「永遠と横道世之介」を読んで | 青空にTシャツ、片手にビール時々鉛筆

青空にTシャツ、片手にビール時々鉛筆

少し暇な時間が出来たので、何の脈略もない部屋になりそうですが、童心に返って絵日記風に始めてみます

お久し振りです

それなりに元気に本を読んだり

懐かしい友に手紙書いたり

いい時間過ごしてました

 

吉田修一著
永遠と横道世之介
上・下巻

 

昨年ブローガーさんが

取り上げておられたお薦めの秀作

 

地元の図書館に予約したのが秋

人気本のようで3ケ月近くかかって

順番が回って来たのは

昨年の年末でした

 

年賀状を書いている時期と重なり

少しづつ少しづつ読み進めました

 

『横道世之介』はシリーズ物で

今回が完結編とのことでした

 

9月にブローガーさんが紹介された

『横道世之介』は1作目で

 

2作目が『続横道世之介』

3作目が完結編の

『永遠と横道世之介』の上下巻

 

そんなことも露知らず

最新版がよかろうと予約したのです

その後ブローガーさんによって

『永遠と横道世之介』も紹介され

完結編であることを知りました

 

著者が前作を読んでない読者のため

簡単な説明を入れているとの

ブローガーさんの情報もあったので

『横道世之介』を読むことなく

いきなり完結編から

読み始めました

 

時は2007年(平成19年)

9月から翌年8月の1年間

ひと月ごと章に区切られ

タイトルが付与されています

三月以降が下巻

 

舞台は東京郊外に建つ下宿

『ドーミー吉祥寺の南』

「吉祥寺」ではないのです

吉祥寺の南というのがいい(笑)

 

そこに暮らす下宿人たちと

下宿を切り盛りするあけみさん

そしてあけみさんと事実婚ぽい男が

39歳のカメラマンこと

主人公の横道世之介

 

世之介が主人公なのですが

登場してくる人物がすべて

素敵な主人公張りの

ゆるキャラの面々ばかりで

そんな素敵な面々が繰り広げる

何気ない一日が綴られた物語

 

 

小説を読み進むうち

自分たちにもあったキラキラした

あの時代の事が思い出され

 

そんな時代を共に過ごした友に

急に会いたくなってきたり

話したくなってくる

そんなノスタルジックな気持ちが

芽生えてくる物語でした

 

折しも年賀状を書いている時期で

数人の懐かしい顔が思い出され

気が付くと何年も年賀状を

出していなかった古い友に

年賀状を書いていたのです

 

長らく会っていなかった友が

ここ数年、会えぬまま

逝ってしまったこともあり

生きてる間に会っておきたい

そんな思いにも駆られ

年賀状を書いていました

 

そんな思いにさせてくれるのが

主人公の横道世之介かも

 

下巻になるとその思いが

更に強くなっていきました

 

世之介と会った人は皆笑顔になり

そして世之介のことを思い出すと

いつも世之介は笑っている

 

いいですよね、こんな人、憧れです

 

出会えたことが嬉しくて可笑しくて

そしてちょっぴり寂しいような

 

そんなところが青春小説の金字塔と

言われ理由なんでしょうか

なんとなくわかります

 

39歳のカメラマンが主人公なのに

青春小説と言われたのは

舞台が下宿屋だったからかも

 

登場人物のひとりひとりが

横道世之介の事が大好きで

憧れの人なのかもしれません

 

読者も読み進むうち同じ気持ちに

なっていくのではないでしょうか

 

この物語は話の筋ではなく

世之介という人となりに惹かれ

彼を好きになっていく

彼に会いたくなってくる

そんな物語だと思うのです

 

世之介の恋人だった二千花さんの

実家が鎌倉の海の近くにあり

鎌倉も小説の舞台として出てきます

鎌倉の海という設定もいいですよね

 

5年前に観た海が思い出されました

5年前、横浜の国立大ホールで

吉田拓郎のラストコンサートがあり

その帰りに立ち寄った鎌倉の海

 

小説の中の情景通り

サーフィン波を楽しむ

老若男女で賑わってました

 

いい本を紹介して頂き感謝でした

久し振りの上下巻の長編を

遅読故に1ケ月かかりましたが

 

忘れられない一冊となりました

 

