『私は奇跡を見た』
~ 超能力エネルギーの神秘 ~
政木和三
第三章 第七次元の実験
第六節 超能力の消失と復活
昭和五十一年十二月二十二日(水)には、NETテレビ系のアフタヌーンショーにおいて、これまで述べてきたような大脇一真君の実験が放送された。
紙とクレパスを一緒に空中へ投げ、空中で、いつものように、文字があらわれ、チューリップも出来かかった。
これを見られた方々は、何を感じられたことだろう。
『ただ不思議だ』
と思われる人。
『そんなことがあるはずがない』
と、インチキ説をとなえる人。
人は考え方は自由なのだから何と思うのも自由である。
しかし、そのテレビを見て、人間は何か考えなければならないと思って下さった方は、何人あるだろうか。
テレビの終わりに、私が
『クレパスが動いて文字を書くのではなく、クレパスは動かないで、先端が微粉末となって飛び出し、文字の形に密着してゆくのです。
ちょうど、静電塗装のようになってゆくのだと考えられます』
と説明した。
とっぴな考えだと思われるかも知れないが、このような考え方の飛躍こそが、新製品発明につながるものだと確信している。
私はいままで、述べてきたような実験を数百回行ない、それを確認してきている。
クレパスと紙を放り投げると、文字の出来ないときは、投げた瞬間に、紙とクレパスは別々の方向に飛んでゆくが、字の書けるときは、二メートルぐらいの間、クレパスは紙の上にはりついたようになって飛んでゆく。
文字の発生する時間は、十万分の一秒以下の短時間内に行なわれるらしく、一真君が投げようとして、右手の親指に力が入った瞬間に、文字は発生するときもある。
文字がどの程度書けたかは、一真君の頭の中に記録として残っていて、落ちた紙を調べる前に聞くと、どこまで書けているかをはっきりと答える。
紙を調べると、ちょうどその点まで書けていて、間違ったことは一回もない。
実験のとき、チューリップの花だけ書けたとき、次に緑色のクレパスを持ち、
『続きになれ』
と言って投げると、茎と葉がきれいにつながって書けるというような場合もあった。
それも花のちょうど真中の場所から茎が書けるのである。
この現象も、飛んでいる紙の一定の位置へ、自分の意識によって、生命体が指定された場所へ、クレパスを微粉末として発射するものと思われる。
生命体を自分の意志によって、自由にコントロールできる人間が超能力者であって、これは目前の欲望を捨てることによって、いかなる人間でもその域に到達することができるのではないかと思っている。
超能力を持った子供は、成人すると共にその力が消滅してゆくようである。
それは、人間界の仕組みがわかり、常識が身につくと、金属はかたくて曲がらないものだと思い込むようになる。
そうすると、そのような自我の心によって、生命体の働き場所がなくなると思われる。
そのうえ、超能力を使って、金もうけをしてやろうというような欲望がでると、その能力は、たちどころになくなってしまう。
力がなくなるとインチキに走ることになる。
次に動物的な恋は、本能だけが表面に出て、その結果、超能力的なエネルギーが全て消滅してしまうのである。
テレビ放送の実験以外に、封筒の中にエンピツを入れ、封をし、それを空に投げると、封筒の表面に字が発生するということがあった。
中のエンピツが飛び出して文字を書き、書き終わると、封筒の中に入り、完全に封をするということになる。
この実験のとき、エンピツの先を完全な三角錐形にけずっておく。
このようにして、先端を完全に三角形にし、しかも、投影機によって確認しておく。
そして、少年に投げてもらい、書き終わったエンピツの先端を、拡大投影機によって調べると、三角形が崩れているのである。
つまり、そのエンピツで書いたことを如実に物語っているわけである。
このような超能力をもった一真君も、一昨年末に、あまりにも生命体を自由に使いすぎ、その能力がなくなってしまった。
この世界の因果応報は、はっきりしているのである。
それは他人の入れ替えをやったためで、それを数人に応用すると、その反動によって自分の生命体のエネルギーが減少するものらしい。
その著しい例として、昭和四十九年十二月、一真君の力が消滅した原因についての不思議な物語りがある。
これは全て一真君の真実の言葉であり事実である。
昭和四十九年六月のある日、一真君が学校から帰ってくるなり、母親に言った。
『今、三軒となりの家の入口で、あそこのおばちゃんが、青い顔して泣いていたよ』
『何言ってるの。
あのおばちゃんは、今日死んだのよ』
