杉浦日向子 著
ちくま文庫
今日は、絵本から離れてエッセイです。
1987年以前にあちこちに書かれたエッセイをまとめられたものを、
文庫化されたものです。
「身の回りの景色が見えるくらいのスピードダウンは必要」
のことが書かれている「スーパーマンの涙」の項はよく読み返しました。
(写真は奈良の東大寺)
江戸時代、東京〜大阪間は人の足で移動し、
15、6日ほどかかったのだそうです。
それを、この当時のエッセイで3時間と表記し、
江戸時代に暮らす人の132倍のスピードを生きていると書かれていました。
この本の書かれた当時からさらに技術は進化して、
東京〜新大阪間の移動時間は短くなり、
格安航空便という選択肢も増えた今と比べると、
それ以上のスピードと行動力を21世紀という現代人は生きているわけです。
では、それに見合うだけの「人生」を生きているのか、
と書かれていました。
1987年といえば、フレディ・マーキュリーがHIV感染を知った頃でしょうか?
当時、HIVといえば、もう「死」しかありませんでしたが、
現代であれば、
もう少し病気と折り合いをつけながら、歌っていたかもしれませんね。
確かに、当時と比較すればいろんな技術が進歩して、
うきょうたちはその技術を享受しているのですね。
それほど、確かに時間は流れ、
当時なかったスマホを一人一台を持つ日本になり、
医療・技術は格段に進歩したんですよねえ。
でも、今日のようなながーいお休みが必要な未来がくるなんて、
思いませんでしたよ。
四半世紀前の先生が、
20世紀は生産と行動の時代で、たぶん、
21世紀は抑制と思慮の時代
と書かれていました。
まさに、今がその「抑制と思慮」の時間なんでしょうね。
インターネットを使い、ものすごい速さで文字の情報を伝え、
Zoomで遠くの人たちと会話をしているわけですから、
ちっとも、うきょうなんて
抑制しているうちに入らないのかもしれないですけども、
おうちでのんびり、古い本を触ったり、戻したり、
ペラペラしたり。
お散歩したときに、がんばって咲くビオラを見つけたり、ね。
せっかくある時間ですからね、のんびり、散らかしたり、
片付けたりを楽しみます。
(太字イタリック文字部分は引用部分)
そして、そういうことは悪いことではないんじゃないかしら、
と感じています。
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