワンストップ・サービス体制の確立を求めてとりくむことを決意しました。


 その第1弾の行動として、11月30日の「ワンストップ・サービス・デー」に際して、「利用者アンケート」にとりくみました。集計結果をご報告するものです。


 1.5都府県から138名分を集約、40歳以上が3分の2


(1)つくる会としては、上野と立川のハローワークにおいて、ワンストップ・サービスを利用した方々を対象にアンケート用紙を手渡し、その場で記入してもらいました。わずか数日前に緊急に呼びかけただけでしたが、埼玉や神奈川、新潟、大阪などでもとりくまれ、東京では足立でも実施されました。


(2)本集計結果は、12月2日までに寄せられた5都府県の10ハローワーク(上野、立川、足立、大宮、川崎、新潟、大阪東、茨木、枚方、東大阪)のワンストップ・サービス利用者のうち138名分の結果です。政府の発表ではワンストップ・サービスの利用者数は全国で2,404名ですから、その5.7%(約17人に1人)の集約結果となっています。


(3)138名の属性(問 14)は、性別では「②男」68.1%、「①女」21.7%などで、年齢では「50歳代」29.7%、「30歳代」18.8%、「40歳代」18.1%、「60歳以上」14.5%などとなり、「50歳以上」で 44.2%、「40歳以上」で 62.3%を占めています。


 2.ワンストップ・サービスの周知は不十分


(1)ハローワークの利用理由(問1)では、「①求職のため」が 61.6%を占め、続いて「②雇用保険の受給」と「⑤ワンストップ・サービスの利用」が、ともに 20.3%でした。


(2)ワンストップ・サービスを知った媒体(問2)では、「⑥今日ハローワークで知った」が最も多く 40.6%を占めました。続いて、「⑦その他」17.4%、「②テレビ」15.2%、「①ラジオ」11.6%などとなっています。「⑦その他」が17.4%を占めていますが、内容の記載があったものをみると、「労働組合や集会で聞いた」というものとともに、「以前ハローワークで聞いた」「福祉事務所で聞いた(明らかにたらい回しと思われる事例も=ワンストップでは結局、生活相談は原則受けないとなっているので、福祉事務所に再度回される)」などがありました。


(3)明らかに周知不足という状況です。今後の実施に向け、街頭でのチラシ配布や携帯サイトへの広告など、広報の徹底と工夫が求められます。


 3.役に立ったが44.9%も、ただし消極的支持?


(1)ワンストップ・サービスは役に立ったか(問4)では、「①役に立った」が44.9%を占め、「②役に立たなかった」が28.3%、「NA」が26.8%でした。「NA」が4分の1に達していますが、「説明等を受けた点はよかったが、利用するかどうか分からない」などの記述がありました。「①役に立った」の記載内容でも、「具体的に説明してもらえた」「アドバイスがもらえた」などの記述が目立ちました。ワンストップ・サービスで解決がはかられたというより、情報をもらえてよかったという事例の方が多数を占めているようです。


(2)ワンストップで利用したもの(問3)でも、「⑨その他」が最も多く26.1%を占めましたが、「説明を受けた」などの記述が目立ちました。「⑨その他」に続いて、「②生活・訓練支援給付」18.1%、「⑤雇用保険」13.8%、「①住宅手当緊急措置事業」13.0%、「⑦生活保護」11.7%、「③生活福祉資金」10.9%などとなっています。これについても、具体的に制度の利用手続きに入ったというだけでなく、利用できそうな制度として説明を受けたという回答がかなり含まれているようです。


 4.役に立たなかった理由は、使える制度がなかった、要件が厳しいなど


(1)役に立たなかった理由では、「使える制度がなかった」「ハードルが高すぎる」「最初に制度全体の説明をしてほしかった」「今日仕事と寝るところを紹介してもらえると思ったのに結局、また区役所に行かないといけない」などの記述がありました。


(2)利用者との具体的な対話でも、制度全体がよく知られていないこと、総合的な説明がなくわかりにくかったことなどが指摘されており、総合相談の体制づくりが求められていることが明らかになりました。また、制度が複雑で利用しづらいとの指摘がかなりありましたが、制度の恒久化を図ることとあわせて、もっとわかりやすく使い勝手のよい制度にしていくことや、現行制度のもとでも要件を緩和して使いやすくすることが必要だという結果です。


(3)特に住まいも失い、持ち金も底をつきつつある利用者からは不満の声が強く出されました。生活保護の相談を原則として受けつけないこととしたことが大きな問題ですが、年末年始へ向け、早急に整備・工夫すべき最大の課題と言えます。政府は「ふたたび派遣村をつくらない」と言われているのですから、住まいも失った窮迫状態にある人々への対策を強化する必要性が明らかになったと言えます。
 なお、上野をはじめ何人も「福祉事務所から回された」という窮迫状態の利用者がいました。明らかにたらい回しという事例もあり、生活保護行政の改善は急務です。


(4)問題点はあっても、ワンストップ・サービス体制への期待が非常に強く示されました。制度への高い期待と実態のギャップが指摘できるのであり、今回の「試行実施」の結果に基づき、早急に改善策を出すことが必要です。


 5.失業は長期化雇用保険の改善の必要性明らかに


(1)失業の状況(問6)では、「①失業中」が 87.0%を占め、失業の時期では 2009年 5月以前(半年以上に相当)が 39.2%を占めています。失業が長期化している状況がうかがえる結果となっています。


(2)失業の理由(問7)では、「①解雇」が 24.2%とトップを占めるなど、不況のもとでの雇用破壊の状況を示しています。


(3)雇用保険の受給(問8)については、「⑤雇用保険に未加入」15.8%、「③支給期間が過ぎた」14.2%、「④受給資格を満たせず、もらえない」12.5%などとなっており、「①支給を受けている」は最も多かったものの 33.3%でした(ただし、ワンストップ・サービスの利用者で 3分の 1を占めるということは、周知が不十分という側面も)。


(4)この結果からも、深刻な不況や雇用破壊の実態を受けとめ、失業給付の支給期間を延長することや非正規労働者などへの対象の拡大など、新たなセーフティネットの土台として、雇用保険制度そのものをまずは拡充することが必要だと言えます。


 6.職業訓練を受けていないが68.1%体制拡充が必要


(1)職業訓練を受けているか(問10)では、「受けていない」が最も多く、68.1%と多数を占め、次いで「受けたいが受けられない」が 8.7%、「受けている」が 5.8%などとなっています。


(2)「②いない」の理由としては、「資格を持っている」としては、「受けたいものがない」「内容がわからない」などの意見が出されており、職業訓練の内容が周知されていないこと、またニーズにあった訓練が準備されていないことがうかがえます。また、「③受けたいが受けられない」の理由では、落ちた・枠が足りないという意見が特に目立ちました。


(3)職業訓練についての周知の徹底と、職業訓練の内容の拡充が求められます。特に雇用保険を利用した職業訓練と、新たなセーフティネットとしてつくられた「基金訓練」を連動さえ、公的な職業訓練の充実をはかることが重要だと言えます。


(4)職業訓練の充実ともあわせて、今回の試行実施では、利用者アンケートからも担当者が忙しそうとの声が出ています。ワンストップ・サービス体制を構築していくには、人員増や財政的な対策を国が責任を持っておこなうことも必要です。