悪意アリ! -57ページ目

朝令暮改 その1

朝令暮改はやってはいけないことの代表のように言われています。

特に教育現場。


「子供が犠牲になる」

出ました!大義名分。


誰か提言したり、改革をめざすと評論家、(自称・心ある)政治家や教師が「拙速な変革はいけない」と大合唱。


不思議に思います。


誰も今の教育が最高とは思っていないはずなのに、なぜ変えることに文句が出るんだろう・・


奴らは「自分達の理想とは違うから新しい意見はとりあえず潰しておけ!今のままのほうがまだマシだ」と思っていると思ってる?



効きが悪い薬を飲み続けているなら、とりあえず薬を換えるのは常識です。

成果が一朝一夕で出るわけもありません。


薬を換えるのは患者のためです。

教育の場合は子供にあたります。



急な変更は子供に悪影響を与えると思っていませんか?

もし2か月も3か月も先の分まで予習をする子なら、混乱もするでしょう・・


子供の対応力を舐めてはいけない。

担任となじんだとこで産休になり、代わりの先生がやって来ても3日もすれば慣れるのが子供。

カリキュラムが変わったとしても、その前とその後の内容が矛盾するほど変るはずが無いでしょ?


主義主張がキツイ教師は、危機感を感じるかもしれませんがね。


たとえ学年の途中で教える内容が変化しても、子供はそれぞれを独立して学びます。

でないと、子供は新しいことを覚えられないことになってしまいます。

変化を拒絶するなら、算数の途中で九九が出てきたら、一気に難しくなるから現場が混乱すると言ってるのと同じです。


じゃあ、なぜ現場が混乱すると言うのでしょう。

教師が変化に対応できないから。

負担が大きくなるから。

けっして子供のためじゃ、ありません。


自分達がまごつくから子供に迷惑をかけてしまうんです。


教師に限らず、みんな手持ちのカードのみで新しい局面に対応しようとするから無理が来るんです。

新しいカードを取るのがつらいんです。

〇〇を教えなければならない。という風に考えてはいても、このカリキュラムを教えるためには何が足りないのかという考え方がてっぺんのお役人から末端の教師までありません。

硬直化した組織にはありがちな話です。


予算と人員の配分で解決するわけなんかないのに・・・


大阪の教師は低学力は家庭環境に余裕がないからだと、経済的な援助を知事に訴えていますが、どこまで豊かになれば大丈夫だと言えるのでしょう?

教育こそ貧困から脱出する最も強い武器なのに!

企業風土が崩壊したり、不況で就職難だから教育も崩壊したと勘違いしてはいないか?

今の枠組みを変える力になるはずなんだけど・・



確かに教師は疲弊しています。
これ以上の負担は殺人にも等しいかもしれません。

でも今のやり方だから負担が大きいんじゃないか?と一度疑問を持って欲しいのです。

新しいことを食わず嫌いにならないで欲しいのです。



朝令暮改で困ることを考えたけど、それは明日。

マイナー&メジャー その4 ある男 後編

その男はカウンセラーに検査結果のプリントを見せられ、告げられました。

「あなたに向いている職業は「人文科学系の研究者」です」


「・・・?」


「事務関係、教育関係、工学技術の開発、著述編集等にも適正が高いと結果が出ています。ただ性格の検査では親和性・・・共感したり気を配ることが苦手と出ているので、研究者が合うと思います」


「あの・・今までやってきた〇〇〇は?」

「あなたの手先は器用とは言えませんね・・あなたの年代としては人並みです。全年齢に当てはめるとしたら普通以下です」


「え、ずっと仕事を休んでいたとはいえ人並み・・か、それ以下・・」


彼はショックを隠しきれませんでした。彼は外見に似合わず小中学校を通じ足も速く、逆立ちやバク宙も得意だったのですから・・・
考えてみれば運動神経と手先の器用さは一致しないかもしれませんが・・・


「で、なぜ・・研究者なんですか?」


カウンセラーはプリントの項目をペンで指しながら彼に教え始めました。


「あなたは非常に特異な検査結果が出ているのです。一般の人なら知的能力、言語能力、書記・・、数理・・、知覚・・、器用さの配分が高いなりに、あるいは低いなりにバランスが取れているのですが、あなたは非常にバランスが偏っています」


まじまじと検査結果のグラフを眺める彼・・・
器用さを表すポイントのエリアは5段階の<E>を示していた。

・・・僕は不器用な(技術系肉体労働者)だったんだ・・・

でも現役当時は、天才と世間から呼ばれていた上司以外の職人に甚だしく劣るということは無かったはず・・
それどころか若手の職人と比べても、同じ年数で身につけた技術は圧倒的に多くて追いつける子などいなかったのだが・・・


