あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします^^
年末に本を読みました。
私が出産して間もなく、知人の方から頂いた本でした。
薄い本なのに、なかなか読めなくて。
大事に本棚に入れていたのですが、
こどもアトリエの試行錯誤の参考にと、
積読脱出。
これは大切にしたいなあと思うことがたくさん詰まった本でした。
年初めに、みなさんとシェアさせて頂きますね。
松岡享子さんは、翻訳家、児童文学研究者で、東京子ども図書館を設立された方です。
ディック・ブルーナーの「うさこちゃんシリーズ」や、「クマのパティントンシリーズ」の翻訳を手掛けた方です。
木城えほんの郷は、宮崎県にあります。いつか行きたい場所です^^
たくさん付箋を貼ったのですが、そのひとつを紹介しますね。
妨げられない大きなかたまりとしての時間
ここに『子どもが孤独(ひとり)でいる時間(とき)』(こぐま社1988)という本があります。私が訳して、自分でもこの本を訳せたことをとても誇りに思っている本ですが、この中に、創造性とか独創性、物を創り出す力ークリエイティヴィティ(Creativity)ーはどういう条件でできるかということが書いてあるんです。その中のひとつの条件が「妨げられない大きなかたまりとしての時間」です。これはものすごく大事なことです。「妨げられない大きなかたまりとしての時間」が、人が創造的であるために欠かすことのできない条件なのです。
5分刻み、15分刻みで、「今何します」「次に何します」「この次は何します」。「次は塾へ行って、塾から帰ってきたらお風呂に入って、テレビを見て」、なんていう生活をしていたらクリエイティヴィティというのは育たない。放ったらかされて、自由があって、そして、妨げられない時間があったら、どんな子どもでも、クリエイティヴィティを発揮するチャンスがある。
クリエイティヴィティになる種は子どもの中に全部あるの。それは特別な人でなければだめなのではないと、この本にも書いてあります。誰でもが知っていることを、ちょっと違った形で組み合わせることが創造性ということであって、それは、特別な才能のある芸術家だけが持っているものではなく、誰でもが持っているものなんだ、と。それを発揮させるためには、いくつかの条件があって、その中の一番大事な条件は「妨げられない大きなかたまりとしての時間」といことなんです。それを今私たちは子どもに与えることができているかどうか。私たちが子どもの生活に、なんというか、指を突っ込んでゴチャゴチャひねくりまわしていないだろうか。
戦後のどさくさのときには、大人たちは生活に一生懸命で子どものことを顧みる暇がなかった。そのことが私たちに幸いして、放ったかされたことによって自由があった。授業がちゃんとなされなかったために時間があった。まあ、それで遊んだこと!その遊んだことが、やっぱり何か、精神のとても大きな力になっていると考えます。
今のように、忙しい忙しい時間を子どもに強いていると、子どもはだんだん、ちまちまちまちました人間になって、本当にクリエイティヴな生き方のできる人間にはなれないのではないかと心配します。昔と違って今は、子どもが妨げられない時間を持つ、退屈するというような状況をどうやって作りだすかということを、大人が考えなければならない状況です。「ぼーっとしてたらだめ。何かしなさい。」というのではなく、「あー、ぼーっとしているって、いいこと」って思ってくれる大人を増やさないと。
というのは、「ぼーっとしている」と見えるときには、意識の下ではものすごくいろんなことが起こっているんです。それは、その「ぼーっとした時間」に、さっきいった「神経細胞がつながる」ことがおこなわれるんです。その時間をもっていなかったら、その子らしい面白いことを思いついて楽しく遊ぶことができなくなる。それには、大人がそのことの大切さを知っているということが大事だと思います。だから、子どもがぼーっとしていたら、安心して、「あーよかった」と思うような親御さんになってほしいです。「ぼーっとしてないでなんとかしなさい」とか「本でも読みなさい」なんて言わないでほしい。昔の子どもって、そんなふうだったでしょう、地面に座り込んで蟻の行列やなんかを1時間もみていたと思いますよ。そういうことが子どもの創造性の発達にとって大切なことだということを認識してほしいと思います。
「松岡享子ロングインタビュー 子どもたちの心に届ける 自然・ことば・遊び」(木城えほんの郷)より抜粋
長くなりましたが、どう思われましたか?
私は、大人もぼーっとする時間が必要だなと思いました。
Tetteでは、こういう時間を大切にしたいと思っていますが、私一人では力不足だなぁと感じた去年。
親御さんや協力してくれる人たちと一緒に、考えていけたらいいなぁと思います。
ほかにもたくさん共有したい内容でした。Tetteの本棚に入れておきます。
お時間あるとき、お子さんが制作の間、図書コーナーで読んでいただければと思います。
それでは、本年もよろしくおねがいします^^
こどもアトリエTette
スズキサチコ