2011年の北信越リーグ以来Jリーグでの対戦は昨年山雅がJ3に降格して10年ぶりの『信州ダービー』となった。
その間、山雅はJ1に2度も昇格し、知名度では全国区となっていたが、AC長野は過去9年間、J3でくすぶり続けてきた。
AC長野は実績では長く、山雅の後塵を拝してきた。
チームの人件費や運営規模として山雅が約8億円に対して、長野は約3億円余り。
そして観客動員数でも昨年の記録で山雅が平均で約8600人に対して、
AC長野は平均で3700人規模となっており、いずれも山雅の方が優位な立場にある。
かつて松本山雅に在籍した宮阪選手は試合でも「正直、『パルセイロに負けるわけがない』と思っていた」と明かした。
これだけの優位な条件がそろっているにも関わらず、今現在の戦い方及び試合内容を観ても、AC長野の方が上回っていたのは事実である。
その決定的な違いは、相手を見下し、絶対に勝てると思う気持ちと、
一方山雅には負けられないという反骨精神が勝負を分ける綾となったのではないでしょうか。
そしてAC長野の快進撃を支える大きな武器に成長したのがセットプレーだ。
直接を含むセットプレーからの得点数7はリーグトップ。この数字も周到な準備から生まれている。
今回の試合でも最初の失点はAC長野のセットプレーからだった。
前半32分に左CKを得ると、キッカーである宮阪選手が選択したのは、山雅の意表を突くショートコーナだった。
このショートコーナによって相手選手のマークにズレが生じて、船橋選手がクロスを入れると、中央で待っていた秋山選手が、ほぼフリーの形で合わせて均衡を破った。
かつて宮坂選手は山雅に在籍しており、彼の正確なFKから沢山の得点チャンスを演出してきた。
直接FKの得点でJ2歴代最多16ゴールを誇っている。
沢山の得点を決められた理由は「松本山雅時代にソリさん(反町監督)から、たくさんのアイデアを教わった。それを若い選手にも伝えたい」とも語っている。(信濃毎日新聞より)
午前と午後の2部練習の時に集中的にセットプレー練習を行う日を設定し、精度を磨いてきた努力が実を結んでいる。
一方の山雅はFKから直接ゴールを生んだのは村越選手の1点止まり、それでも間接的にゴールに結びついた得点は4得点に及ぶ。
このセットプレーからのゴールで主導権を握ったAC長野の選手たちは攻守で躍動。
出足鋭い守備でピンチの芽を摘み、攻撃も空いたスペースに次々と飛び込むことで攻守に渡って山雅を圧倒した。
そして79分にも、杉井選手のクロスから、かつての山雅戦士であった山本大貴選手に追加点を決められて万事休す。
AC長野の選手たちは反骨精神をもって果敢に勝負に挑んだ。
AC長野と山雅の違いは、
そのような気持ちの部分で劣っていたのではないでしょうか。
常に挑戦者としての気持ちを忘れない、
おごりと怠惰は選手の気持ちと能力を劣化させるだけである。