

ベースマガジン連載記事だった有名スタジオ・ミュージシャンへのインタビューをまとめた1冊。岡沢章をスタートに錚々たるメンツが並んでおり(失礼ながら一部例外あり)、早速拝読。当方は電子版でなく紙版だったが、775ページ・重さ925gのかなり重厚な本で読んでいて手が痛い…。活字は比較的少なめ、写真多めで入手当日に3時間程度であっさり読了。この手のインタビュー集でよく見られるのは、どうしても有名どころや大御所からインタビュー着手となって、読むに従ってメンツが次第に先細りになっていくという哀しい現実…。この本はそれにできるだけ配慮して順列したようにも読めるが、個人的趣向に強く影響され、どうしても興味の濃淡は発生する。インタビュー内容は生い立ちからのヒストリー中心で、インタビュアー制約のためか技術とか演奏・仕事、機材や楽器、サウンドへの考え方といった内容が稀にポツポツと出てくる具合であり、文字が少ないだけに行間を読まないと吸収がない。具対的な記述がとても少なく、全般的に教則的な内容が希薄なのが物足りない。全体の傾向として、ベースを弾き始めたのは偶々だった経緯、人との出会いで仕事が増えていくという流れは当然、必然に一般化している。スタジオミュージシャンに必要とされる譜読み(初見)に関しても特段のテクニックはなく、緊張を強いられる環境で数をこなすのが上達のコツという感じで全く取り付く島もないが、これは事実。かつてハ音記号、それはEを裏返したような記号でビオラ等の中域楽器の譜面で見られるが、驚異なのはその位置が上下動してEの中央線がハ音(=C)になるというもの。そんな恐怖の記譜でも、オーケストラスコアをPCに打ち込んでいる時にスラスラと読めるようになったのは事実で、これからも体感的な裏付けがある。読後に思うは、これは本の内容が冴えないのではなく、ワタクシが本に求めたものは、簡単に話者がインタビュー時に言語表現でき、文章で表現し、それを読者が再現できるほど容易な世界でない、ということ。そんなものを求めて読み始めたワタクシが下品でありました。
エフェクターを買う時の私的ポイントはただ一つ。それは「顔」。これまで面構えの良いエフェクトで外れたことはまずない。音を聞かずして見た目で確認できるので便利至極。「顔」とは言っても、それはメーカー内でデザイン統一されており、あとは機能に応じてノブやボタンの数が違うだけなのだが、ここに各メーカーのセンスが光る。そして今回はコレ!「MXR bass synth」見た瞬間からこれはイケてる!と直感して早速YouTubeのデモをチェック。そこでチェックするのはバリエーションとレスポンス。この手のベースシンセと呼ばれる機種は数多あり、以前使っていたラック型のマルチエフェクトの中にもあったが、レスポンスが悪すぎて全く使い物にならなかった。マルチなら他機能があるからまだ救われるが、このような単機でレスポンスが悪くて使えないとなったら廃棄しかない…。しかもこの手のベースシンセはエフェクトの中では結構お高い部類になるため尚更慎重ともなるのだが、YouTubeのデモを見ると、と、とてもイイ…(ウットリ)。レスポンス、いわゆる音の出だしとキレはとても良さそうに聴こえる。注意なのはデモは最適化されたセットで収録される可能性が高いので、このデモばりに自分の環境でイケるのか?という点。ただ、出音は往年のアナログシンセに近似していてなかなか良い。面構えもここ最近ではもっともイケている。アメリカ製なのにちょっと落ち着いた色のノブがシブいし、プリセットもできてエラく進化している。ダイナコンプの愛用者としては買わねば…と思い、思わずポチりそうになったが、ちょっと待てよ…これ、使うか?。家でミョンミョンいわせながら「独りカメレオン」(ハンコック)するぐらいしか使い道がないんじゃなかろうか?と急激にクールダウン。これまでやってきた数多のバンドでの使用シーンを回想しても、これを使う場面は過去にもなかった。ということは、おそらく未来にもない!もっとも好みのシンセベースはDX7IIにプリセットされていたデジタルシンセな音だが、フィリップ・セスがよく使ってたあのサウンドが出る機種が出るまで待とう(おそらく永久に出ない)。

翌朝。今日は越後湯沢までの移動で昼にこちらをでれば十分に間に合う。万一遅れても新幹線があるため昨日とは安心感が断然違う。早めにチェックアウトして駅ビル内のコーヒーショップで優雅に朝食をとり、その後は長岡の街へ。長岡といえばまずは山本五十六。記念館があるが、開館までの時間は長岡戦災資料館へ。長岡空襲(1945年8月1日深夜)が有名だが、なぜ長岡?については、軍需産業や石油産出が要因とのことながら、高岡と間違えられたとの説もある(長岡としてはマジ勘弁してほしいミス…)。さらには模擬原爆が投下されていたことを知って刮目。聞けば日本中に49発投下され、その中の1発がここ長岡に…。その後は山本五十六生家をみてから記念館に。路面は当然15cmほど積雪しているが、降雪はなく天気は素晴らしいほどの晴れ。記念館は凡庸でその付近にある河井継之助記念館にも立ち寄るが、最期の地は昨日只見線で通った六十里越峠付近、只見塩沢村。そういえば、昨日、会津塩沢駅に停車した時、駅名表示板よりも大きい河井の看板があった。河井は司馬遼太郎の作品で有名らしいが当方寡聞にして知らず。司馬史観もほぼ読んだことなし。(続)
Side StepsのMUSEA盤1枚目「OUT-AND-OUT」収録のライブ・バージョン。田村リーダー作曲、演奏は2009年5月30日の吉祥寺シルバーエレファントです。終わるとそそくさと退場しているところを見ると、ライブではおそらくセットリスト最後の演奏のようで、そそくさ具合から類推するに「この後アンコールやる気満々」な風が見て取れます。なお、MUSEAのスタジオ盤は一般的な音楽配信サービス上にもアップされており、無料で聞くことのできるSpotifyでSide Stepsを検索するとトップヒットするのがこの曲!この動画アップ時点で10751回再生されているのが驚異的。冒頭から15年以上前の演奏が懐かしくもあり、ちょっと恥ずかしくもあり、といった複雑な心境です。この曲のような田村リーダー作曲の場合、大体が譜面にコードとリズムイメージだけが書いてあり、スタジオで各メンバーが試行錯誤して組み上げていくスタイルになります。遠い昔の記憶では、この曲の指定はイントロのコードとキメのリズム、さらにAメロのドラムパターンのみ指定されていたような…。このライブでは伊東さんのピアノ鍵盤(正面向き下段)がリハ中に故障し、分解して解析(!!)を始めるというトラブルがあるも結局復旧せず、ライブハウス備品のピアノで乗り切ったという裏事情がありましたが、それを感じさせない演奏。ベースのワタクシだったら本番の演奏がメチャクチャになる絶対の自信がございます(この事件詳細は以下リンクを参照*1)。なお、映像をみていて不可思議だったのは自分が着ている衣装。こんな服持っていたっけ?とまったく自覚なく、ワードローブをみてもやっぱり無い…。「あれは何を着ていたのだろうか」と思われる映像は他にもあって、記憶から完全に欠落しているのが大変コワイ今日この頃。なお、このライブで初披露した伊東さん新曲「Cosmosphere」は、このライブ演奏をデモテープにして日経おとなのバンド大賞2009にエントリー。コンテスト基準に合わせて曲尺を大幅短縮した「Microcosmos」として、年末の全国大会にて初応募→初出場→めでたく全国優勝(グランプリ)となったのでありました。
*1) Side Stepsライブ 5月30日ドキュメント(1)