「ごらんのように、〇〇〇に必要な能力は全て普通以下です。しかし、こちらの数値を見てください。知的能力、言語能力が非常にすぐれています。あなたの年齢では飛び抜けていると言ってもいい」

言われた能力のポイントは<A>のエリアの上位を示している。

「この数値は現役の国立H大、私立のKKDR大生と同レベルです」


一瞬、彼は喜びそうになったが、不審も感じていた。
彼のこれまでの半生で、そこまでの実績を残したことは無いのだ・・


「あなたの〇〇〇のレベルが人並みだとしたら、それはその能力のおかげです」


「・・・でも、実際にそんなに能力が高かかったとしても仕事の面接で若者と比べられたら、僕が採用されることは無いですよね・・・?」


「そうですね、一般にあなたの年代は学習力が衰えていると思われていますからね・・・それに、こんなご時勢だし・・」


「宝の持ち腐れって奴ですね・・・」

・・・長年技術系の仕事ばかりやってきた彼はある意味打ちのめされていた。それに基礎能力の高さが、彼の歳では何の意味もないことを知らないわけじゃなかった。

ただでさえ不器用なのが、この先衰えるばかり・・・けっして正当に評価されることはない高い能力。


その突然の天からの贈り物は降ってくる時期を間違えていた。
小学校か、中学校・・・せめて高校卒業までに知っていれば・・・違う人生になっていたかもしれない。


「この能力って具体的にいうと、どれくらいなんですか?」


「予習、復習をしなくても授業を聞いていれば全部理解できるレベルです」


・・・あー、予習復習をしないところまでは合ってた!


「わからない人が理解できないって思ったことはありませんか?」


それに関しては心当たりが無いでもなかった。

若い職人に仕事を教える時に、
「××さんは先輩ぶってわざとややこしく教える」という不満がよくこぼされていたのだ。

彼としては、彼のやり易いように、覚えた通りに教えているだけだったのだが・・・

上司が嘆いていたことも思い出した。彼が難しいことをベテランのようにこなすかと思えば、見習いがするようなことができなかったりするから仕事の配分が難しいと言っていたことを。


「ただこの能力の偏りは*********の傾向とも近いですね・・あなたの受け答えから判断するに明白な特徴は見られませんが、専門医を紹介しましょうか?」


2度目のガーン!

「最近はやりの******って奴ですか?」

「その傾向があるというだけです。******は病気ではありません、脳の癖のようなものです。この際、腰を落ち着けてあなたに合う職業を見つけませんか?自分のことを知っておく方がいいと思いますよ」


彼はクラスメートと常々意見が食い違う小中学校時代を思い出し、その理由をはるか未来に知るとは思いもしない自分の姿をゆらめく光景の中に見た。


「やっぱりマイナーだったんだ・・・・」


一応、終わり。



※あくまで、この話は実話に基づき再構成したフィクションです。

マイナー&メジャー その3 ある男 前編

もしかしたら自分はこの世界には場違いな人間なんじゃないか?と思ったり・・・

夢見がちな人なら、自分には秘めた才能が隠れていて、本当の自分に相応しい場所がどこかで待っているんじゃないかとか・・・

親は本当の親じゃなく、大金持ちの親が事情があって自分をこの親(仮)に預けているんじゃないかとか・・

なんて思ったことありますよね。



これはそこまでドラマチックではないけど、薄々自分はみんなから浮いてんじゃないかと思っていた男の物語です。

(ちょっと長いです)



