「地球の表面は赤外線のエネルギーを放出して冷えようとしますが、大気中に存在する二酸化炭素などの温室効果ガスが、逃げようとする赤外線を吸収して、また赤外線を放出します。放出された赤外線の一部は地表面に戻ってくるため、温室効果ガスには地表面付近をあたためる効果があります。実際にはこの過程はもっと複雑です(大気中にはたくさんの二酸化炭素分子があり、赤外線の吸収・放出が繰り返されますし、二酸化炭素分子は周りの窒素や酸素の分子と衝突してエネルギーをやりとりします。他にも水蒸気などの重要な温室効果ガスが赤外線を吸収・放出します)。その複雑な過程を考慮して、大気の中での高さ方向の赤外線のやりとりによって地球の気温が決まることを初めて精密に計算したのが、2021年にノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎さんの研究(Manabe and Wetherald, 1967)です。そして、真鍋さんはその方法を使って、大気中の二酸化炭素濃度が2倍に増えると地表付近の温度が2℃程度上がるという計算結果を得ました。 以上から、理論的には、二酸化炭素が増えると地球が温暖化する「はず」であることがわかります。」(国立環境研究所)