今季の山雅は攻撃力向上を目指して得点数に関し、「勝ち点および総得点76」の目標を掲げている。
単純計算で1試合あたり勝ち点、得点共に2点の計算になる。
ところが、ここ5試合で奪った得点は6得点止まり、1試合平均1.2得点という状況である。
追加点が欲しいところで得点が奪えず、じり貧状態となってしまっている。
サッカーの戦術には大きく分けると二つに分類されます。
それは、ボールを保持しながら細かなパス回しで相手陣内へと攻め込みながら、相手の隙を作り出して得点を決めるというポゼッションサッカー。
もう一方は、引いて守りながら、相手のミスを誘いボールを奪ったら縦に速い攻撃で相手の守備網が整う前に得点を決めるという、所謂カウンターサッカーと言われる。
自分たちから能動的に動きながら相手ゴールを目指していく「アクションサッカー」と、相手にボールを保持させながら相手の動きに合わせて対応していく「リアクションサッカー」となります。
以前の反町監督が目指したサッカーはその意味で「リアクションサッカー」を標榜しながら、前線のターゲットマンにボールを集め、そこから素早い攻撃を仕掛けてきた。
ある程度相手に攻めさせ、相手にプレッシャーをかけることにより、相手のミスからボールを拾っていき、相手が攻めてできたスペースを利用し攻撃をしかける。
一昨年まで、山雅は戦いの中で、相手にボールを持たせゾーンで分厚い壁を形成し危険地帯には入らせない守備で、相手のミスを誘うような守備を志向してきた。
結果として相手にボールを持たせているが、相手は攻めあぐんで得点を奪うことは出来ない。
そして高い位置でボールを奪ってからカウンター攻撃を仕掛けて得点チャンスを演出。
攻撃の優先順位からいえば、こうした「ダイレクトプレー」があるはずです。
時間をかけずに攻めることができれば、相手に守備組織を整える時間を与えない。
そのために、前線にはスピードがあって相手の裏を狙える選手を配置する必要がある。
あるいは前線でボールを収めることのできるターゲットマンを配置してそこでボールキープしながらチャンスをうかがう。
昨日行われた日本代表戦も追加点が奪えず、何とか勝利したのであるが、山雅と同じような課題を有している。
それでも日本代表にはサイドにスピードで勝負できる前田大然選手を配置してトップにはボールを収めることのできる、上田選手が担った。
今の山雅のFW選手にはスピードで勝負できる選手、そして前線でボールを収めることのできる選手が不在となる。
霜田監督の目指すサッカーは、ボールを保持しながら攻撃的サッカーを目指すと公言しているのであるが、それでも今回の試合で選手間にチグハグ間が漂っていたのは確かな事。
ボールは自陣で回すのであるが、攻撃に転じても単純なミスや位置取りの悪さで攻撃の組み立てができず、可能性の低いパスを送ってボールを失う形を繰り返していた。
そして今季山雅には前線のターゲットマン不在のため、前線での空中戦やくさび役を担える選手が存在しない。
更にトップ下に入った選手たちも、速攻に繋げる状態であるにもかかわらず、前線でボールをこねくり回し、ボールロストしてしまう。
そしてサイドからのオーバーラップによる良い形でのクロスの形もあまり見られず、クロスボールも相手に跳ね返される展開。
何れにしても攻撃のバリエーションが少ないという事が、今の得点力不足を招いている結果であると言える。
今回途中交代で入った、山口一真選手は、果敢に裏抜けを狙って積極果敢な攻撃につなげてくれた。
更には、前線からアグレッシブに動き回りボールホルダーを追い掛け、守備にも奔走した。
GKと1対1の場面を迎えるも、そのボールを切り返し相手DFにクリアされてしまったのであるが、この場面はダイレクトでシュートを放つべきだった。
終了間際には山口一真選手、菊井選手、そして山本康選手が立て続けにシュートを放ち、決定機を演出したのであるが追加点を奪えなかった。
(山雅フォトギャラリーより)
もう明後日には次の試合が待っている。
無い物ねだりはできないが、
各選手が自覚をもって戦ってほしいところだ。