その男は小中と、宿題もせず、予習復習も試験勉強もせず、塾も行かず、ただテレビと本屋の立ち読みを楽しみに暮らす少年時代を送っていました。

学校では口数は少なく積極的に自分から遊びに誘う子ではなかったけれど、数人の友人はいました。

授業中もノートに落書きばかりしていて先生の話も聞いていなかったわりには成績は普通。

良くも悪くも無く・・・普通。

先生は「君はやったらできる子なんだよ」と諭しますが、彼はそのときは良い返事をしても頭の中は今夜のテレビ番組のことでいっぱい。


しかし地道な勉強をせずに通用するほど学校は甘いところではありません。


彼は新設の高校にかろうじて受かり・・・心を入れ替えずに、やはりノホホンと3年間すごします。

もちろん勉強なんてしやしません。
せいぜいが試験の朝に教科書を1教科あたり30分も読めばいい方です。

理数は赤点を取るほど・・・

それでもなぜか彼は自分が大学に行けるものだと思い込み、受験します。


当然、全滅。


1年間予備校に通うことになりました。

そこでは課題の予習は必須だったのですが、問題を書き写してノートを埋めるという姑息な手段で誤魔化し続けます。

朝の英単語の小テストではいつも及第点を取れませんでしたが、書き取りをやらされたのは役に立ったと後に彼は語ります。


受験前に選択科目のおさらいをやったところだけが試験に出るという僥倖に恵まれ、なんとか一校だけ受かります。


入学後はフルでバイトをしながらでしたが、クラブ活動にも精をだし、それまでの分を取り戻すかのように勉強をします。

・・・好きな講義だけですが。


それ以外の成績は中の上、上の下というところ。


まあ、とりたてて頭がいいとは言える子ではなかったわけです。


クラブ活動は武道系なのですがノーテンキな彼は何を血迷ったか、もっと強くなりたいと願い転勤の無い小企業ばかり面接を受けました。
またさらに何を考えたのか、もっとも苦手とする営業職を希望します。
前年、一人で当時のソビエト連邦、モンゴル人民共和国を1ヶ月旅をしたので自信をつけてしまったのでしょうか?

当然、半年でノイローゼ気味。

ちょうど学生時代にバイトをしていたところが誘ってくれたので転職します。


親会社が倒産。


しかたなく故郷に帰り、小さな会社で再出発をしますが、そこの社長一家が認知症の母親を引き取り、職場が荒れだします。

逃げるように退社。


またまた誘いがあり、故郷を離れ技術系の肉体労働をはじめますが、年齢も年齢なので技術を得て一人前になるのは無理と判断され、資格を取って業務の補助をするように言われます。


どういうわけか資格試験はほぼ満点で合格。
そのための予備校があるのですが、50人いた生徒中、受かったのは3人ぐらい。

授業は真面目に受けるといいことがあるようです。



何年かすると欲も出てきて、本来の業務の技術を覚えたくなったのですが、そこの社長の方針と合わず退職を余儀なくされます。


同業の他社につてを頼って教えを乞うのですが、やはり年齢を理由に断られ資格をあてにされてしまいます。


たまたま一時だけの手伝いを探していた会社があり、2ヶ月程参加。

その会社の職人の長はその仕事をするために生まれて来たのかというくらい・・・天から授かった才能に恵まれた人でした。彼は来るものは拒まず、去る者は追わずという考えの持ち主でした。


