昨日は、京都市交響楽団 第677回定期演奏会を聴きに行ってきました。
2023シーズンの開幕で、第14代常任指揮者の沖澤のどかさんの就任披露公演。沖澤さんは2019年にブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し、その後、ベルリン・フィルハーモニー・カラヤン・アカデミー奨学生となり、キリル・ペトレンコのアシスタントを務めるなどの実績から、京響との共演は2021年10月の定期演奏会(★)の一度のみながら常任指揮者を要請され今シーズンから就任されたのです。僕は、その一度きりの定期演奏会がとても良かったし、先シーズンの友の会・会員イベント(★)でのトークや京響メンバーとのアンサンブル演奏も好感が持てたので、今シーズンは第九を含め月1回の演奏が聴ける通常定期会員になりました。今回のプログラムは前プロがメンデルスゾーンの序曲「ルイ・ブラス」と交響曲第4番「イタリア」、メインプロがブラームスの交響曲第3番です。
出演
指揮:沖澤 のどか(常任指揮者)
管弦楽:京都市交響楽団
コンサートマスター:泉原隆志
プログラム
前半
メンデルスゾーン:序曲「ルイ・ブラス」作品95
メンデルスゾーン:交響曲 第4番 イ長調 作品90「イタリア」
第1楽章 Allegro vivace
第2楽章 Andante con moto
第3楽章 Con moto moderate
第4楽章 Saltarello : Presto
後半
ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 作品90
第1楽章 Allegro con brio
第2楽章 Andante
第3楽章 Poco allegretto
第4楽章 Allegro - Un poco sostenuto
開演30分前の指揮者によるプレトークは今シーズンも継続されています。就任披露公演だけあって、プレトークからお客さんが一杯。常任指揮者に就任の御礼と抱負をともに、今回のプログラムの選曲理由などを説明されました。京響のYouTubeチャンネルにある就任披露演奏会に向けてのメッセージが、プレトークとかなり同じような内容だったので、参考にリンクを貼っておきます。また、プレトーク終盤では「京響」を言葉で発した時のアクセントがおかしいと、一昨日、京都の友人の方にダメ出しされたとの会場が和むような、面白エピソードも。YouTubeを見てもらえば分かりますが、確かに、関西人からすると確かにアクセントは変です
終日、オケの弦5部は、14-12-10-8-7。
最初のルイ・ブラスはこれに木管2管とホルン4,トランペット2,トロンボーン3とティンパニ。
YouTubeでもプレトークでも、演奏機会が少ない曲と、沖澤さんはおっしゃっていましたが、僕はたまたま昨年6月の上岡敏之さん指揮・読響の大阪定期(★)で聴いているので、今回は2度目。プレトークで、今回は第2稿で演奏しますって教えてもらいましたが、初稿がわからないので、僕はその件についてはなんとも言えません…
沖澤さんが言われた通りのドラマチックな曲。プログラム冊子には「緊迫した悲劇に相応しい内容を持っている」と増田良介さんと言う音楽評論家の方は記載されているけど、読響の時のプログラムには「悲劇にそぐわぬ華やかな終わり方にメンデルスゾーンがわざとしたとも言われている」と書かれていて、正反対な表現
僕の聴いてみた感想は、後者。悲劇に相応しいとは思えない華々しい曲でトロンボーンの音色が特に鮮やかでした
続く「イタリア」は就任披露に相応しいホントに明るい曲
オケの編成は、弦5部に木管2管、ホルン2,トランペット2,ティンパニ。
僕がこの曲を聴くのは、昨年10月、小泉和裕さん指揮・大フィルの京都特別公演(★)以来。
大フィルの演奏では、金管が目立ったけど、昨日の京響は木管の軽やかな演奏が良かった
演奏後、沖澤さんが真っ先に称えたのが、フルート首席・上野さん、続いて、オーボエ首席・高山さん、クラリネット副首席・筒井さん、そして、ファゴット首席の中野さんでした。
沖澤さんは後半のブラ3もそうでしたが、リハでは拘りを持って作り込み(今回、ルイ・ブラスでは第2稿を使用、ブラ3はマイニンゲンの伝統に基づいて演奏、との拘りをプレトークで説明されました。僕にはなんのことなのか全くわかりませんが)をしておき、本番ではあまり極端なキュー出しをするのではなく緩急のリズムと強弱のメリハリを身体全体を大きく使って表現するような指揮という印象でした
後半のブラームスの交響曲第3番。多分、ブラームスの交響曲の中で演奏機会は最も少ないのでは?と思うんですが、僕は音源はもっているものの生で聴くのは初でした。この曲を選んだ理由をプログラム冊子に記載しプレトークでも話されました。この曲でブラームスはF-As-Fの音列を用いているそう。これは彼の親友で当代随一のヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムの座右の銘、”Frei aber einsam(自由だが孤独に)"に対するブラームスの信条、”Frei aber froh(自由だが喜ばしく)”の略で、これが京響の新しい幕開けにぴったりと感じて選んだとのこと。
後半からは、クラリネット首席の小谷口さん、トランペット首席のハロルド・ナエスも登壇し、オケの編成は弦5部に、木管2管、コントラファゴット、ホルン4,トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ。
初めて生で聴いたので、他と比較することも出来ないけど、牧歌的な感じもありながら緊迫感もある曲
各パートの音が鮮明で、京響らしい、いい演奏だったと、贔屓目もあるけど思っています
クライマックスで盛り上がった後、最後は静かに終わる曲で、沖澤さんが手を降ろすまでフラブラもなく、その後、万雷の拍手とブラボー多数
カーテンコールの3回目のあとくらいに、楽団長で「出たがり屋」の京都市・門川市長がいつもの着物姿で花束を持って登壇し、沖澤さんに贈呈。沖澤さんはお辞儀をし受け取った後、何故か花束はソロ首席チェロ奏者の上村さんに渡され、上村さんがそれを頭上に掲げたのを見て客席が湧くという予想しない展開もあって、最後まで和やかな京響の新しいスタートとなりました
【第677回定期演奏会】
— 京都市交響楽団 City of Kyoto Symphony Orchestra (@kyotosymphony) 2023年4月15日
マエストロ沖澤と京響メンバーの気迫がホール全体に伝わる大熱演となりました!!
満員のお客様から、万雷の拍手とブラボーが飛び交い、あたたかな空気に包まれながら終演しました👏
ご来場誠にありがとうございました!京響の今後のさらなる進化にご期待ください! pic.twitter.com/4dmIOQL2xG
さて、今日も昼からこちら。
初「都響」で初「夜の歌」。期待もあるけど、不安も一杯です。