【生きるチカラと子育ての方向性を感じた事件】
こんにちは。
子どものこころのコーチング協会
インストラクターの浜田悦子です。
この夏も猛暑でしたね。
今日は、猛暑の中で起きたわが家の事件について、お話しさせてください。
自閉症スペクトラムと診断されている、小学5年生の息子のお話です。
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マイナスからの出発
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夏休みのある日、家族でお好み焼きを食べに行くことにしました。
「家族で外食」
ご家庭によってはなんてことないことかもしれませんが、わが家の息子にとっては一大イベントです。
自閉症スペクトラムの息子は、聴覚や触覚の過敏や見通しを持ちにくいという特性を持っています。
それゆえ、外出がとてもとても苦手なのです。
学校は頑張って行っていますが、できれば行きたくない。
週末は自宅から一歩も出ず、家族での外食も2カ月に一度あるかないかの割合なのです。
(行くお店も決まっています)
この日も、毎日のご飯作りに疲れたわたしが、
「たまには外で食べたい」
とお願いして実現したものでした。
ですので、息子としては本当は行きたくない。
でも、ママが行きたいって言ってるし・・・
お好み焼きだったら行ってあげようかな・・・
お好み焼きを食べたい気持ちよりも、外出したくない気持ちが勝っていたと思います。
マイナスからのスタートでした。
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パニックと葛藤
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猛暑の中、20分ほど歩いて到着したお好み焼き屋さん。
いざ、入ってみるとなんだか違和感がありました。
夫が店員さんに聞いてみると、
「ランチは定食のみです」
との返事が返ってきました。
自宅を出る前に電話をして営業時間を確認したのですが、内容までは確認していませんでした。
お好み焼きモードだった浜田家は、みんながっくし・・・
お好み焼きがダメでも、和・洋・中、色々な選択肢があるのに、息子はなかなか食べたいものを決めることができませんでした。
そんな息子に、わたしもイライラ。
結局、息子はパパとラーメンと食べることになり、わたしは買い物をして自宅に帰ることにしました。
今思うと、この時すでに息子は小さなパニックを起こしていたのかもしれません。
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発達障害がグレーゾーンの子どもたちは、「見通し」が崩れることでパニックにつながることがあります。
未就学の頃は、息子もパニックがとても多い子でした。
当時は、クラスから脱走したり、先生に噛みついてしまったりと、目立つ行動に出ていましたが、最近は自分で回避したり対処できるようになっていたので、息子の戸惑いに気付いてあげることができなかったのかもしれません。
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猛暑の中で行方不明
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薬局で買い物をしていると、
「りゅうちゃんが逃げた」
夫からLINEが届きました。
意味が分からずに電話をすると、
“ラーメン屋さんに行く途中、息子が住宅地へ走って逃げてしまった
すぐに追ったが、姿が見えなくなってしまった“
という内容でした。
(もう!何やってるの!?)
わたしは、心の中で何度も呟いていました。
息子が逃げた方向は、わたしでも迷うほどで、息子は足を踏み入れたことがありません。
自宅から保育園、自宅から学校、自宅から駅までの道しか一人で歩いたことがないので、息子に追いつけなかった夫に怒りが湧いていました。
年長の頃は、歩いて5分のスーパーからも迷ってしまい、ひとりで帰ることができない子でした。
どんなに近い距離だったとしても、行きと帰りの道では見える景色が違うんですよね。
発達障害やグレーゾーンの子どもは、その違いを「スーパーの道」と統合して考えることが難しいことがあります。
この時すでに、自宅を出てから30分経過。
水分補給なしに手ぶらじゃん!
猛暑だし住宅地は人通りも少ないんじゃないか?
さらには、苦しくても暑くても、臨機応変にマスクを外すという選択肢がない息子が浮かび、わたしの頭は「熱中症」というワードであふれていました。
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生きるチカラ
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息子が走って逃げた方向や駅への道を何度も自転車で往復しても、なかなか息子は見つかりませんでした。
交番に相談しよう…
そう思い交番へ向かっていたら、前からフラフラと歩く息子の姿を見つけました!
探している時は、命に関わることでもあったので、きつく叱らなきゃ!と思っていたのですが、息子の顔を見た途端、わたしの口からは、
「暑かったね、お水飲もう」
という言葉が出ていました。
息子の全身からは、暑い、疲れた、こたえた、怖かった、苦しかった、ママに会えた・・・という想いがだだもれ。
充分に反省しているのだと感じたのです。
少し落ち着いてから聞いてみたら、やはり迷子になってしまっていたようです。
でも、「電柱の看板を見た」と、自宅と駅をつなぐ道に戻ってこれたことを教えてくれました。
心臓に悪い事件だったし、寿命も間違いなく縮まりましたが、生きるチカラが育ってきたんだなぁとうれしくなりました。
とは言っても、わたしの声かけが正しかったのか?は分かりません。
結局、息子には
「そっか。脱走したくなる気持ちはわかる。
でも、今は熱中症が心配な時期だからね。」
と、伝えただけ。
(パパに何か言われて嫌な気持ちになっていたそう)
命に関わることだったので、もっと念を押した方が良かったのか?と、考えることもあります。
でも「これで良かった」と息子の生きるチカラと自分を信じて、これからも子育てしていくしかない、と思っています。
息子がパニックになっている中で、わたし自身もパニックになっていました。
でも、自分の中にある不安を感じた時にこそ、見ないフリをせずに向き合うことで、自分を立て直したり、落ち着ける方法があると分かっていることは、わたしの子育ての方向性を決めるものにもなるのだと改めて感じた事件になりました。
もうお腹いっぱいですが(笑)
最後までお読み下さりありがとうございました。
子どものこころのコーチング協会
インストラクター 浜田悦子