その人に頼み、地元の人の紹介もあったことから技術を学ぶことを許されました。


仕事が楽しくて楽しくて、新しい技術をどんどん吸収できた日々。


将来の独立を夢見ていたある日、彼は病魔に侵されます。


やむなく退職せざるを得ませんでした・・・


それから2年間、元の仕事に戻る希望をわずかに持ちながら療養を続けますが、なかなか芳しくなく・・


体力は戻ることはありませんでしたが、ようよう動けるようになってきたので職を探すことにします。

もはや復帰は無理と見切りをつけますが、さて何をすればいいのかわからない・・・


職業カウンセリングセンターに相談に行くことにしました。



そこで適性検査を受け、驚愕の事実が発覚することになるのです。


その事実が、彼をさらなる迷路に追い込むことになろうとは知る由もありませんでした・・・



続く。



<予告>

検査結果は彼がある意味、マイナーな存在であったことを気づかせたのです・・・



※ これは実話に基づいて再構成したフィクションです。

マイナー&メジャー その2

マイナーな世界に所属すると、今まで気づかなかったことが見えてきます。

下垂体機能低下症の原因になったのは、下垂体腺腫というわりと脳腫瘍界ではメジャーな腫瘍なのですが、術後の3ヶ月間、尿崩症というのになりました。

抗利尿ホルモンが分泌されなくなり、ビックリするほどおしっこが止まらなくなります。

我慢なんてできたもんじゃない。

入院中15分毎に便所に行き、ほとんど水と言っても過言ではないおしっこが大量に出るのです。

それを停める薬があるのですが、
たった0,1ml鼻腔に噴霧するだけで1日は正常に戻ります。


僕は昔からおしっこが近くて、授業の1時間が我慢できなくて脂汗を流したことが何度となくありました。
子供の頃、病院で検査もしたけど原因はわかりませんでした。

教師は休み時間に便所に行っておけとか我慢が足りないだとか・・・散々。

・・・そもそもホルモンの分泌に問題があったようです。


でもたった0,1mlの薬で我慢できるようになりました。

我慢できないというのは緊急を要するということ・・・昔からしてきた我慢はほとんどエマージェンシーコールが鳴りっぱなしの状態でした。

薬を吸入すると尿意が催しても、あと1~2時間は辛抱できると判断できるくらい余裕が生まれました。


世間の皆々様の「我慢」ってこの程度のモノだったんだと、あらためて理解しました。

これを「我慢」というなら、今までの僕の体験は「地獄の業火に晒されてきた」レベルです。

戸愚呂・弟のように1万年地獄を味わうことも可能なんじゃないかと思えるほど・・


世間の「我慢」はたった0,1mlの薬液でまかなえる程度のモノだったのです。



成長ホルモンは子供にだけ必要なのかと思っていたら、成長が停まっても筋肉、骨の維持や気力を保つために不可欠のホルモンらしいのです。

術後、あまりに疲れやすく気分が落ち込むのでうつ病を疑い、処方された薬も服用したのですがテンションが異常に上がるばかりでさっぱり改善されません。

試しにホルモン検査をやって原因がわかったんですがね・・・


うつ病の薬の後遺症ってあります。
服用中はやたら泣いたり笑ったりしてたのが、やめてから2年間ほど感情が壊れたようになり・・3年たった今でも悲しくても、いまだ涙が出ません。最近身内が死んだのに・・

実際当時は、体調不良の原因もわからず、大工仕事にも身体がついていかず荒れてたけど・・・


でも見た目が健康そうだから、やる気が無いように見えるわけですよ。


そういえば、どんなに風邪をひいても37.4度以上にならなくなりました。

昔の感覚では39度近いと思っていても・・

(昔は、土に埋もれてた鉄筋が足に刺さって41度まで出て幻覚をみたことあったけどね)


ちなみに今朝の寝起きの体温を試しに測ったら34,8度。

今は36,0度。低めっていう程度か・・・

日によっちゃ6度までいかないときもあるし・・・バラバラ。

よくわからん。


フラフラになっても熱が何度あるか言えなかった。

(世間話のように聞いてくる奴が多い)

事情を知らないのがいたら、あからさまにイヤミを言われるから・・・




気力が体力を超えるって思ってる人がいます。

バカです。

気力と体力は同じものです。

「気合い」を口にする奴はたいてい健康バカです。


ホルモンがコンマ何ml人より多く出てるだけです。



そんなことを思い知る機会に恵まれなかった奴らが常識をこしらえてると思うと、目眩がしてくる。



ある人は肉体と精神の性別が合わないことを自覚したから、「常識」が胡散臭いことに気づくことができたのだと思います。



つづく

性同一性障害・・・マイナー&メジャー その1

埼玉県の公立小学校で2年生男児が「性同一性障害」と診断され女児として通学をはじめたそうです。

県教委も緊急調査を実施し、小中高で深刻な相談が(表に出てるだけで)十数件あったそうです。

今さらながらでも、一歩前に進んだことは喜ばしい限りです。


校長先生か、担任教師か知りませんが、子供の心に寄り添える人間がいたことは心強く感じます。



想像力に欠けた人は、簡単に「病気」とか一過性のモノとして解決を先延ばしにしようとするか、無かったことにしようとするか・・・酷い時には一喝すれば収まると思ってるような者もいます。


思春期の少年は一時期、同性愛傾向にある場合が多いものです。
たまたまその時期に自分の変化に気づいて、今の溢れる同性愛情報に触れると混乱するかもしれませんが・・・

しかし「同一性障害」はもっと根源的な自分の問題・・・社会で自分が属するグループと自分自身への問いかけを夜昼無く繰り返したゆえの結論でしょう。

しかし、その何百何千回もの自答自問を汲み取ることなく、一言で片付けようとする者のいかに多いことか・・・


性同一性障害とは別に男性と女性の両方の身体の特性を持つ人間もいます。

実際には肉体的に完全な男、完全な女というのは無いモノらしいのですが・・・

肉体的にも、脳の器質的にも男女の境目は神様はキッチリとは区別をつけてくれていないようです。


せめて先生も、親も「そんなこともあるんやろなー」ぐらいでゆるーく生きていって欲しい。


子供の時に、身の回りにそんな子おらんかったんかな?

小中の同級生におったけど・・


少人数制の学級は学力を均等にしようが、満遍なく配置しようが、どうしても多様性とは遠くなってしまうものです。
たまたま少人数の学級に、大多数の人とは違ったアイデンテティーを持った子がいたら、その子を知らない子供が増えるということになるのです。
他の学級には「噂」しか届かないからね。

「アイデンテティー」に相応しい言葉をまだ日本人は持てていないんだ・・・



マイナーに所属することはけっこうしんどいよ。

今月、特定疾患の患者に認定されました。

間脳下垂体機能障害というグループに所属することになりました。

そのグループは日本に3万人程いて、またその中の7つのグループの一つ、下垂体機能低下症という下位グループになります。
つまり日本には何千人しかいないマイナーグループです。

ホルモン分泌の障害だから見た目からはわかりません。

薬でコントロールしてるけど、波が激しくて面倒です。

人に説明するのも面倒です。

でも、しないといけないときもあるし・・・

想像力の欠けた人に説明するのは不可能に近いし・・・


肉親でもね。


つづく・・