佐田岬半島の陸軍豊予要塞(8)[完]Y字地下壕 | 次世代に遺したい自然や史跡

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毎年WEB初公開となる無名伝承地や史跡、マイナーな景勝・奇勝を発表。戦争遺跡や鉄道関連、坂本龍馬等の偉人のマイナー伝承地も。学芸員資格を持つ元高知新聞主管講座講師が解説。

[洞窟式砲台と弾薬壕]

御籠島で豊後水道の景色や島と岬の砲台壕口の写真撮影を終えると、島の砲台壕口へと向かう道との三差路まで引き返す。

 

この砲台壕口へ続く道は、去年、コンクリート舗装されて初めて、崖の斜面をトラバース気味に上がっていることが分かった。しかも当初は島を2本の砲台壕隧道が並行して貫いているものと思っていたが、意外にも入口は一つだった。つまり、地下で二本に分かれるY字壕だったのである。

 

入口は自治体が整備する際、拡幅し、カルバートのような四角い形状にして周囲をコンクリートで固めている。

入口に入った地点の内壁には案内板が設置されており、照明も奥まで設置されている。但し、24時間点灯している訳ではないだろう。尤も入口には扉がないため、いつでも入ることはできる。

 

数メートル先で四角い隧道は通常の馬蹄型になるが、奥の方も落盤防止のために補強しているようである。

ほどなくY字路に達するが、そこまでに行く間の内壁下部に素掘りの横穴壕が掘られている。これは恐らく弾薬壕と思われるが、フェンスがあるため、入ることはできない。

 

Y字路を右へ行った先の砲台壕口付近は砲座がコンクリートで埋めて固められ、展望所になってしまっている。砲座を残した上で階段を設置する等し、壕の出口のみを展望所とすることは考えなかったのだろうか。

 

豊後水道の海原を見渡すとY字路まで引き返し、今度は左の壕を進む。こちらも左側の内壁に素掘りの弾薬壕が掘られていたと思う。

そしてその少し先にフェンスがあり、砲座と専門家の監修の元、忠実に再現された実物大のドイツ・クルップ社製3812センチ榴弾砲のレプリカが置かれている。

 

第一砲台と第二砲台の砲座が円形なのに対し、こちらは扇型故、大砲を360度回転することはできない。扇型窪みの手前側に目盛のような溝があるが、ここに砲車大架最後尾の副木が設置された照準棍をはめると共に地面には駐鋤を刺し、大砲を固定し、角度(向き)を合わせていた。

 

折角この砲台壕を整備したのだから、是非自治体には第一と第二砲台施設の整備も行って戴きたい。

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