『格安テレビ』の開発は『自分も欲しい』から誕生 | 『 真理は自然の中に在り 』
『 人類を救うヒット商品開発法 』
~ 誰にでもできる「精神エネルギー」の応用と実践 ~
政木和三

人類を救うヒット商品開発法00


第1章 発想力 <インスピレーションを発揮>

ヒット商品開発の源は
『自然の真理と愛情』にあり
~ 自然界の現象、身近な物事への関心や疑問から発明、開発のヒントを掴め! ~


『必要』『愛情』こそ発明の母
● 何が必要かを愛情思いやりで知る



『格安テレビ』の開発は『自分も欲しい』から誕生 】


 瞬間湯沸器の発明も似たような状況からであった。

 これはもっと以前、私が大阪の工業高校に通学していたころで、冬の寒い冷え込みの厳しい日であった。

 知り合いの家を訪ねて食事をごちそうになることになった。

 若い奥さんが台所の冷たい水で炊事をしていた。

 食器を並べてくれる手を見るとはなしに見ると、アカギレがいっぱいできていて、痛々しい感じがした。

 『なんとか冷たい思いをしないで、アカギレなんかできないで炊事や洗濯ができないものだろうか。

 これでは女の人がかわいそうだ』


 そこで、ニクロムの電熱線を水道管に巻き付けることを思いついた。

 これで水道の水を瞬間に温かいお湯に変えることができたのである。

 先ほどもふれたが、これが現在の瞬間湯沸器の原理、原型となったのである。

 戦後しばらくして、日本にテレビ放送がスタートした。

 昭和二八年(一九五三年)のことで、もちろん当時は白黒テレビであったが、輸入品は三〇万円ほどという値段で、いまの価格でいえば二〇倍ほどとしても、五、六〇〇万円はしたであろうか。

 一般にはちょっと手が出せるものではなかった。

 街頭テレビに人々が群がったのもこのころである。

 国産品の第一号は、早川電機工業(現シャープ)が一七万五〇〇〇円という値段で発売し、

 『輸入品に劣らぬ性能 完ぺきの国産品』

 と宣伝して、日本のテレビ時代が始まった。

 ちなみに、この年、昭和二八年に始まったNHKのテレビ放送は一日四時間半で、最初の受信契約者は全国で八六六人であった。

 決して数字の間違いではない。

 一〇〇〇人に満たない受信契約者しかいなかったテレビから、いまの隆盛をどこまで予測できたであろうか。

 それはともかく、本題の発明の話に入るが、国産でもベラボーに高く、我々一般庶民には高嶺の花であった。

 『もっと安くテレビができないだろうか?』

 そうなれば我が家でも買えるし、女房、子供も喜ぶであろうと思い、独自の発想で新しい回路設計に取り組んだ。

 受像画面は電波測定用オシログラフを使い、これなら三〇〇〇円程度、真空管や電源トランスなど材料費を全て含めても一万三〇〇〇円で、当時のラジオの値段なみにテレビ受像機を製作したのである。

 それが新聞記事となり、この発想のもとに

 格安テレビ

 が生まれ、二年後には七万円台という半額以下のテレビ受像機が発売され、以後、どんどん安くなっていった。

 このことは、当時の新聞でも話題となっている。(下図の写真②)

人類を救うヒット商品開発法004


 当時、新聞記事の中で、

 『アメリカは二〇近くもテレビ放送局があり、セットは次第に複雑になっているが、日本は事情が違うから、無理してアメリカのマネをする必要はない。

 日本人の生活に合ったテレビセットといえば三万円前後でしょう。

 この程度なら顔を近づけても画像がちらつかず、十分と思っています』


 とコメントしたが、私自身でもテレビ産業がこれほど日進月歩するとは思わなかった。



人類を救うヒット商品開発法
第1刷発行:1995年3月2日
第3刷発行:1995年4月5日
著者:政木和三
発行者:神尾昭男
発行所:東洋経済新報社
    〒103 東京都中央区日本橋本石町 1-2-1
    電話 03(3246)5661(編集)
       03(3246)5467(販売)
    振替 東京3-6518
印刷・製本:丸井工文社
© 1995 <検印省略>
ISBN 4-492-04081-1
Printed in Japan




 政木和三先生とのご縁の始まりは、
昭和五年生まれの私の実父が小学生時代の頃より電気のイロハを教わり、
(実際に、電気ギター制作等々、様々な電気技術のご教授を、家族ぐるみのご近所付き合いの中で個人的に無償で賜ったそうです)
その後、御晩年には、政木先生の素晴らしいご発明品の集大成のひとつとして
“世のため、人々のため”に御余生をかけ陰徳にご尽力なさいました
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(改名機器、インパルス磁力線、そして、Mリング。すべての御販売は㈲政木研究所、㈲ケントにて)
の製造に至るまで、数々のお仕事をお世話頂き、
政木先生がお亡くなりになる最後の最後まで、私も含め家族ぐるみのお付き合いを賜わり、
今も尚、心の底よりとても尊敬し、感謝している恩師・師匠です。


 政木和三先生の廃刊御著書

以前に2014年7月18日より掲載させて頂きました

~誰にでもできる「精神エネルギー」の応用と実践~
『人類を救うヒット商品開発法』

を、現状のブログデザインに合わせて
再び掲載させて頂いております。


 政木先生の御教えである
『目先の欲望を捨て去り、世のため、人々のために尽力せよ!』
との仰せを引き続き継承するため、
今後も少しずつではありますが、
何度も何度も繰り返す、日々の心の学びの礎として、
政木先生の御教えのすべてをこれからも紹介させて頂きますので、
皆様には引き続きのお付き合いの程、
何卒、宜しくお願い申し上げます。

深謝
m(__)m





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