金曜日の夜に行った、日本センチュリー交響楽団 第277回 定期演奏会のことを書きます。

指揮は、楽団ミュージックアドバイザーの秋山和慶さん、前プロがベートーヴェンの交響曲第4番、メインプロがソリストにチェリストのアントニオ・メネセスと楽団首席客演ヴィオラ奏者の須田祥子さんを迎えてのR.シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」でした。

  出演

指揮:秋山 和慶
チェロ:アントニオ・メネセス
ヴィオラ:須田 祥子
管弦楽:日本センチュリー交響楽団

 コンサートマスター:荒井英治

  プログラム

前半
ベートーヴェン:交響曲 第4番 変ロ長調 作品60

 第1楽章 アダージョ:アレグロ・ヴィヴァーチェ
 第2楽章 アダージョ
 第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
 第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ

後半
R. シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」 作品35

 序奏-主題
 第1変奏 風車の冒険
 第2変奏 羊の群れに対する冒険
 第3変奏 ドン・キホーテととサンチョ・パンサの対話
 第4変奏 行列に対する冒険
 第5変奏 ドン・キホーテの夏の夜のおもいで
 第6変奏 ドルシネア
 第7変奏 ドン・キホーテの空中騎行
 第8変奏 船出
 第9変奏 修道僧に対する攻撃
 第10変奏 騎士との決闘と帰郷
 終曲 ドン・キホーテの死

 

前半はベートーヴェンの交響曲第4番。オケの編成は12-10-8-6-5。

この曲は、9月に沖澤のどかさん指揮の京響定期演奏会()で聴いたばかり。今まで、余り生で聴いたことがなく、9月が2回目でしたが、今回は短い間隔で、また聴くことになりました。

京響の演奏で第1楽章の38小節に及ぶ長いゆったりした序奏の後、主題に移ってからは快活で疾走感のある曲とバックリした印象を持ちましたが、今回の演奏は疾走というよりも、秋山さんの指揮らしい正確で小気味よい明るい演奏だったように思います。

木管のフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットの響きが美しかったですキラキラニコニコ


後半は、R. シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」。僕は初めて聴く曲ですし、日本センチュリー響としても初演奏とのこと。オケの編成は16-14-12-10-8に拡大。ウインドマシンなど打楽器も多数並びました。

17世紀初頭に出版されたセルバンテスの同名小説に基づき、1897年に完成。「大管弦楽のための騎士のような性格の主題による幻想的変奏曲」という副題がついていて、主題で演奏される独奏チェロが主人公ドン・キホーテ、独奏ヴィオラが従者のサンチョ・パンサを表しているとのこと。
その独奏チェロのソリストがアントニオ・メネセスで、ヴィオラが須田祥子さんです。須田さんは、日本センチュリー響の定演だけでなく、8月に石田泰尚さん率いる石田組初の女性組員として演奏()されたのも記憶に新しい。一方、チェロのメネセスも一度聴いたことがあります。2019年のカーチュン・ウォンくん指揮・兵庫芸術文化センター管PACの定期演奏会()でショスタコのチェロ協奏曲を演奏されたのですが、第1楽章の途中で弦が切れて継続不能となり、張り直しにメネセスが舞台裏に戻っている間、アドリブでカーチュンくんが場を繋ぐトークをしたことの記憶が強烈に残っていて演奏自体は余り覚えていませんショボーン
 
交響詩「ドン・キホーテ」は序奏-主題、10の変奏曲と終曲で構成され、切れ目なく演奏されるのですが、それぞれ、物語になっています。プログラムノートにも記載があったので事前にざっと読みましたが、全部は覚えきれませんでした。

以下、ウィキペディアに記載されている物語を、転送させて頂きます。

序奏:ラ・マンチャの村に住む男が騎士道の本を読んで妄想にふけり、自分が騎士ドン・キホーテであると思い込んでいく。

主題:ドン・キホーテは従者サンチョ・パンサを引き連れ、冒険に出る。ドン・キホーテの主題が独奏チェロで、サンチョ・パンサの主題が独奏ヴィオラで奏される。

第1変奏:ドン・キホーテは風車を巨人と思い込んで戦いを挑むが、風で風車が回り、地面に叩き付けられてしまう。風は弦楽器のトリルで表現される。

第2変奏:ドン・キホーテは羊の群れを敵と勘違いして蹴散らす。羊は金管楽器のフラッター奏法で示される。

第3変奏:冒険が嫌になったサンチョ・パンサとドン・キホーテが言い合いをする。独奏チェロ・独奏ヴィオラの聴きどころである。

第4変奏:ドン・キホーテは、懺悔者の一行が携える聖像を誘拐された貴婦人だと思い込み、助け出そうとして一行に突入するが、叩き付けられて失神してしまう。

第5変奏:ドン・キホーテは、架空の恋人ドルシネア姫への思いに耽る。

第6変奏:ドン・キホーテは、通りかかった不器量な田舎娘をドルシネア姫だと信じ込むが、娘は気味悪がって逃げてしまう。

第7変奏:女たちにからかわれ、だまされて目隠しをしたドン・キホーテとサンチョ・パンサは、乗せられた木馬を魔法の馬だと信じて、巨人退治に夢中になる。ウィンドマシーンによって架空の飛行が奏される聴き所である。持続低音が、実際は地面に止まったままであることを表している。

第8変奏:川岸で櫂のない小舟を見つけた2人は、それに乗って囚われの王子を救出に向かうが、水車に巻き込まれて転覆し、ずぶぬれになってしまう。滴る水を弦楽器のピッツィカートが表現している。

第9変奏:ドン・キホーテは2人の修行僧(2本のファゴット)を悪魔と勘違いして襲いかかる。驚いて修行僧たちは逃げるが、ドン・キホーテとサンチョ・パンサは意気揚々と旅を続ける。

第10変奏:ドン・キホーテを妄想癖から治そうと、彼の友人カルラスコが騎士に扮して、決闘を挑む(トランペットで表現される)。ドン・キホーテはついに冒険をあきらめ、寂しく村に帰る。

終曲:ドン・キホーテは故郷の村で死の床にある。ドン・キホーテは静かに自分の生涯を回想する。チェロのグリッサンドによって彼の死が示される。

上述のように、ドン・キホーテがサンチョ・パンサと冒険に出て村に帰り亡くなるまでの物語ですが、コミカルな部分があったり戦いのシーンが想像できたりと楽しむことができる交響詩でしたグッ

メネセスと須田さんの掛け合いが会話のように思える素晴らしい演奏だったし、金管楽器が羊の鳴き声だったり、空中騎行のところでウインドマシンが使われたりと聴きどころが満載ルンルンまた、終曲でドン・キホーテが静かに亡くなるところのチェロの深い音は沁みました。

とてもよかったのですが、事前にもっと物語も頭に叩き込んでおけば、もっと楽しめたのではと思えてなりません。

「英雄の生涯」や「アルプス交響曲」に比べると演奏頻度が少ないように思いますが、次、機会があれば、事前にもう一度あらすじと楽器による表現をきっちり理解した上で聴きたいです!!

 
開演19時、休憩20分を挟み、終演20時55分。

当日券の発売もありましたが、客入りは80~90%とまずまず埋まっていました。

 
楽団と須田さんのtweetのリンクを貼っておきます。
 

 

https://twitter.com/sudasachiko/status/1728089308060406019?t=DPBUgKI_SMyqHcVrsfz2Zg&s=19