この本が読んだことで

何年も出していなかった

懐かしい友へ年賀状を出したり

 

その学生時代の親友から

元気な喜びの返事が届いたりし

近々会うことにもなりました

 

中にはもう返事は来ないなと

諦めかけていた後輩からの手紙が

新年も開けて20日近く経って

漸く届いたということもありました

 

それは悲しみを綴った手紙でした

 

何から書けばいいのか迷って

遅くなってしまいました

という書き出しで始まった長い手紙

 

昨年末、最愛の妻Jちゃんが

亡くなくなったという悲しい事実と

彼が如何に奥さんを愛していたか

という切ない思いが

ぎっしりと詰まった手紙でした

 

手紙を読んでるうちに

『横道世之介』の小説の続きを

読んでいるような錯覚に陥りました

 

奥さんも我らの仲間でした

あの可愛い笑顔を思い出すと

慰めの言葉すら浮かばず

悲しみだけが押し寄せてきました

 

返事を書くのに3日かかりました

 

今考えると

何年も出していなかった年賀状を

あの時彼に書こうと思ったのは

この本を読んでいたからだけではなく

 

ひょっとしたら亡くなったJちゃんが

残された彼の事が心配で

ぼくに年賀状を書かせたのかも

 

そんな思いに駆られるのも

物語の横道世之介と

出会ったからかも知れません

 

後輩は瀬戸内の小さな町に

移住していました

引越して一年経っていなかったので

年賀状は転送され届いたようです

 

瀬戸への移住は

余命宣告を受け

瀬戸内に生まれた奥さんが

最後はふたりで海に近い自宅で

過ごしたいという希望だったそう

 

でも、移住して半年で

旅立ってしまわれたそうです

いや半年ふたりの時間がもてた

と考えるべきかもしれません

 

3日かけて書いた返事は

長いばかりで

言葉足らずの手紙でした

 

言葉に出来なかった言葉たちが

「永遠と横道世之介」にはあるかも

この本を読んで横道世之介に

出会ってもらおうと考えました

 

横田世之介と余命宣告を受けた

恋人だった二千花さんの

会話はまるで後輩とJちゃんの

会話のような錯覚を覚えました

 

※世之介と二千花の会話の抜粋

大幅に減所ってありますが💦

あのさ、実は私

余命宣告受けてるんだよね

・・・長くてあと一年

引いた?ちょっと引くよね?

 

ありがとう。言ってくれて

引いてないよ、聞いた瞬間

会えてよかったって思った

 

でも、後悔したでしょ?

 

まさか、今、もっと好きになった

 

でも、もう時間ないもん

 

好きって気持ちに時間は関係ないよ

好きって気持ちは強さが大切なんだよ

 

嬉しいけどその気持ちに

応えてあげられない

 

もう応えてもっらてるよ

この瞬間だけでももうおつりがくる

 

長い手紙を投函した後

近くの本屋の在庫検索をすると

ヒットしたのでその足で本を購入し

ご仏前と一緒に送付しました

 

表紙の鎌倉の海が

瀬戸内の海のようにも思えました

 

彼が少し落ち着いてきたら

瀬戸内の小さな町を訪れよう

二人の話をいっぱい聞きに行こう

どんな素敵な時間があったのか

そんな話を聞かせてもらうため

 

横道世之介さんだったら

きっとそうするのでは・・・

 

彼と最後に会ったのは

消防の再任用期間も終わった5年前

ふたりが大好きだった龍馬を訪ね

寺田屋で待ち合わせた時でした

寺田屋の2階から下を見ると

後輩I君が満面の笑顔で

待ち人を探していたのです

 

こいつこんな素敵な笑顔をするんだ

抱きしめてやりたくなるような

まるで恋人を待ってるかのような

この笑顔にJちゃんも

惚れたんだろうなルンルン

 

横道世之介を読んでいる時

そんな彼の笑顔を思い出し

年賀状をしたためていました

 

 

そんなこんなで、なかなか

自分のブログには手が付けれず

久々の取り留めもない

長い投稿となってしまいました

 

読書感想でもなく紹介でもなく

読書に纏わる拙い話に

長々とお付き合い頂き

ありがとうございました

 

今日は懐かしい友が四国から

会いにきてくれます爆  笑