第140回公演『サカシマ』再演 サカシマな物語って昔から変わらないらしい。 | こじにずむ日記

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千葉大学演劇部 劇団個人主義のブログです
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さてみなさんこんにちは、鶴田鶏亮です。

直前まで何を書こうか迷っていたのでルーレットでテーマを決めたところ前回の続きを書くことになりました。悲しいですね。まあでもオタクの皆様は曇らせが好物の方がいっぱいいるので問題はないでしょう(ど偏見)

 

さて、物語における不幸というのは物語を盛り上げる上で非常に重要であるという話はしました。というわけで今回は綺麗な曇らせの例について具体的に取り上げていこうと思います

 

サイテーとかなんとか聞こえてきそうですがそもそも今回のテーマはこういう感じなので苦手な人はここでお帰りください。

 

さて、いい感じの人払いは済ませたので具体例を上げていきましょう。

過去作なんて探せばいろいろありますがみんなが知っていなければ意味がありません、というわけでアンデルセン童話から見ていくとしましょう

個人的に一番曇らせっぽいな、と思うのが人魚姫です。

一応話を知らない人のためにあらすじをざっくりと。

難破した船から王子を救うときに王子に一目惚れした人魚姫はその王子と結ばれるために自身の声を犠牲に人間に変身し地上に向かう。しかし王子の勘違いにより王子は別の女性と結ばれてしまう。海に戻ると泡になって消えてしまうという呪いを人間になるとともにもらった人魚姫が海に戻るには王子を殺して返り血を浴びねばならないのですが彼女にはそれができず海に身を投げて泡になってしまったという話です。

ちなみにディズニーとかのハッピーエンド人魚姫は原作とは異なるので悪しからず。

まあこの話のどこが曇らせポイントなんだという話ですがまず、人魚姫は地上に上がるために足を手に入れるわけですがこれの代償として声を取られるわけです。ちなみにこの声、めっちゃいい声らしいんですね。あなたの一番好きな声優さんの声を想像してみてください。多分それです。まあそんないいものと引き換えにしてます。きっとこの頃の彼女には王子しか映っていなかったのでしょう。しかももらった足は歩くたびに大変痛むそうです。もう詐欺罪と器物損壊罪で訴えても許されそうですがとにかく人魚姫は結構大変なものを失っていくわけです。

そうしてさあ地上に行ったと思ったら王子は別の女性に取られるわけです。夢に向かって頑張ったと思ったら自分じゃどうしようもない状況になって断たれてしまう。

この曇らせの何が罪深いって「王子が幸せになる姿を目の前で見せつけられる。」まずこれです。彼女にとっては地上に来なければ幸せな片思いで止まってたわけですね。片思いならまあ普通なら1年もあればおさまります。しかも人魚姫の場合、一目惚れですし仮に叶ったとて海と陸の関係、遠距離もいいところです。多分いずれ海中でまた別にできていたことでしょう。しかし中途半端に人間になれるという希望がありそれにホイホイ付いてったがために思い人が目の前でNTRれていく姿を見せつけられるわけですね。なんて脳破壊でしょう。もうぼろっぼろです。しかし、もう一個ポイント高いのが「声が出せないので弁解の余地がない」というところです。先に経緯だけ説明しますと王子はあの難破した時に介抱してもらった女性と命の恩人ということで結ばれるのですが、実際のところ海から陸まで運んだのは人魚姫であり命の恩人ポイントは人魚姫も相当あって然るべきです。まあ仮にこれを伝えたとて「解放してくれてる間に愛が芽生えた説」とか「顔の好みだった説」とかで人魚姫が普通に負けていた説はありますが少なくともまだ挽回の余地はあったことと思います。しかし人魚姫は声を失っているわけですからそんなことはできないわけですね。

というわけで「中途半端に見えた希望を元にさまざまなものを失っていいところまで来たところで最悪の状況を手立てがない状態で見せつけられる」というのが人魚姫の曇らせです。さらに行っちゃえば状況の良し悪しがジェットコースターなわけです。やっぱり曇らせをするならずっとどん底ではなく途中で光(今回の場合人間になれるということ)を与えてから一気に突き落とすという方が美しいですね。やっぱり物語緩急です。

 

というわけで今回は曇らせの例を一つ取り上げてみました。まあ心の清い皆様は人魚姫を読んだ感想はきっと「人魚姫の愛は一途で素敵だなあ」「人魚姫可哀想」のどちらかだと思います、ここで可哀想に良さを見出した人は闇のオタクです。ようこそ。まあとにかく多少なりとも言いたいことがわかってもらえたら幸いです。

 

とこんなことを書いてると私がやべー奴に思われそうなのでFF7のリメイクの話をし…ようと思いましたが多分長くなるのでチョコボがかわいい画像だけはっつけておきます。

 

 

この子が可愛すぎてぬいぐるみ欲しいんですよね。通販で売ってないかな…なさそうなんだよな…しくしく

 

最後に「サカシマ」についても話しておきます。

一月延期となったサカシマですが一月前に比べて本当にいろいろ変わりました。自分の中で自分の役の心情とかもわかっていってきっと素晴らしいものをお見せできると思います。是非是非楽しみにしてください。

ああ、サカシマ終わるんだなあ…まだやっていたかったなあ…と思っていますがはじまりあればいつかは終わりを迎えるもの。覚悟を決めて本番で今までの全てを吐き出せるように頑張りたいと思います。

 

では、鶴田鶏亮でした。 サカシマをよろしくお願いします。

 

以下、公演情報です。

劇団個人主義第140回公演 再演
『サカシマ』
会場:千葉市南部青少年センター
日時:5月26日(日)
開場 11:30
開演 12:00

 

▼来場予約フォームはこちら

(期限:5/25  23:59)

 

 

配信予約に関しては、また用意が整い次第公式X、Instagram、HPにてご案内いたします。