と母親が答えたが、確かにその人は子供三人を残して、その日の朝、急病で亡くなっていたのである。
では、そのとき一真君が見たおばちゃんは何であったのだろう。
私は前にも大阪大学の屋上からの飛びおり自殺の現場に、死んだ人の姿を見出した一真君の前例から、それは、亡き人の魂が、何かの形であらわれたのだと思った。
しかし、現在でも私は魂が姿をあらわすと言うことは信じられない。
何かある小さなエネルギーによって、一真君の超能力が、そこに人間像を形成するのではないかと思うのである。
そのおばちゃんが死去してから、数か月後の十月に、一真君の隣家の人が転宅して行った、その家の奥さんと亡くなった人とは、奥様同志で大変仲良しであった。
そしてその一か月後に、転居していった家の主人が来訪し、
『家内が新居へ移った日から、おかしくなり、毎日、私に死んでくれと言ってせがむので困っています。
一真君の不思議な力で一度見ていただけませんか』
と言うのである。
そこで、一真君が御主人の家へ行って見ると、すぐさま
『あそこにおばちゃんが居る』
と指した。
御主人は
『そのおばちゃんを家から出してくれないか』
と頼んだが、一真君は、
『あのおばちゃんは、こわいよ』
としりごみをした。
けれども、一真君の父が
『やってあげなさいよ』
と言うので、一真君は、
『ぼく、こわいからほんとは、やりたくないけど、じゃあ窓を全部あけて下さい』
と言って、開け放たれた窓に向って、大きな声で
『出てゆけ』
と何度も連呼した。
すると、そのおばちゃんの姿はなくなったという。
そして、不思議なことに、同時に、頭がおかしかった夫人はにこにこ顔となり、元の奥さんとなったのである。
一方、その翌日から、一真君の家に不幸な事件が連発し、一真君は一週間に五回も外科病院へかつぎこまれるけがをした。
両親にも自動車に関して、今までに経験しなかったようなことが起きた。
そしてある日、一真君が自分の部屋に入ると同時に、
『死んだおばちゃんがいる』
と言い出した。
また
『出てゆけ』
と大声をはりあげると、隣の部屋へ移ってゆく、そのようにして順次追いつめて、家から出してしまった。
その後は昔通りの平穏な家庭となった。
このように、凡人には見えない何かが、なぜこのようなエネルギーを持っているのだろう。
もしもこれが普通の家で起これば、なぜこのように不幸なことが続くのだろうと、悲しい運命に泣くことであろう。
一真君のような、生命体だけの存在が見える人なら、それを除外することによって、後の災を断つことができるわけである。
しかし、その瞬間から、一真君の不思議な力は、全くみられなくなってしまった。
一真君の生命体がエネルギーを使い果たして、残り一割ぐらいになったと思われた。
そのような期間は、約一年間続いた。
私は気長く一真君の生命体に力を注入するように努力した。
そして昭和五十一年一月から、回復のきざしが顕著になってきた。
テレビ放送の昭和五十一年十二月二十二日には、一昨年の約半分ぐらいの能力までになった。
超能力を回復するための、生命体への力の注入とはいかなることか?
それは、人と人との心の奥での愛情である。
心の中で、このようになってほしいと願う心が、彼の心の中にエネルギーとして蓄積されてゆき、回復するのである。
これは一般社会にも通ずるものと思われる。
無報酬の愛情が必要なのである。
私は奇跡を見た
初版発行:昭和53(1978)年1月10日
10版発行:昭和59(1984)年3月15日
著者:政木和三
発行者:瓜谷侑広
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1978©
ISBN 4-88481-023-6 C0014 ¥980E
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今も尚、心の底よりとても尊敬し、感謝している恩師・師匠です。
政木和三先生の廃刊御著書
~ 超能力エネルギーの神秘 ~
『私は奇跡を見た』
を現状のブログデザインに合わせて
再び掲載させて頂きます。
政木先生の御教えである
『目先の欲望を捨て去り、世のため、人々のために尽力せよ!』
との仰せを引き続き継承するため、
今後も少しずつではありますが、
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政木先生の御教えのすべてをこれからも紹介させて頂きますので、
皆様には引き続きのお付き合いの程、
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